精神科Q&A
【0208】 うつ病の薬の服用をやめた母への対応
Q: 半年前にうつ病を発病した一人暮らしの母(83歳)が一ヶ月小生宅に同居して薬を服用していました。その後妹の方に預けて病院を変えたところ、薬も変わり、歯がガタガタする症状が出てしまったためすぐ服用をやめ前の薬に戻したましたが、歯がガタガタする症状が続き、それ以来、体が駄目になると薬の服用を拒否しております。一方、うつ病の症状は続いており、一人じっと着るものがないとか夜になると財布を取りに来るとか考え込んでおります。薬の服用を継続させるためにも病院に入院させたほうがよいですかそれとも本人の自覚が出るまで待ったほうがよいですか。
林: 入院せずに薬を飲んで頂くのが最善です。
というのは、高齢の方の場合、入院して慣れない環境に変わると非常に不安が強くなり、かえって悪化する(といっても多くは一時的ですが)ことがあるからです。また、「本人の自覚が出るまで待つ」というのは、問題を先延ばしにしたにすぎません。薬を飲まなければ病状は悪化していき、自覚が出る可能性はかえって低くなります。
けれどもそれよりもっと根本的な問題は、お母様が本当にうつ病なのかということです。高齢の方では、うつ病と認知症の区別はつきにくいものです。「一人じっと着るものがないとか夜になると財布を取りに来るとか考え込んでいる」という症状は、確かにうつ病でもあり得ますが、認知症 (痴呆) でもあり得ます。認知症であったら、うつ病の薬をいくら飲んでも改善は期待できません。その他の症状がわかりませんのでこれ以上なんとも言えませんが、診断が間違いないか、もう一度確認することも考慮してください。