精神科Q&A

【1525】 「新型うつ病」の正体は何でしょうか


Q:  40代男性です。いつも精神科Q&Aを拝見させて頂いています。今回は「新型うつ病」について正しい認識をしたいと思い、質問させて頂きました。 2008年の夏、ネットのニュースで「新型うつ病が大流行」という記事に目がとまりました。記事によると、この新型うつ病の症状というのは、・仕事中だけうつで、帰宅後や休日は普段通り活発に活動する。・自分を責めず、身近な人間や社会に対して攻撃的な態度になる。・休職したとしても会社や同僚にかける迷惑などあまり感じないと書かれており、私はとっさに「擬態うつ病」ではないかと思いました。

実は私は5年程前にうつ病で休職した経験があり、この時の自分の症状としては、・仕事も趣味も何もやる気がおきず、一日中ボーとしていた。・食欲が無く、好きなビールも暫く飲まなかった(体重3キロ減少)・夜なかなか寝れなく、早朝覚醒してまた寝れないという睡眠障害・「会社に迷惑をかけた」という自責の念があり、自殺を考えた。というものでした。

こういう経験をしている私にとって、上記の新型うつ病の症状は「病気じゃなく、単なる自己中心なワガママな人間ではないのか?」「攻撃的な態度をとる点については、境界性人格障害ではないのか?」「新型とはいえ、”うつ病”という言葉は使ってもらいたくない」など、いろいろと感じました。 現在、ネットで「新型うつ病」で検索すると、実に沢山の情報がヒットします。「新型うつ病」を完全に「サボリ」「仮病」と決めつけている人(こういう方は、本当の「うつ病」に対しても理解してない人が多いのですが)から、肯定的に理解を示している人まで様々です。例えば、ある臨床心理士の方で、下記の様に新型うつ病の原因と対策(治療方法)を記載しているものもありました。 ◎原因:主に20代から30代前半の若い世代に多く発症し、この世代は仕事をどうやってやればいいのか、後輩をどう指導してよいのか等コミュニケーションをとるのが苦手で会社で孤立してうつになりやすい。◎対策:本当のうつ病の抗うつ薬では効果は無く、時間をかけたカウンセリングが必要で、会社ではできるだけコミュニケーションをとりことが必要。などと書かれていました。

うつ病の経験があるとはいえ、私はあくまでも素人なので、ネットで色々と情報を見ていても、ますます混乱するだけだと思い、ご迷惑と思いつつ、林先生に質問させて頂きました。質問としては、大きく下記3点です。
(1)「新型うつ病」は”擬態うつ病”の一種に属するものでしょうか?
(2)「新型うつ病」は医学的に病気であると断言できるものでしょうか?現在の社会環境が生み出した新たな病気なのでしょうか? 素人の短絡的な考えですが、「他人を攻撃する」点を省き、会社だけ”うつ”というのは、ニートが増加しているのと関係あるのではないかと考えたりします。「新型うつ病」と「ニート問題」は別々に考えた方がいいでしょうか?
(3)会社で「新型うつ病」の人がいたら、どう対応すればよいでしょうか?

私の現時点での(勝手な)考えでは、・産業医がいる会社では、まずそこに相談。・心療内科を受診させて、医師の診断を聞いて、うつ病であるか否か確認・できるだけコミュニケーションをとる様にする。ただし、病人ではないので、特別扱いはせず、一般常識での対応をとる。と思っています。 新型うつ病については、多くの方がその正体を知りたいではと思っています。取り上げて頂ければ幸いです。


林: 【1524】の回答の通り、この重要なご質問への回答は一冊の本になりました。それが2009年2月発売の、

それは「うつ病」ではありません! 宝島社新書

です。是非お読みいただければと思います。

対応については、【1525】の質問者のご提案は、ある意味で正鵠を射ていると思います。しかし、現実にはなかなかこの通りの対応ではうまくいかないケースも多いものです。そのあたりの事情についても、上記の本をお読みいただき、ご意見などいただければ幸いです。


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