精神科Q&A

【0023】  私の薬に副作用の心配はありませんか


Q:  私は精神科から○○という薬を処方されて飲んでいます。この薬は副作用の心配はないでしょうか。

(同じような質問を多数いただいています。「○○」が何であっても、ほとんど答えは同じになりますので、まとめてお答えします) 

林: 要約すると、下の@ABになります。

    

@ 副作用は多かれ少なかれどんな薬にもあります。

A ただし重い副作用の心配はめったにありません。副作用というマイナスの効果よりも、症状がよくなるというプラスの効果のほうが大きいと考えて間違いありません。

B とは言うものの、重い副作用の確率はゼロではありません。                                                                                  

もう少し説明しますと・・

@ 副作用は多かれ少なかれどんな薬にもあります。

副作用があるのは、薬が人工的な物だからというわけではありません。漢方薬のように自然の物を原料にしていても、副作用は必ずあります。副作用があるから薬は飲みたくない、ほかの治療を受けたいという方も時々いますが、どんな治療にも副作用はあります。カウンセリングにも副作用はあります。逆に言えば、副作用が全くないというような治療法は、効果もないと言ってもいいでしょう。

A ただし重い副作用の心配はめったにありません。

薬が認可されるまでにはいくつもの厳しい関門があります。ですから、重い副作用のある薬は、正式に認可されて処方される薬の中には普通はないと考えていいでしょう。それでも出る可能性がある重い副作用は、大部分がアレルギーによるものです。この場合は飲み始めに出ることがほとんどなので、何週間も飲み続けた後ではもう心配はありません。また、飲んだ薬は身体の中で分解されますので、蓄積されることもありません。

そのほかの比較的軽い副作用は、可能性として数え上げればきりがありません。薬の能書・添付文書を読んだことがある方は、あまりにたくさんの副作用が書かれているのに驚いたことがあるかもしれません。あそこに書いてあるのはどれも「可能性」ということです。実際にはその中の一部が出るか、あるいは全く出ないこともあるでしょう。いずれにせよ、その副作用の不快というマイナスと、症状がよくなるというプラスを比べて、総合的にプラスのほうが大きければ、薬を飲むべきだということになります。

B とは言うものの、重い副作用の確率はゼロではありません。

「副作用の心配はないですか」という質問をする方の中には、@Aを理解しておられない方もいらっしゃると思います。けれども多くの場合はそういうことは百も承知だけれど、でも「心配はない」と医者に言ってほしくて質問する人も少なくないでしょう。「まず心配はない」と大部分の場合お答えできますが、厳密には「絶対に心配はない」とは誰にも言えないのは当然です。

これは、航空会社に、「私の乗る飛行機は落ちる心配はありませんか」と質問するようなものです。正確な答えは、「落ちる確率はゼロではない」という以外ないでしょう。薬についても同じことです。

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