精神科Q&A

【0422】突然顔の左だけ動かなくなってしまいました(【0391】の続き)


Q 【0391】で話した者です。あれから、大学病院に行き入院しました。 
 林先生のおっしゃる通り、診断は「ベル麻痺」でした。 
 入院期間は2週間ほどです。 退院の時には「9割治っている」と言われました。 
 けれども、約半年たった今でもまだ、口の周りあたりは左の力が少し弱いです。特に歯磨き時に口をゆすぐ時左から水が少し出ます。あと、入院中から気になっていたのですが左側だけ押したりすると痛いんです。入院中に先生に言ってみたのですが相手にしてくれませんでした。先生も何も答えてくれないし自分では薬のせいだろうとその時は(入院時)思っていましたが、現在麻痺の薬は一切飲んでいないのにまだ痛いのです。 
 それから、あくびをすると左に力が入って左だけ「くしゃっ」っとした顔になってしまいます。たまに左側だけひきつりや痙攣をおこします。今は左の首ら辺がピクピクっと痙攣して気持ち悪いです。これらの症状はやはり後遺症でしょうか?いまさら薬を飲んだり治療しても治らないでしょうか? 

: 今のあなたの症状は、ベル麻痺の後遺症です。薬の副作用ではありません。
ベル麻痺は、【0391】で解説した通り、大部分は自然に完治するのですが、わずかに後遺症が残ることがあります。もっとも、あなたの現在の後遺症が、このまま続くのか、それとも自然にもっと良くなっていくのかはまだわかりません。ベル麻痺自体の原因が不明ですので、経過を正確に予測することはできないのです。つまり、様子を見ていれば自然に良くなるかもしれないということです。
 良くならなかった場合、治療法はいくつかあります。
 ひとつは手術です。
 いまベル麻痺の原因は不明と言ったばかりですが、推定されている原因はあります。それは、浮腫(「腫れる」というのと大体同じです)によって、顔面神経が圧迫されることによる症状だということです。したがって、手術により圧迫を取り除けば、麻痺が治るということになります。
 もうひとつは、ステロイドの大量投与です。
 この二つのいずれかの方法によって、ベル麻痺の後遺症は完治する可能性があります。あくまで「可能性」ですので、やってみたほうがいいかどうかはケースバイケースです。また、手術とステロイドのどちらが有効かはわかっていません。
 なお、痙攣に対しては薬での治療が可能です。しかし、その場合はずっと薬を飲むということになります。
 もうひとつ、ボツリヌス菌の毒素を局所に注射するという方法もあります。「ボツリヌス菌の毒素」といわれると恐ろしい感じがするかもしれませんが、ベル麻痺以外にも比較的よく使われる、今では一般的な治療法です。ただし熟練を要しますので、専門家以外が行うのは危険です。 


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る