精神科Q&A

【0475】トンネル、まっすぐな道路、特に自動車数が少ないとき、頭が脈を打ち、心臓がばくばくし始めます


Q: 35歳、女性です。車の運転中、トンネルの中で頭に血が上ったようになり、目を開けているのに視界がだんだん狭くなって、目がだんだん見えなくなってくるような気がしてきました。心臓がばくばくいっています。手に汗をかいています。必死で通り抜けパーキングで休みました。それが7年前です。以後トンネル、まっすぐな道路、特に自動車数が少ないとき、頭が脈を打ってきます。そして心臓がばくばくし始めます。うわ〜と叫びだしたいような気になります。子どもを乗せているときなどは、事故を起こしてはいけないと必死で気をそらします。子どもに無意味に話しかけたりすれば、多少はいいようですが、あまり変わりません。主人が助手席に座っているときにはハンドルを持ってもらいたいほどです。これは何なのでしょうか。教えてください。

: パニック障害です。
「心臓がばくばくする」などをはじめとする、あなたの症状は典型的なパニック発作といえます。そして、特定の状況(トンネル、まっすぐな道路など)で発作が起きているので、正式な診断としては、「広場恐怖を伴うパニック障害」となるでしょう。
ここで、「広場恐怖」というのは、実際には「広場」には直接関係なく、特定の状況や場所という意味です。広場恐怖という用語は誤解を招くので、パニック障害の診察室では、場所に関係あるパニック障害という表現に変えてあります。原語はpanic disorder with agoraphobiaです。
私の直接知っている方の中にも、あなたと似たように、トンネルだけがどうしてもだめだという人がいらっしゃいます。この方は、長いトンネルがあるときは、その直前にご主人に運転を代わってもらうようにされています。そのほかの症状はすべて治っておられるので、薬は一切飲んでいません。薬を飲めば、あるいはトンネルも平気になるかもしれませんが、こういうケース(特定の場面のみでパニック発作が起こり、それ以外はまったく何の問題もない)で薬を飲むべきかどうかは、個別的に判断するところでしょう。つまり、トンネルの前で運転を交代するというように、その場面を避ける方法があれば、薬を飲む必要はないでしょう。けれども、それが不可能なら、やはり薬の治療を続けることになるでしょう。
 なお、あなたの発作症状はかなり典型的なので「パニック障害です」と断定しましたが、パニック障の害家族カウンセリングルームのページにお書きしたように、念のため一度は心臓などの検査を受けられたほうがいいと思います。


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