精神科Q&A
【0192】 80歳の父が、夜中に異常な行動をする
Q: 私の父(80歳、別居)は、以前うつ病と診断されていましたが、今は薬は睡眠薬以外は飲んでいません。 最近、夜中に急に起きて「からだが汚れているから」と急に一人でシャワーをあびて母親を驚かせています。これは10分程度こういう行動をとり、徐々に夢からさめるような感じで正気にもどるのです。本人はそのことを大部分は覚えていますが夢を見ているような感覚で、そういう行動をとっていると言います。統合失調症(精神分裂病)か老人性認知症(痴呆)かとも思っていますが、以前からのうつ病がひどくなっているのか、また最近強い睡眠薬を服用しているらしいのでこれの影響か私としては全く分からない状態です。ただ母親が最近、この行動のせいでかなりまいっております。父は医者にはあまり行きたがりませんが数年前から見ていると、色々な症状がでできて、それがひどくなって行くので、ある程度は無理してでも連れて行こうと思っております。
林: せん妄(せんもう)という症状です。高齢の方には比較的よく起こる症状です。統合失調症(精神分裂病)ではありません。うつ病とも関係ありません。せん妄は意識の変化の一種で、原因としては色々考えられますが、お父様の場合は、まず睡眠薬の影響を考えるべきです。睡眠薬が中途半端に効くと、覚醒と睡眠の間のような状態になって、はたから見ると異常な行動を取ることは時々あります。背景に脳の老化があると、そうしたことが起こる頻度は高くなります。したがって、まずは睡眠薬を中止することを考慮するのが順序ですが、長く飲んでいた睡眠薬を急に中止すると、かえってよくない症状が出ることもありますので、やめ方については処方してもらっている先生に相談するのがいいでしょう。
なお、せん妄は認知症(痴呆)の始まりという可能性もありますが、まずは睡眠薬が原因である可能性を考えるべきでしょう。