精神科Q&A

 【1144】高校生の息子が、うつ病だといわれ学校に行かず、家で遊んでいます


Q: 40代女性です。高1の長男は、昨春地元の進学校に合格しました。本人の実力では難しいと思われたのですが、よく努力し、合格後、入学後も頑張っておりました。しかし、課題の多さや進度の速さに愚痴をこぼすことが増えていき、集中力に欠けうっかりミスをすることが多くなって変だなあと感じていましたが、疲れているんだろうぐらいにしか思わず何とか1学期を終えました。
2学期に入り風邪を引いたのが始まりで4~5日休み、その時に見たテレビでうつ病が取り上げられていて、自分の症状とぴったりだと思ったらしく、自分もうつ病だと言い張り精神科を受診しました。病院ではやはりうつ病だといわれ、ルボックスという薬を処方していただきました。そのころから学校も休みがちになり、12月にはほとんど登校しないまま、冬休みを迎えました。薬を飲み始めて1ヶ月以上になりますが、傍目にはほとんど変化がないように思えます。勉強に対する意欲はまったくなくなってしまっていますが、テレビを見たりゲームをしたり弟と遊んだりしている姿は楽しそうで生き生きしており、とてもうつ病には見えません。何かにつけて自分はうつ病だから仕方がないんだと、まるでうつ病であることを自慢するようにしている姿を見ると、ただつらい現実から逃げているだけじゃないの?と思ってしまいます。息子は擬態うつ病なのではないでしょうか? もしそうだとしたら、周りはどう接したらよいのでしょうか。


林: うつ病の可能性は低そうです。

テレビを見たりゲームをしたり弟と遊んだりしている姿は楽しそうで生き生きしており、

あなたのご見解の通り、この状態をみるとうつ病とは考えにくいです。また、

何かにつけて自分はうつ病だから仕方がないんだと、まるでうつ病であることを自慢するようにしている

これは、擬態うつ病によくあることです。【0184】【0367】などもご参照ください。

ただつらい現実から逃げているだけじゃないの?と思ってしまいます。

その可能性は高そうです。だとすると、このままでは息子さんはどんどん駄目になってしまうでしょう。

息子は擬態うつ病なのではないでしょうか? 

擬態うつ病の可能性は高いと思います。少なくとも、うつ病と擬態うつ病のどちらの可能性が高いかといえば、擬態うつ病ということになるでしょう。

もしそうだとしたら、周りはどう接したらよいのでしょうか。

そうだとしたら・・・と結論に跳躍する前に、本当にうつ病でないのか、主治医の先生はどう考えておられるのか、直接お聞きすることがまず必要です。
 また、擬態うつ病であったとしても、擬態うつ病というのは、現実逃避以外に他の病気の可能性も含んでいますので、安易に逃避であると決めつけるのは危険です。もっとも、そういう慎重な態度が、擬態うつ病の増殖を生んでいるともいえるのは、擬態うつ病(2007年3月、復刊されました)に私が書いた通りです。


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