精神科Q&A

 【1192】自己臭恐怖症と診断され、長年の治療も効なく、絶望しています


Q私は20代後半の男性です。自己臭恐怖症と診断され、高校生の頃から25歳頃まで精神科に通院していました。 

長年に渡って沢山の種類の薬を飲みましたが、残念ながらどれも全く無効でした。また、例えば体重が20キロ以上も増えてしまう(ジプレキサ)など、副作用は非常に辛いものでした。
そのため、毎回のように医師に、「薬は効きません」「副作用は辛いです」「だから、薬は飲みたくありません」という内容のことを訴えていました。これは私の率直な気持ちです。 
医師の返答は「薬を変えます」「もう少し様子を見ましょう」など、納得の出来るものではなかったのですが、我慢して薬は飲み続けました。 
しかし最終的には、医師の機嫌を損ねてしまったようで、治療を断られてしまいました・・・。 
通院は経済的負担。そして、混んだ待合室で長時間待たなければならないなど、精神的負担も相当なものでした。 

しかし、何より悔やまれるのは、薬を飲んでいる期間、ほとんど何も出来なかった事です。ぐったりとしてしまい、寝ているしかない状況でした。気が付けば時が流れ、人生で最も大切な時期を失っていたという「玉手箱」的な恐さがあります。 

今では、たとえ病気が治るとしても自殺以外の選択肢は考えられません。私はどうしても過去を生きなければなりません。過去あってこその未来です。これからの未来のどんな幸せも、私にとってはゴミ以下の価値しかありません。 
医師には裏切られた気持ちで一杯です。薬を飲んだことは、心底後悔しています・・ ・。 

さて、自己臭恐怖の苦しみの大きさ、生活の制限の大きさは、数ある病気の中でも最大級のものだと思います。しかし、人に相談することも理解を得ることも、まず不可能です。他の病気なら同情も得られましょうが、自己臭恐怖は逆に、偏見と差別の対象になるだけです。 
そして、治療法もサポートも何もありません(人によっては薬物療法や心理療法が有効らしいですが、私には無効でした・・・) 
そのため「治療やサポートが最も遅れた病気」「最も不遇の病気」といえるのではないでしょうか。・・・精神科の治療から離れていき、医師の知らない所で自殺する人は、おそらく多いはずです。 

なお、私の自己臭恐怖は、人が鼻をすする、くしゃみをする等に反応するもので、自分では自己臭恐怖だとは思っていません。薬が効かないのは「妄想」ではないからだと思っています(それでも妄想やら幻聴だと言われてしまうのでしょうね・・・) 

病気になった原因は、子供の頃の、義理の親による壮絶な虐待のためと確信しています。 

現在は、別居に一人隔離されており、たまに苦しみに耐えながらアルバイトをするといった状況です。 

どうすれば良いでしょうか? ・・・といっても過去が戻らない以上、もう自殺するしかないのですが、一応このような悲惨なケースがあることをお伝えしたくてメールを送りました。医学といえど万能ではなく、最終的な完成形でもないので、多くの人を助ける一方で犠牲者が出るのも仕方が無いことなのでしょう。・・・すみません。 
これからの発展を祈ります。


林: 自己臭症に限らず、自覚症状を他の人に理解されない、あるいはされないと感じることの辛さはお察し致します。
 しかしいま私からあなたに申し上げられることは、これからでもまた精神科を受診すべきだということにつきます。
 その理由を、すべて事実に基づいて説明することは、場合によっては誤解を招き、むしろあなたの絶望感を強めるかもしれませんので、ここでは差し控え、受診をお勧めすることにとどめます。
もし受診を躊躇されているのであれば、一冊だけ本をご紹介します。

対人恐怖・醜形恐怖  鍋田恭孝著  金剛出版 1997年

です。(対人恐怖の図書室にも紹介してあります)

【1192】の質問者に第一にお勧めするのは精神科の受診ですが、それはなさりたくないというのであれば、この本の内容が理解できるまで熟読され (そうすれば、たとえば、まだまだあなたに治療の余地はあることもよくわかると思います) 、それからあなたの行動を決めるべきであると思います。


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