精神科Q&A
【0290】抗うつ薬が増量されて、はっきりと良くなりました。もっと増量して欲しいのですが…
Q: 31歳の主婦です。抗うつ剤を増量する場合、どのくらいの期間を空けて、どのくらいの量を増やすものなのか教えていただけませんか。(例えばデプロメールを150mgまで増量するには、どの位の日数が必要なのでしょうか)
私は、デプロメール50mgを約2ヵ月半服用していましたが、なかなか良くならず、先日やっと75mgを 二週間分処方されました。
すると、体の不調は続いていますが、良くなり方が 明らかに今までと違うのです。通院開始から 5ヶ月近くの間の、不快症状や苦しみは なんだったのだろうと思います。(デプロメール25mg処方が二ヶ月半、その間 一週間近くの中断あり)
普通、増量するのに 副作用も無いのに二週間も様子を見るものですか。
今まで、心身の不調を泣きながら訴えても、「自分のことは過小評価しがちだから、良くなっていても判らないものなんですよ」といって増量してもらえなかったのです。でも、少しだけ良くなった今、思います。自分が良くなった、と実感する事こそが 大切なのだ、と。いかに自分が希望の無い日々を過ごしていたか、病気の本人には それすらわからないのです。世の中とはそんなものだと思い込んでしまっているのですから。良くなっているという実感は、そこから 抜け出すために必要な希望なのです。
万一 病気が再発した場合、薬を出来るだけ早く増量しさえすれば うつは怖くない、そう思えれば安心なのです。今のように半年近くも だらだらと不調が続くのでは、再発が怖くてなりません。
林: 抗うつ薬の増量の日数について、はっきりした規定はありません。デプロメール(ルボックス。一般名はフルボキサミン)の添付文書には、「1日50mgを初期用量とし,1日150mgまで増量し,1日2回に分割して経口投与する.なお,年齢・症状に応じて適宜増減する」とだけ記載されています。
「向精神薬治療ガイドライン(原著はオーストラリア治療ガイドライン委員会による)」には、50mgで開始、患者が耐えられる場合には7日間で100mgまで増量。通常は1日100mgで有効。最大300mgまで2〜4週間間隔で増量することができる」と記載されています。ここで「患者が耐えられる場合」というのは奇妙な訳語ですが、副作用がひどくない場合には、という程度の意味です。
以上はあくまでもガイドラインです。現実的には、効果が不十分で、副作用が出ていないという状況であれば、あなたのケースのように25mgや50mg程度で何ヶ月も様子をみるのは良い方法とは思えません。25→50→75と増量した結果あきらかに症状が改善しているのですから、デプロメールはあなたに合っているのは間違いないと思います。ですから、まだ十分治っていないとすれば、早目に増量するべきだと私は思います。
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