精神科Q&A
【0508】友人が自己臭症のようなのですが
Q: 私(22歳女性)の友人(26歳男性)のことでご相談します。
彼は自分自身の事を「臭い」と思っていて、周りからもそう言われている、実際にそう言われていると言っています。そのせいか、彼は人と関わる事をしないし、人前ではひどく周りを気にしています。仕事も上手くいかず定職にはついていません。
しかし、私は彼を臭いと思った事はないし、実際に臭いなんてありません。
彼の症状は自己臭症なのでしょうか?
私は彼の将来のためにも苦痛を取り除いてあげたいのです。しかしどうしていいのかわかりません。
精神科の病院に行くようにすすめた事はありますが、「自分は精神病ではない」と言って行きません。私はどういう対応をしてあげればいいのでしょうか?やはり病院に連れて行くべきでしょうか?
林: この男性の方の症状は、自己臭症に一致しています。すなわち、【0498】で解説したように、「自分の体から嫌な臭いが出て、それが他人に不快感を与えていると信じ込む症状」が自己臭症です。ご本人が「周りから実際にそう言われている」と言い張るのも典型的な特徴で、この【0508】の男性も、【0498】の女性も、そのような特徴を持っておられます。
ですから、
「彼の症状は自己臭症なのでしょうか」
というご質問への答えはイエスです。
ただし、自己臭症という症状は、精神分裂病(統合失調症)の初発症状であることもあります。この区別は非常に難しいのですが、この方のように、
人と関わる事をしない
仕事は上手くいかず定職にはついていない
というようなことがみられると、(本人はもちろんそれは臭いのためだとおっしゃるでしょうが)、精神分裂病(統合失調症)の可能性も考える必要があります。治療しないと、悪化していくかもしれません。病院に連れて行くべきだと思います。