精神科Q&A

【0585】統合失調症の娘の甲状腺データ異常


Q: 18歳の娘が2年前に「死ね」という幻聴に操られて飛び降り、脊椎損傷で入院中に精神科の診察を受けて統合失調症と診断され服薬を続けています。
その後精神的には落ち着いていたのですが、一ヶ月ほど前に、「テレビに自分を取りざたする番組が流れたからもう外に出られない」と怯えだし、薬が少し増えました。その後、不眠症状と、独り喋りで幻聴の声の侵略者に向かい「いやだね」としきりに答えていて、いつか自分はそいつらに殺されると言ったりします。
 この件で薬が強くなる際に血液検査を受けるよう言われ貧血と甲状腺を調べるよう指示がありました(なぜかどこか他の病院でやって来いと言われました)。その結果、甲状腺の方のサイログロブリンが92.7で高値と出、これは精神科ではなく甲状腺の専門医院に行くようにと言われました。
 確かに一項目のデータだけでは判断できないと思いますので専門医院に連れて行くつもりではありますが、私の娘のケースでも【0324】のようなことが考えられるのでしょうか?あるいは薬の影響で出ている異常値ということも考えられるのでしょうか?
ただ、受診しているところでは甲状腺と娘の症状との関連性は全くないと言われ、別の病気として扱われました。その辺は、甲状腺の病院での検査ではっきりするのでしょうか?


: まずはきちんと甲状腺の検査を受けられることだと思います。
サイログロブリンは甲状腺タンパクで、だいたい30ng/ml以下が普通ですので、この方の92.7という数字は明らかに高値です。サイログロブリンが高値になる病気はたくさんありますので、あなたがお書きになっているとおり、一項目のデータだけでは判断できません。甲状腺機能亢進症ということも考えられます。また、甲状腺癌でもサイログロブリンは高値になりますので、いずれにせよ専門病院での検査が必要です。

 娘さんの症状と甲状腺の関係についてお答えするためには、甲状腺ホルモンの値を知りたいところです(その検査もしているはずだと思います)。それがわからないと何ともいえません。もっとも、わかったとしても明確なことは言えないのは【0324】の解説の通りです。

 ただこの【0585】のケースは、統合失調症(精神分裂病)としてかなり典型的な症状ですので、どちらかというと甲状腺との関係はなさそうに見えます。しかし、それは厳密にはわからないことなのです。また、統合失調症(精神分裂病)の薬の副作用としてサイログロブリンの異常値が出ることはまずありません。(躁うつ病に主に使われるリーマスでは、副作用として甲状腺が腫れることがあります。ただし良性のものです)


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