精神科Q&A
【0373】妹が急に表情をなくし、その間の記憶を失った
Q: 老人性痴呆で施設に入所している母を連れて正月に家族で食事にいきました。食事中それまで普通に会話していた妹(38歳)が急に表情をなくし口のなかでなにかころころころがすような妙なしぐさをしてこちらが大丈夫！？と声をかけても返事もしないのです。それはほんの数十秒から数分なのですがあとで彼女におかしかったと言うとなんか記憶がとんでるというのです。
妹は独身で、母が施設に入所するまでは本当に苦労をかけました。仕事をしながら家庭では痴呆の母を抱え本当に大変だったと思います。なにかそういう事が原因でしょうか。今までそういうことは一切ありませんでした。ただ妹は小さい時から神経質で人の好き嫌いが激しいところがありました。家で独りのせいか私の前では非常によくしゃべります。様子の変だった数日後会ったときには、会話をしていて多少テンションが急に下がったりするような気がしましたが、それほど違和感はかんじませんでした。心身ともに疲労していただけなのかそれともお医者さまにみていただいた方がよろしいのでしょうか。
林: てんかん発作の可能性が高いと思います。病院を受診してください。精神科、神経内科、脳外科のいずれかになります。
「数秒から数分、記憶がない」ということは、色々な病気で起こりうることです。ただ、妹さんの場合は、口のなかでなにかころころころがすような妙なしぐさ
を伴っていますね。これは、側頭葉てんかんの発作のときに高率に見られる症状です。やや専門的に言いますと、脳のある部分に発生した突発波(異常な電気的活動)が、脳の深い部分に波及するとこのような症状が出ます。
てんかんの診断は、このような症状の観察に加え、脳波の検査をして決定されます。治療は薬(抗てんかん薬)が中心になります。
それから、38歳という妹さんの年齢からは、てんかんの原因としては脳腫瘍も考えなければなりません。側頭葉(または前頭葉)に脳腫瘍があって、その初発症状としててんかんが起きたのかもしれません。脳腫瘍の診断には脳のMRIかCTを行います。
いずれにせよ、早く病院を受診してください。「心身ともに疲労していただけ」で、このような症状が出ることはありません。
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