精神科Q&A
【0426】うつ病が回復して退院した妻への対応(【0385】、【0390】の続き)
Q: 【0385】、【0390】でご回答いただいた件ですが妻が鬱と診断されて任意入院5ヶ月、漸く主治医の許可が下り退院いたしました。
退院二週間ですが、最初の一週間は病院近くのマンションで過ごしたのですが、その後最近ではあんなに嫌がっていた家に帰りたい、家族の思いやりがこんない大きかったのかと気分が滅入って涙をこぼします。
時たま死にたいの発言が一回だけ有ったり、さらには生まれ故郷に帰りたいと言ってみたりです。話す話題と言えば病院のこと、同室であった患者のことが多く聞いていても此方が滅入ってしまいます。
それでも話しているうちに気分が高揚して笑顔も出たり、笑い声もしたりします。
マンションから家族が帰るころには何時もと変わらない笑顔が出てきますが、翌日になると起きられないほど頭が重く、沈み込んでしまいます。
睡眠も独り住まいで不安なのか夜中の2時に起きてしまいそれから眠れないことも有るようです。これまでも昼間人ごみに出て興奮したり、歩く距離が長く体力的に疲れたりすると翌日ふさぎ込むことがありましたが、其れも良く眠れば解消していました。
二週間後の外来診察にも独りでは行けないくらい体がついていかないと電話が入り手助けして通院して診断を受けました。
主治医の仰るには一ヶ月くらいは兎に角静養、無理せずごろ寝、思ったことの半分が出来れば良しとしなさいといって、中途覚醒の処方を加えてくださいました。
又どうしても気分が高揚しないとき或いは起き出して眠れない為に頓服として処方もしてくれました。退院後の一週間には無かった変わりようで戸惑っています。
それでも気分が高まると家のリフォームの話、マンション住まいの無駄なお金使うことの話をしたりして、本質的にけちな性格なんだと笑わせます。
鬱という病名に接するのも初めてですが入院、退院そして社会復帰と今ステップを踏んでいますが、こんなことは有るものなのでしょうか。心の傷のことなので解らないことが多くお尋ねいたします。
林: あなたご自身の不安が強くなっているのが感じ取れます。おそらくそのためでしょう、ご質問のポイントが今ひとつつかみにくいと感じられます。
「こんなことは有るものなのでしょうか」
がご質問だとすれば、その答はイエスです。退院後、いい日があったり悪い日があったりということは、よくあることです。主治医の先生のおっしゃるとおり、
「思ったことの半分が出来れば良し」
という感覚でいいと思います。
いずれにせよ、奥様の今の状態は、退院直後の状態として特殊なものではありません。今はむしろあなた自身の不安が強いことが窺われます。そして、それもご家族の退院直後の状態としてはよくあることでもあります。奥様の少しの変化にあまり大きく一喜一憂せず、長い目で経過を見守ることが大切です。