精神科Q&A
【0350】変な声と、あり得ない妄想が、10年近く続いています
Q: 20歳の女です。私は小学校4年生頃から、人には言えない悩みを抱えています。
当時の私には時々、変な声が聞こえていました。具体的に何と言っているかは分かりませんでしたが、明らかに人をあざ笑うような嫌な感じの声で、その声は一人や二人のものではなく、数十人分の声が重なり合っているものでした。
特に一人でいるとき、夜寝る前によく聞こえてきて、頭の中をグルグルと回り続けていました。時には水道から水が滴り落ちるような音が大きく聞こえ、うるさくて眠れず、耳を塞いで布団に包まったりして過ごしていました。
それとは別に、私は突然、変な思い込みに左右されていました。夜、布団に入ると暑くて布団から足を出すことがありますが、時々、足や手を出したまま眠ると、何者かに布団から出ている部分をもぎ取られるという妄想をいつからかするようになり、どんなに暑くても布団から手足はおろか、顔も出さないようにして寝ようとしていました。
当然、それらは全て自分の思い込みであり、現実に存在する出来事ではない事は当時の私にもよく分かっていました。
私は今まで、それらの事を忘れていたのですが、1年ほど前から、またその妄想が私を取り巻くようになりました。
聞こえていた声は昔と違い、はっきりと言葉になって聞こえることが増え、何人もの低い声が「お前は汚い」「いらない」などと罵り、時には夢の中に出てきて、「必要な人間と不必要な人間を分別する」と称して不必要な人間を高いところから突き落とすということをするようになりました。私は夢の中で突き落とされたらしく、暗闇の中を「お前は汚い」「いらない」「逃げられると思うな」などというたくさんの声に追いかけられながら逃げ回りました。
また、自分では幼稚であると思いながらも、今でも時々「手足を出して寝るとその部分をもぎ取られる」などと変なことを考えて眠れなくなったりしています。
毎日のようにこの二つが繰り返され、眠れない事もあって、ずっと疲れていた矢先です。
今年に入り、私は悪い事と知りながら、ある事がきっかけで「死にたい」と真剣に思い、ある薬を多量に飲んで、意識が朦朧としてしまい、病院に運ばれ、胃を洗浄してもらった上に一日入院しました。
その病院の先生に「精神病院に行った方がいい」と言われたのですが、両親とも同意はせず、私はその後、病院に行くことはありませんでした。
私としては、精神病院に行けば、相手はプロだから私の話を聞いても笑ったりはしないだろう、私がずっと悩んでいた事を真剣に聞いてくれるだろう、とどこか期待していました。
私はこのことが人に知れたら、知った人はみんな私から離れていくと思っています。私を取り巻いてくれているたくさんの人を一度に失うような気がしてなりません。話を聞いた人に馬鹿にされそうな気もします。
とにかく、怖くてたまりませんでした。どこかで誰かに話を聞いて欲しい。でも馬鹿にしないで欲しい。そう思っています。
詳細を載せたかったのですが、ものすごく長くなりそうなので、自分が特に気になっている部分だけを抜粋しました。
私のこういう経験はいったい何なのでしょう? 何かのこころの病なのでしょうか?
実は昨日、両親に全てを話しました。小さい頃から変な声が聞こえていた事。有り得ない妄想をして怯えていた事。その他、色々な事を話しました。
薬を大量に飲んだ時は死ぬつもりだったことも話しました。そのとき病院の看護婦さんが、私の胃を洗浄している最中に「この程度の量の薬で死ねるわけないでしょ」と、笑っていました。その言葉は私にとって非常に参考になりました。本当は言ってはいけない言葉だったのではないかと思っています。私はその時から、「次に同じ事をする時は、絶対に抜かりのないように」と、考えましたから。
薬を多用して一日入院した翌朝、病院の先生が「精神病院に行った方がいい」と言っていたのを聞いて、その時「行ってみようかな」と考えていた事も、今回、親に告げました。
結果、近い内に病院に行く事になりました。
正直、不安もあり、怖いです。何が怖いと聞かれても分からない程で、正直困惑しているのだと思います。
自分の不安を取り除くために、インターネットで「精神科」を調べ、どういったところで、何をしていて、どんな患者さんを相手にしているのか。また、患者さんの実際の声や、家族の声などを載せた掲示板を拝見し、色々な事を知りました。
それでも、不安で仕方ありません。
けれども、私は何とか今の自分から脱したいと思っております。意気込んでいるのともまた違いますが、一時期解放されていたのだから、次もきっと上手くいくと信じています。
先日、ネットサーフィン中に某精神病院の先生のお言葉を拝見して、思わず泣きそうになりました。
もちろん、不特定多数の人間が見るページから情報を発信している訳ですから、私個人に向けた言葉ではないことくらい、承知しています。
本文そのものは憶えていませんが、「あなたは頑張っている」「負けないで」そういったニュアンスの言葉でした。誰かが駄目な私を見ていてくれたような気になりました。
とりあえず私は、流れとはいえ、病院に行ってみようと思います。
先生、私は、先生がこのメールを読んで下さったという事実がこの手に無くても、先生がこのメールを読んで下さっているだろうと思うだけで、嬉しい気持ちでいっぱいになります。
誰か一人でも、私の話を笑わないで、馬鹿にしないで聞いてくれている、と、勝手な思い込みをしている状態です。
明日にでも精神病院を受診したいと思っています。
林: あなたはあるこころの病にかかっているのだと思います。でも、考えられる診断名はあえて申し上げないことにします。病院を受診されて、そこでの先生からのお話に優る回答は無いからです。良い先生にめぐり逢われることを願っています。あなたはきっと良くなると思います。メールを頂ければ、私は必ず読んでいます。