精神科Q&A

【0579】私よりインターネットを信用するなら別の病院に行けと医師に言われました


Q: 32歳男性です。一年前からうつ病の治療をクリニックで受けていますが、今ひとつ改善が思わしくありません。一ヶ月前に主治医から、「抗うつ薬は十分出しているはずだが・・・別の薬を使ってみましょう」という簡単な説明だけで、デパケンという薬を出されました。ネットで調べてみたのですが、これはてんかんの薬ですよね? てっきりこれは何かの間違いだと思い、そのまま飲まずにいて次の診察の時に主治医に質問したのですが、「私よりもインターネットを信用するのなら別の病院に行ってください」などと暴言を吐かれました。これはやはり病院を変えるべきところでしょうか。結果的に主治医の指示通りの行動をとることになるのも不満なのですが。


: これは暴言ではありません。実際に診ていただいている主治医よりもインターネットのほうを信用するようでは、治療にならないことは明らかです。こちらにも記した通りです。ネットの情報は、たとえ情報そのものとして信頼できるものであっても、直接の診療に比べた場合には全くあてにならないものと考えたほうがいいでしょう。それは、このQ&Aのように、読者からの質問のひとつひとつに答えるという形であっても同じことです。質問メールの文面には診断上の重要な情報が抜け落ちている可能性が常に否定できないからです。したがって、非はあなたのほうにあると思います。

 といっても、この「非はあなたのほうにある」という判断も、メールの文面からの判断にすぎません。すなわち、ある言葉が暴言かどうかは、その内容だけでなく、前後関係や言い方が大きく影響するからです。このメールを読ませていただいた限りでは、「主治医の処方に対して、ネットの情報に基づいてそれを飲まないという決定をして、処方が間違いではないかと質問した」、それに対して主治医から「私よりもインターネットを信用するのなら別の病院に行ってください」と言われた、という情報しかありませんので、この事実関係だけを見れば、あなたに非があると判断せざるを得ないことになります。実際の場面を見れば判断は変わるかもしれません。

 なお、うつ病が長引いた場合に、抗てんかん薬のデパケンを抗うつ薬に加えて処方することの有効性は確立した事実です(この場合、デパケンは抗うつ薬の増強薬ということになります)。けれども、この治療法はそう頻繁に行われるものではないので、ちょっと調べただけでは出ていないと思います。

続きを読む(2004.8.5.)


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