精神科Q&A

 【0992】自己臭症ではないかと思う従姉妹のこと


Q:私は25歳女性です。20歳の従姉妹のことで相談です。
従姉妹の母である叔母から、従姉妹が高校に入ったくらいのとき、どうも酷い腋臭らしいと相談を受けました。
腋臭というものが単に「汗臭い」だけのものと私は思っていたのですが、
「部屋に10分いただけで、部屋全体が臭くなる」
「服の脇の部分の繊維が変色する」
「脇の露出しない服を着て、汗をかかなくても臭い」
という症状を聞いて驚きました。
夏場はそれは凄い匂いがするそうで、従姉妹は引きこもり寸前だということでした。
知り合いの皮膚科の医師に相談したところ
「形成外科で相談しなさい。」とアドバイスを受けました。
皮膚科の先生の紹介で良い形成外科医のところに行くことができました。
やはり「腋臭」と診断され、脇の汗腺の手術を受けました。
かなり回復し、全く匂いが気にならないまでになりました。
従姉妹も喜んでいたのですが、昨年の夏ごろから
「また腋臭が酷くなった。もう一度手術したい」といいだしました。
何度か会ってみましたが、全く匂いはしません。
「そんなことない。この間、ものすごく臭かった」と言うのです。
しかし去年の夏は猛暑で、嫌でも汗を大量にかきました。
そんな中では誰だって多少はにおうものだと思います。
「そんなこと言ったら私も相当臭かったよ。普通じゃない?」
と言っても納得しません。
「手術したのに直らなかった。もう一回手術したい」
と繰り返しますが、なにぶん高額な手術だし、叔母が保険証を管理しているので、医者には行けていないようです。
しかし、最近●●美容クリニックなどの医院ではないところで脱毛や腋臭の手術を受けることができることに気づいたようで、私の部屋にあったファッション誌の広告を見て「どこが安心かな?」などと聞いてきます。従姉妹はもう未成年ではないので、親の承諾なしに手術を受けることは出来ます。

昔本当に腋臭だったことが忘れられず、一度汗臭くなったことでまた逆戻りしてしまったと思い込んでしまっているようです。
しかし、私は従姉妹をまったく臭いとは思わないのです。
それを何度伝えても「そんなことはない。臭い」と言い張ります。
冬に入って少し落ちついていたのですが、年末に「タイツを脱いだら足が臭かった。足にまで匂いがうつった」と言い出しました。
タイツを長時間はいたら誰だって…と言ったのですが「私のは人より臭かった。女がこんなに臭うわけない。病気だ」と言って聞きません。
「デパートで靴の試着をしたら、横にいた店員がそっぽを向いた。足が臭かったからだ」
とも言い出し、これは普通ではないと気づきました。

ノイローゼじゃないのかと色々調べているうちに先生のサイトを見つけました。
「自己臭症」という症状が当てはまるように思います。
一度病院に連れて行ってはっきり診断していただきたいのですが、叔母が一度「ノイローゼになっちゃったんじゃない?」と言ったとき激しく怒り否定したそうで、「精神科に行こう」とは言い出しにくい状況です。
本人は「絶対自分が臭い」と思い込んでいるので、否定しても話しになりません。
「手術とは違う治療方法があるから、説明を聞きに行こう」と目的を偽って精神科に連れて行くのは後々の治療によくないでしょうか。
アドバイスをお願いします。


: あなたがおっしゃる通り、自己臭症です。【0286】【0498】【0508】【0774】【0991】もご参照ください。この【0992】のケースも【0286】と同様に手術を受けており、さらに再手術を希望されているようですが、たとえ何回手術をしてもこの病気は治りません。精神科での治療が必要です。とはいうものの、

「精神科に行こう」とは言い出しにくい状況です。
本人は「絶対自分が臭い」と思い込んでいるので、否定しても話しになりません。


このようなことのため治療開始そのものが難しいことは、自己臭症ではよくあることです。

「手術とは違う治療方法があるから、説明を聞きに行こう」と目的を偽って精神科に連れて行くのは後々の治療によくないでしょうか。

これはお勧めできません。治療には長期間を要し、一回や二回の受診で解決する性質の病気ではないからです。
 ですから、まずはご本人でなくご家族のどなたかが精神科で相談されるのが現実的な方策です。診断だけなら本人を連れていかなくても出来ます(メールで出来るくらいですから当然です)。
 ただし保険診療にはならず、また、投薬などの治療を始めることは出来ません。メールによる場合もそうですが、お話の内容が本当かどうか、直接診察しなければわからないからです。
 それでも、具体的な対策や受診までの持っていき方についてアドバイスがいただけることもありますので、まずはご家族による相談をお勧めします。
(何のアドバイスももらえないこともあります。その場合はその医師にかかっても仕方ないということがわかります)



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