精神科Q&A
【0356】医者が出社を勧めます。病院を変えるべきでしょうか。
Q: 32歳男性です。脱力感、集中力のなさ、イライラが主な症状の、軽度の鬱です。主治医の方針としては会社は休まず、勤めながら治療を行いたいという方針ですが、私としては、休職をして気力が充実してから会社へ復帰したいと思っています。ところが、通院するたびにそれとなく、出社するべきである、という主張をやんわりとですが押しつけるようになり、いまでは上記の症状に不眠がプラスされるようになりました。不信感も持っています。
とりあえず、交渉して無理矢理1ヶ月休職の為の診断書をかいてもらったのですが、それももう終わりです。できればもう少しだけ延長をしてほしいのですが、治療の基本方針として私には相容れない物があることは事実です。休職の延長をもとめるべきでしょうか、それとも主治医をかえるべきでしょうか?
林: 主治医の治療方針に従うべきだと思います。
あなたは「軽度の鬱」とのことですが、「軽度の鬱」になるのは、うつ病のこともあれば、他の病気のこともあれば、病気でないこともあります。必ず休職が必要なのは、ある程度以上のうつ病の場合です。軽いうつ病では、仕事を休むまでもない、あるいは休まない方が望ましいこともあります。病気でない場合には休んだほうがいいのはむしろ例外でしょう。
あなたの診断が不明ですので、これ以上は言えませんが、主治医の先生が出社すべきであるとおっしゃっている以上、それに従うべきです。「私としては、休職をして気力が充実してから会社へ復帰したいと思っています」とのことですが、あなたが好む治療方法が、あなたに適した治療方法とは限りません。というより、本来治療というものは、好き嫌いで選ぶものではないでしょう。うつの治療方針に納得できないから主治医を変えることを考慮するというのは、擬態うつ病の86ページに記載したように、自称うつ病の人によくあることでもあります。
どうしても納得できなければ、主治医を変えるかどうかは、あなた自身が決めることです。ただ、もし擬態うつ病であった場合(それも、自称うつ病の要素が強い場合)、主治医を変えることは、今後長期間にわたる不毛な治療の始まりになる可能性が強いと思います。ぜひ擬態うつ病をお読みください。