精神科Q&A
【0295】過眠に有効な治療はありますか
Q: 20歳の娘の過眠に悩んでいます。過眠に何か打つ手は有るのか教えて下さい。
過眠の状態は、昼夜逆転で毎日15〜20時間が普通です。寝ている時は普通の状態のようで、起きている時間に急な眠気などは無いようです。風邪などの心身のストレスなどあると40時間前後寝ています。その間食事やトイレで少しは起きて来るのですが。
8ヶ月前の深いうつ状態の時からはじまりました。鬱状態治療のため精神科クリニックには通っていますので、うつ状態は改善してきています。けれども過眠はよくなる気配がありません。自然治癒を待つしかないのでしょうか。
林: うつ病では過眠になることがあります。普通はむしろ不眠になることが多いのですが、まれに過眠もあります。ただ、私の経験では、うつの症状そのものがよくなれば過眠もよくなる方が大部分です。そうしますと、眠ることは休養にもなるわけですから、うつ症状があるうちは過眠でもあまり気にせずに、寝たい時は寝ていてかまわない、大体はそういうふうに説明しています。
娘さんの場合、「うつ状態は改善してきています」とのことですが、それはどの程度の改善なのでしょうか。改善はしてきているもののまだまだ不十分ということであれば、今のところはあまり過眠を気にしないで、うつとともに良くなっていくのを待つという方針でいいと思います。
問題はうつは相当良くなっているのに、過眠だけが良くなっていない場合です。(その前に確認しておきたいのですが、「寝ています」というのは、「眠っている」という意味でしょうか。私は今、そうであると仮定して話をしています。もし「寝ています」というのが、「眠ってはいないが布団から出られない」という意味であれば、それはむしろうつの症状そのものと考えるべきでしょう)。
過眠だけが症状として長く残る、というのは、文献上は存在しますが、私は実際にはあまり見たことがありません。たとえご本人やご家族が「過眠だけが残っている」と言われても、よく聞くとやはりまだうつの症状がかなり残っているものです。
もし本当に過眠だけが残っていると、なかなか治療は難しいと思います。薬で対処するとすれば、リタリンを使わざるを得ませんが、リタリンの開始は慎重にするべきだと思います。まずは上にお書きしたようなことをチェツクしていただき、それでもなおやはり過眠だけが問題ということであれば、リタリンの適応ということになると思います。