精神科Q&A
【0372】妊娠までは服薬を止めて2年は開けるべきでしょうか
Q: 35歳女性、小学校で教諭をしております。
2年前程から、うつ病で心療内科に通っています。
それ以来、ドグマチール、デパス、ロプヒノールを長期服薬しています。
そのおかげで何とか教諭の仕事も続けられているのですが、悩みというのは、妊娠のことなのです。
心療内科の主治医は、
「状態が良くなって服薬を止めて2〜3ヶ月経てば、胎児への影響も無くなる。」
とおしゃってくれています。それでも、心配になって産婦人科の先生にも相談すると、
「沢山飲んでるんだね〜。でも、心療内科の主治医の先生の言うとおりで充分ですよ。安心して下さい。」
とおっしゃってくれているのですが、
さらに、東洋医学(針灸医院)の先生が、
「そんな薬を長期服用しているなんて障害を持って生まれて来る可能性大だ!服薬を早く止めて、2年は期間をあけなさい!それでないと危険だ!」
と自信満々で断言しています。
それを聞いて、不安で不安でたまりません。もし今服薬を止めて2、3年期間をあけると、私の年齢も37〜8歳になってしまうのですが、それでもやはり妊娠のためには服薬を止めて2〜3年はあけた方が良いのでしょうか?
林: そんなことはありません。服薬を早く止めて、2年は期間をあけなさい!それでないと危険だ!
というアドバイスには、全く根拠がありません。無責任だと思います。あなたが心配しておられるように、あなた自身の年齢が高くなることによるリスクの方が大きいと思います。
【0051】にもお書きしたことですが、妊娠期間のうちで、妊娠5週から10週までは胎芽期といって、胎児の成長のうえで非常に大切な時期です。ですから、この期間はできれば薬を止めた方がいいでしょう。
また、薬には胎児の影響があると証明されているものと、証明されていないものがあります。影響があると証明されているものは、妊娠中はすべて中断すべきでしょう。
しかし「証明されていない」薬についても、100パーセント影響がないとは誰にも言い切れませんので、飲むか飲まないかについても、飲むとしたら胎芽期だけは避けるべきかどうかについても、症状とのかねあいによって決めるべきでしょう。飲まないために病状が悪化して、そのために妊娠出産が困難、または不可能になることもあり得るからです。
いずれにせよこれらは妊娠中やその中でも胎芽期のことです。妊娠前の服薬は、よほど特殊な薬でない限り、影響はありません。あなたの飲んでおられる薬も影響はない物です。
したがって、「服薬を早く止めて、2年は期間をあけなさい!それでないと危険だ!」というアドバイスには、全く根拠がありません。無責任だと思います。あなたが心配しておられるように、あなた自身の年齢が高くなることによるリスクの方が大きいと思います。
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