精神科Q&A

 【1170】うつ病だと言っている同僚の言動に対し、腹が立つことが多い


Q友人のことですが彼女は26歳で未婚、父・母・姉と同居しています。彼女は2年前からうつ病により休職しています。確かに休職する半年程前から、明らかに会社にいても無気力で、ひどいときは一日中机に伏せているといった状態でした。最初は頭痛がひどいと言って脳神経外科に行ったようですが、その後たびたび病院に通うようになりました。このころ私は、そんなに大変なのに会社に来ていて大丈夫なのかと思いましたが、本人が何も言わない限りはこちらからも聞きませんでした。
休職したのは冬だったのですが、その年の夏、手首に近い場所に包帯を巻いてきました。夏で半袖の制服を着ていたので、もちろん包帯は見えていました。その時はケガか捻挫でもしたのかと思い、どうしたの?と聞くと、笑いながら「なんでもない」としか言わなかったのでそれ以上は聞きませんでしたが、ひょっとして自傷行為をしているのでは?と言う思いが芽生えました。
それからまもなくすると常に、頭が痛い・体がだるい・食欲が無い・眠れないと言うようになり、ただでさえ細かった体がみるみる痩せていきました。そしてある日仕事中に突然、実は精神科に通っている事、うつ病と診断されて薬を服用していることなどを話し出しました。そして学生の頃から、なにかイライラすると自分の感情が抑えられなくなり、それを抑える為に自分を傷つける行為をしていると言いました。包帯はその傷を隠す為だったのです。傷跡を見せてくれたのですが、剃刀で切ったような跡が5〜6pの長さでついていました。私は、5年前に彼女と現在の職場で知り合ったのですが、その時まで自傷行為のことはまったく知りませんでした。確かに、気分によって態度が変わったり、人に甘えてみたりといった自己中心的な事はありましたが、ただ単にちょっと子供っぽい人なのだとしか思っていなかったのです。しかし、今私は彼女が本当にうつ病なのか疑いはじめています。その理由は休職する前の1ヶ月間ほどの彼女の態度や行動などにあります。下記がそれです。

1イライラが強く出ると事務所内に他の社員がいるにもかかわらず、椅子を思い切り蹴飛ばしたり、突然机を力いっぱい叩くなどの行為をした。
2.会社は彼女の父親が経営しているが、お客様が見えていたのにもかかわらず、社長(父親)が自分の質問に答えないと
 「さっきから、どうなんだって聞いてるんだ!」と怒鳴った。
3.こんなふうになった自分は情けないといった自分を責める言動をみせるが、黙って聞いていると、仕事上の事で、なぜ人のせいでこんなに苦しい思いをしなければならないのだと言う様なことを話していた。
4.精神科のお医者さんは最初はっきり「うつ病」とは診断せずに、抑うつ状態と言っていたらしい。しかし、病院に通ううちに彼女が、はっきりと、うつならうつと言ってくれなくては自分が何をしに病院に来て薬を飲んでいるのかわからないと言うような事を言ってうつ病と言われたようだ。

そして休職後の彼女の行動や言動にも疑問があります。

1.何度も飲みに行こうと誘われた。私は既婚者ですが子供はいないので、最初は気分転換になるのならと思い付き合っていたが、頻繁に誘われるので、薬を飲んでいる時は、お酒は飲まないほうがいいよと言って断った。この他にも遊びに行こうと何度か誘われた。遊ぶのが目的ではなく、話を聞いてほしかっただけなのかは不明。
2.うつ状態になると家の中では自室にこもるのではなく、家族の居る居間や台所の隅っこにうずくまっていたらしい。(家族の話)
3.学生時代の友達から誘いの電話があると出かけたり泊まりに行くこともある。(本人は疲れるので行きたくない、嫌々行っていると話していた)
4.会社関係のパーティーなどがあると受付の手伝いに行くのだが、彼女も手伝いに来る。来客数は1000人前後規模。(これも上と同じく嫌々)

など、他にも休職前・後ともに疑問に思うところがあるのですが、きりがないのでこのくらいにしておきます。

助けてほしい、どうすればいい?といった事も休職直後に言われたのですが、私は医者ではないので話を聞くことはできても、助けることはできないと言ってしまった事があります。これについては、反省しました。

しかし、最近彼女は自分が参加しなくてはならない行事に私が前々から参加しないと言っているにもかかわらず、しつこく誘ってきてそれでも断ると、私だって行きたくない、結局自分がかわいいんでしょう?と言いました。さすがにこれには腹が立ちました。
私は残念ながら、相手が心の病だからといって、なにをされても言われても仕方がないと許せるほど寛大ではないのです。
その時は、頭にきていましたがいつもの冗談のように笑いながら「そうだよ〜。」とつい言ってしまいました。彼女も笑っていましたが…
もし、彼女が本当はうつ病ではないとしたら、いくら薬を飲んでいても意味が無いということでしょうか?
もしくは、病気だとしてもうつ病以外の病気ならば、うつ病の薬と同じ物でも効果があるのでしょうか?
薬の副作用も強く出ているようで、そのたびお医者さんに報告し換えてもらっているようですが、体には大きな負担となっているのではないでしょうか?
もちろん、病院ですので血液検査なども定期的に行っているので大丈夫だとは思いますが、薬を換えてもなにかしらの副作用がでているようです。
私はこの2年間、彼女と話をするときはもっぱら聞き役になっていた以外は、それまでとまったく同じ付き合い方をしてきましたが、今後もそのような対応の仕方でいいのでしょうか? 


林: この26歳の女性は、うつ病ではないでしょう。あなたが疑問としてお書きになっていることが、そのままうつ病を否定する根拠になります。しかしご本人はうつ病を理由として様々な要求をされているようですので、これは擬態うつ病と呼ぶべきでしょう。

もし、彼女が本当はうつ病ではないとしたら、いくら薬を飲んでいても意味が無いということでしょうか?

意味がないということはありませんが、期待できる効果はわずかなものです。この点に関しましては、擬態うつ病(2007年3月、復刊されました)をお読みください。

もしくは、病気だとしてもうつ病以外の病気ならば、うつ病の薬と同じ物でも効果があるのでしょうか?

この質問は意味がわかりません。

薬の副作用も強く出ているようで、そのたびお医者さんに報告し換えてもらっているようですが、体には大きな負担となっているのではないでしょうか?

わかりません。それは主治医にしか判断できません。

私はこの2年間、彼女と話をするときはもっぱら聞き役になっていた以外は、それまでとまったく同じ付き合い方をしてきましたが、今後もそのような対応の仕方でいいのでしょうか?

それはあなたの考え方次第です。メールの文面から、あなたはこの方にある程度の(あるいは、かなりの)反感を持っておられることが読み取れます。あなたが今後この方との関係をどのようになさりたいのか、続けたいのか、切りたいのか。続けるとしても、より密接にしたいのか、距離をおきたいのか。それによって適切な対応は違ってくるでしょう。なお、この方は境界型人格障害の可能性もあると思います。対応については、擬態うつ病、および人格障害についてのQ&Aもご参照ください。


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