精神科Q&A
【0349】うつ病の母が何回も入院し、薬漬けになっている
Q: 65歳の母はうつ病と診断されて、精神科に入院して1年半になります。当初は通院だったのですが症状がひどくなり、家にいてもうろうろ歩き回ったり、叫んだり、暴れるようになってしまい、父と私は昼間働いていますのでひとりにさせておけないこともあり、通院していたクリニックの先生に紹介してもらって近くの総合病院へ入院しました。入院してから一月ほどで調子がよくなって退院し、よかったなと思っていたのですが、また数ヶ月ほどして入院前と同じ症状になり再入院となりました。 それから数回入退院を繰り返し、現在は数ヶ月間入院したままになっています。最近は、ろれつがほとんどまわりませんし、ふらふらしていて足元もおぼつきません。話すこともとりとめなく、つじつまが合わないこともあり、ろれつがまわっていないこともあって、何を話しているのかも聞き取りにくいです。手もはげしく震えますので字もかけなくなりました。
最初は多少ろれつがまわらなくても、薬のせい、と気にならない程度だったのですが最近その症状がすごくひどくなっているように思います。よほどきつい薬をのまされているのか、そんな強い薬をのまなければ正気でいられないのか・・・すでに痴呆症のひどくなった老人のようで見ていてとても辛いです。このまま、この病院で治療を続けてもどんどんきつい薬を飲まされるだけなのでしょうか。これでは、たとえうつ病のほうがよくなっても体も筋肉も弱って、家で健康に生活できないのではないかと思って心配になってきました。長期戦になるのは覚悟の上でしたが、一年半たってあまり回復も感じられず、同じことの繰り返しで、このまま薬漬けになっていくのでしょうか。うつ病の治療とはこういうものなのでしょうか。
林: お母様が本当にうつ病かどうかをまず確認する必要があります。症状としてお書きになっているのは「家にいてもうろうろ歩き回ったり、叫んだり、暴れるようになった」だけですので、診断が何であるか、判断できません。これだけの症状からは、うつ病でない可能性の方が高いように思えます。具体的にどういう状況で暴れ、どういうことを叫んだのでしょうか。それによって、うつ病らしいか、うつ病らしくないかの判断は違ってきます。
「ろれつが回らない」「手が震える」「足元もおぼつかない」これらはいずれも薬の副作用です。抗うつ薬か、抗精神病薬をかなり飲んでおられるのでしょう。
「そんなに強い薬をのまなければ正気でいられないのか」。それは主治医の先生に聞かなければわからないことです。
「このまま、この病院で治療を続けてもどんどんきつい薬を飲まされるだけなのか」それも主治医の先生以外には回答できない質問です。
ただ、「これでは、たとえうつ病のほうがよくなっても体も筋肉も弱って、家で健康に生活できないのではないか」というご心配はもっともです。適切なリハビリを行う必要があると思います。筋肉が弱ると、それでなくても足元がおぼつかないとのことですので、転んで骨折などをされることも心配です。もっとも、うつ病の症状が強いとリハビリはなかなか困難なものですが。
診断が何であるのか、今後の治療方針はどうなのか、今の薬を飲み続けるしかないのか、こういったことを主治医の先生によくお聞きください。
もしお母様がうつ病で、副作用がこれほどまで出るまで薬を使ってもよくならないのであれば、電気けいれん療法の適応だと思います。このまま薬を続けるのは危険です。