精神科Q&A

【2377】双極性障害の私は、妻の感情的な対応に反応して悪化を繰り返しています


Q: 60歳,男性,自営業,家族は妻.私は2年ほど前に双極性障害と診断されました.きっかけは,頭痛が近くの病院で処方された薬で治らず,自己診断のサイトなどの情報から精神科を受診して,そのように診断されました. 自己診断では,頭痛の直前の2ヶ月ほどハードな作業を続けていたこと.あまり休まず作業を続けられたこと.が思い当たりました. その時の知識で今から振り返ると,物心付いたときから小学校卒業までうつ状態でした.友人はできませんでした.中学では元気でした,友人はできました.高校では授業中に居眠りがひどく問題児でした.寮生活のストレスで胃潰瘍になりました.大学時代は元気でした.高校で一人もできなかった友人が何人もできました.卒業後の数年後に体を壊しパラサイトで内向していました.このころは友人はできませんでした.30代の半ばにIT事業を立ち上げ現在は会社として経営しています.事業を始めて数年後に気が大きくなって,実力以上の仕事を引き受けてトラブルを起こしました.自分では「出来る」と言った覚えは無い(むしろ問題点を指摘したつもり)ですが,全般的に安易で誇大な表現をしていたのでしょう.買いかぶられたようで責任を負わされました. 現在飲んでいる薬は,朝夕各々リーマス200mg,レキソタン2mg,アモキサン10mg就寝前にリフレックス5mg ですが,アモキサンは頭痛がするので1日1回のときもあります. 問題は,現在うつが軽くなりかけると妻が安心するのか,私に感情的な対応をするようになり,その度に悪化の繰り返しで,私自身,直す気力が萎えてしまっていることです. 世の亭主族には良くある妻の行動だと思います.しかし,回復途上に受けるストレスには,うつ状態で寝ている方が楽であるとさえ感じてしまいます. 主治医からは入院も選択肢であるとアドバイスをもらっています.入院は適切な方法でしょうか? 


林: 精神科で入院を考慮するのは、ひとつはもちろん症状が一定以上に重い場合もありますが、そのほかの理由として、環境を変える必要があるという場合もあります。今の療養環境にいる限り、回復は期待できないか、または、困難だったりと考えられる場合です。この【2377】はそれにあたると思います。

問題は,現在うつが軽くなりかけると妻が安心するのか,私に感情的な対応をするようになり,その度に悪化の繰り返しで,私自身,直す気力が萎えてしまっていることです.

このような状況にあるとき、奥様に対して、「病気の人に対してもっと適切な対応を」と言うことは簡単で、かつ正論でもありますが、ご本人(ここでは奥様)にとっては、一つはこれまでの忍耐の限界が来かかっていること、もう一つは、症状が軽くなってきたために病気とは納得しにくく、つい病人に対するのとは違う態度を取ってしまうということ、この二つの理由から、今の感情的な対応を修正していただくことは難しいと思われます。
ここはいったん入院して環境を変え、奥様と距離をおき、奥様にも休んでいただき、かつご本人にはより適切な治療を受けていただくことが、すべてを良い方向に回転させる方策だと思います。

(2013.4.5.)


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