精神科Q&A

【1692】ADHD と診断されたが、薬を飲み続けるべきか


Q: 20代女性です。現在、ADHDと診断され、何種類かの薬を処方されて服用しています。
薬を飲み始めてだいたい半年たち、今では、多動や注意欠陥の症状も落ち着いています。

幼少期から、ADHD(多動性注意欠陥障害)の典型的な症状がありました。
ひどい忘れ物.遅刻癖、先延ばし、方向音痴、衝動性、計画性のなさ、時間の観念の希薄さ、金銭感覚の鈍さ、時に無気力、時に過集中などの症状です。
そのため学校生活や社会生活においてもしばしば問題を起こしてきました。

けれど、周りのサポートもあり、性格も明るく、「やる気のあるときには勉強も仕事も人一倍集中して行うことができる」ため、大学受験、就職、結婚、出産となんとか無事に過ごしてきました。

けれど、決まりきった日常のルーティンワークを淡々とこなすことが苦手なADHDとしては、家事と育児と子供の受験、そして家計を助けるためのパートなど、やらねばならないことが増えてきた昨年から、だんだんとADHDの症状が悪化してきて、だんだん自分の中で混乱をきたし、ノイローゼ気味になり、頭が整理できず、あれもこれもやろうとしても、行動の優先順位がつけられずに、パニック気味にまでなり、病院を受診しました。

ADHDに詳しい先生に、いろいろな生活上の工夫や自分なりの努力の仕方を教えていただきました。
具体的には、記憶に弱い点を克服するために付箋やホワイトボードにメモを必ずする、アラームの活用、寝る前と朝に一日の行動計画を練る、などです。
自分の弱点の対処法をあらかじめ考えておくことによって、ずいぶんと生活がしやすくなりました。

でも「衝動性」を抑えることがいちばん難しく、「後先考えずに買い物をしてしまうこと」「食欲の異常昂進により太る」そのせいで深い自己嫌悪件に陥り、「生理前の異常ないらいら」で子供にあたってしまう、ということから不安が募りうつ状態になってしまいました。

先生は、ADHDのためにリタリンを処方してくれましたが、ある時期から処方が打ち切りとなりました。それまでのふた月ほどは、一日3回、一回に半錠(5mg)飲んでいました。私にはそれで十分の量で、気分にムラがなくなり、朝ぼーっとしてしまうこともなくなり、やるべきことをそれなりにこなせるようになりました。 
現在はリタリンが処方されないため、コンサータの処方を考えてくれているようです。
その他の薬としては、
レキソタン2mgを朝昼晩1錠ずつ、
デプロメール25mgを朝晩1錠ずつ、
睡眠導入剤のかわりにデパス0.5mgを就寝前に2錠ずつ、
飲んでいます。
 
今はリタリンもコンサータもないため、だらしがないときと過集中でパワー全開のときとのやる気のムラが激しいのは変わらないのですが、その他の薬のおかげか、その自分のADHD的欠点についての自己嫌悪やイライラなどが減り、比較的淡々とした気分ですごせています。

ただ、あまりに調子がよいため、薬を飲むのを忘れてしまったりすると、とたんに、いらいらしたり、暴飲暴食をしてしまったりします。
そんな時、わたしはこのままずっと薬を飲み続けなければならないのか、そしてそのせいでなにか重大な問題が起こるのではないだろうか(依存や副作用など)という不吉な考えが頭をよぎります。

先生はずっと薬を飲み続けている人も大勢いるから、といっていますが、
林先生はどのように思われますか?参考までにお聞きしたくメールいたしました。


林: ADHDでも、さらには他のどんな病気でも同じですが、薬を飲むか飲まないかは、飲むことによるプラスと、飲まないことによるマイナスのバランスを考えて決めることです。レキソタン、デプロメール、デパスで、重大な副作用や依存が起こる可能性は低いです。リタリンの問題はよく知られおり、【0993】【1373】などの実例があります。コンサータに関しては、日本に導入されてから日が浅く、まだわからないというべきでしょう。
 それ以上のことは何もいえません。あとはご自分で決めることですが、【1692】の方の現状からみて、何らかの薬は飲み続ける必要があると思います。それが今の薬で十分か、あるいは不十分か、あるいはもっと減らせるか、それについては何とも言えません。


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