精神科Q&A
【0601】うつ病の治療をはじめた夫が、まるで別の人格になってしまった
Q: 私は33歳の女性です。今回、質問させていただきたいのは私の主人のことです。
主人は36歳、3ヶ月前に精神科の医師から「うつ病」と診断されました。
それまで私には何も言ってくれませんでしたが、3ヶ月前に突然主人から
・慢性的な頭痛
・職場へ出勤できない
・食欲がない
・些細なことにイライラする
・早朝覚醒、夜中に何度も目が覚めるなどの睡眠障害
がその1ヶ月ほど前からあったということを打ち明けられ、私から精神科の受診を勧めたところ「うつ病」と診断され、医師の勧めにより2ヶ月間ほど休職しました。
週に1回の通院で、投薬された薬は
・トレドミン(当初は20mg/日 → 現在は100mg/日)
・ドグマチール
・睡眠導入剤(薬剤名はわかりません)
でした。
私が一緒に受診することを主人が頑なに拒んだため、私はごく初期に1度だけ彼と一緒に精神科に行っただけでした。
私から見た休職期間中の主人の状態は、
・頭痛はあるものの、慢性的というほどではない
・「食欲がない」と言いつつ、食事は大量に美味しそうに食べる
・連日楽しそうに外出し、時には丸一日遠出をしたまま戻らない
また、「友人宅へ泊まる」とのことで外泊する
・自分の洋服や趣味のものを次々に買い物する
・人が変わったように些細なことで感情をむき出しにして私を詰問する
・子供(3歳の息子)と私を邪険にして、遠ざけたがる
・沈んだり、落ち込んだり、自分を責めるような状態は見られなかった
というものでした。
林先生のサイトを始め他のうつ病関連のWebサイトをいくつも拝見し、勉強したうつ病とはちょっと違うなと思いながらも、これも病気なら仕方がないと私は彼の病状を2ヶ月間見守ってきました。
ところが1ヶ月前に主人の携帯電話に入っていたメールから、主人が女性と交際していたことがわかりました。うつ病と診断される2ヶ月ほど前から休職期間中もずっとその女性とメールを交換し時には逢っていたとのこと。そのことが発覚した直後に携帯電話を自分で壊し、メールをはじめ女性との交際はやめたようです。
女性問題が発覚した時(1ヶ月前)から主人は実家に戻り、現在、私とは別居中です。
同時に医師の許可もあり、時間を短縮しながら職場にも復帰しました。
ずっと受診している精神科にも引き続き定期的に通院し、上記と同じ投薬治療は受けているとのこと。医師には、うつ病は快方に向かっていると言われているそうです。
その後、私自身、心労が重なり気分の落ち込みが激しいため主人とは別の精神科を受診し、軽うつ状態と診断されました。
そこで主人の経緯を私の医師に伝えたところ「ご主人はうつではなく、躁うつ病であると思われます」と言われました。
もちろん、私の受診している医師は主人を診察したわけではないので詳しいことはわからないとは思いますが、そう言われて林先生のサイトの「躁うつ病」の項を拝見すると、主人の状態に当て嵌まることが多いようにも思われます。
先日、1ヶ月ぶりに主人と電話で話をしましたが、私の声を聞いただけで人が変わったように激昂し、私を罵倒しました。
主人の母によれば「感情が抑えられない、抗うつ薬を飲むとますますイライラする」
と言っているようですが、うつ病と診断される前の主人とはまるで別の人格になってしまったようで、対応にとても戸惑います。
以上のような経過をたどっている主人は、本当にうつ病なのでしょうか。
このまま、うつ病の治療を続けていても良いものでしょうか。
または、私の受診した医師が言ったように躁うつ病なのでしょうか。
林: 単なるうつ病の症状ではなさそうです。考えられることは二つです。ひとつは、あなたの主治医の先生がおっしゃるように、躁うつ病です。もう一つは、抗うつ薬の影響(副作用)ということも考えられます。
うつ病の治療中に躁転が見られた例としては【0334】、抗うつ薬の影響については、【0581】などをご参照ください。
抗うつ薬を飲むとますますイライラする
というご家族の言葉からは、抗うつ薬の副作用のようですが、躁うつ病でもこのようなことはあり、また「薬を飲むと、・・・になる」というご家族やご本人の言葉は、意外に事実とは異なることが多いので、何ともいえないところです。
いずれにせよ、単なるうつ病の症状とは思えません。ご主人の主治医の先生に直接お聞きすことが必要です。それなしでは適切な対応は難しいと思います。