精神科Q&A
【0394】うつ病の電気けいれん療法について
Q: 以前、新聞で電気けいれん療法は副作用もあり危険なので、欧米では行われておらず、日本でしか行われていないと、書いてあるのを読んだのですが、本当でしょうか。
また、どこかの病院では患者にも教えず、乱暴に行われているとも書いてありましたが、本当のところどうなのでしょうか。
林:
1. 電気けいれん療法は、世界の多くの国で行われています。うつ病には極めて有効で安全な治療法として広く認められています。特に薬の効果が乏しい難治性のうつ病には、もっとも有望な治療法です。あなたのお読みになった記事の内容はウソです。
日本での施行頻度はむしろ少なすぎるくらいです。電気けいれん療法には根強い偏見があり、どうしてもこの治療法を悪者にしたい人々も存在することは、【0086】や擬態うつ病にも書いた通りです。偏見があると、施行しにくい状況が生まれます。その結果、本当はこの治療が必要なのに受けられず、いつまでも良くならず苦しんでいる人がたくさん存在します。
2. 「どこかの病院では患者にも教えず、乱暴に行われているとも書いてありましたが、本当のところどうなのでしょうか」という二番目のご質問に対する答は、私にはわかりません。「乱暴に行われている病院」は、昔は確かにあったようです。今そういう病院があるかどうかはわかりません。ただし、「乱暴に行われている」というのが、具体的にどのようなことを指すのかが問題です。上にお書きしたように、この治療法には偏見が多いので、普通の方法で行っているのに「乱暴」と中傷する人もたくさん存在します。繰り返しますが、そういう無責任な中傷の結果、本来この治療が必要な人がたくさん苦しんでいます。