精神科Q&A

 【1003】実際にニオイがあっても門前払いされるのは治療法が開発されていないからでしょうか


Q: 僕は35歳の男性です。 
僕は、小さいときから腸が悪く、便秘をくり返し、高校の頃には下痢も加わって「過敏性腸症候群」というので内科にかかり、おならが漏れて周りの人から避けられるようになっていました。しかし、漢方薬やビオフェルミン等を飲んでもいっこうに症状は改善せず、思い切って、近くの総合病院のソーシャルワーカーさんに相談にゆくと、精神科を紹介されて、大学に入った20歳になる前の4月からアビリットを処方してもらい、劇的に「おならが出る」症状はなくなりました。 

しかし、おならはよく出そうになっていたし、お腹はよくすいて鳴ったりして恥ずかしい思いもしたし、安定剤を飲み始めてから4年ぐらいは夕食後、天ぷらなどを食べたあとに限って猛烈な腹痛を伴ってひどい下痢が続きました。 

しかし、おならが出そうになるものの、「おならが漏れる」と言う症状にはあまり悩まされなくなりました。お陰で大学生活は楽しいひとときでした。 

しかし、ある日の精神科の診察で、主治医から突然「体臭を気にしても出るものは仕方ないでしょう!!!」と言われ、僕は「おならが漏れる」と言うのでずっと訴えてきていたので、一瞬「どういうこと?」と思ったのですが、それ以来自分の体臭が気になり始め、皮膚科に行ったり内科で聞いてみたり、大学病院の総合診療科とか言うところへも相談にゆきましたが、相手にされませんでした。 

カウンセリングを2年以上受けましたが、カウンセラーと相性が合わなかったのか、そういう話しはしたことがほとんど無くて、カウンセリングも失業で中断(終了)し、現在はほかの心療内科(神経科)でリスパダールを処方してもらうだけで、診察のときはニオイについてはほとんど話題にしません。 

「言っても相手にされない」と言うのがこれまでの経験で明らかだからです。 

インターネットで医師のホームページを見たり、香水を付けてみたり、サプリを飲んでいますが、これと言った根本的な解決にはなっていない感じです。 

自分自身が安定剤の必要な幻覚・妄想のある病気だというのは認めますが、実際にニオイがある場合、医療的にどういうアプローチがなされますか。まだそういう分野の研究が充分でなくて、治療できないからそのように門前払いされるのでしょうか。 

僕の場合、ニオイの特定も、いろいろなニオイがするからよく分からないけれど、頭の汗のにおい、背中の油っぽいニオイ、顔を含めた頭部の油っぽい皮脂の汗くさいニオイが主です。足のニオイは市販の制汗剤で解決できました。 


: あなたは自己臭症だと思います。【0991】【0992】などを参照してください。あなたへの回答もこれらとほぼ同じものになります。

実際にニオイがあっても門前払いされる

とあなたはおっしゃっていますが、上記の【0991】【0992】などで繰り返しお答えしたように、本人は実際に臭うと強く主張するのがこの病気の特徴です。私からこのように言われても納得できないのはわかりますが、事実をお伝えするのがこのサイトの方針ですので、とにかく事実は事実としてお伝えします。

自分自身が安定剤の必要な幻覚・妄想のある病気だというのは認めますが、実際にニオイがある場合、医療的にどういうアプローチがなされますか。まだそういう分野の研究が充分でなくて、治療できないからそのように門前払いされるのでしょうか。

読者の中には、上記の「自分自身が安定剤の必要な幻覚・妄想のある病気だというのは認めます」と言いつつも「実際にニオイがある」と主張していることに矛盾を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。つまり、この【1003】の方は、病識があるのではないか(すなわち、自分が病気であるということを認めている)、それなのにニオイがあると言うからには、ニオイがあるのは少なくともある程度までは事実なのではないか、そのように思われるかもしれません。
 しかし、このように曖昧というか、厳密な理屈では説明がつかないのが病識というものであり、妄想を持つ病気の特徴でもあります。この【1003】の方の訴えは、自己臭症の方に典型的なものといえます。精神科(この方は心療内科に通っておられますが、精神科と心療内科は同じものと考えてほぼ間違いありません)の治療を続けることが勧められます。



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