精神科Q&A
【2366】統合失調症の夫が何時間も行ったり来たり歩き続けている
Q: 47歳の主人が統合失調症で通院投薬治療を約10年続けています。この三日ほど調子が悪く、イライラしたり不安になったりして、じっとしていられない状態になり、その度に頓服で処方されているリスペリドン内服薬やユーバン錠を服用しています。日中は私が一緒に散歩に出ることで落ち着いてきます。1回に30分〜2時間ほど外を歩きます。昨日は朝から日中何度かあるいて昨晩はよく眠れていました。今日も日中よく歩いていたのですが、今晩11時半ごろから、布団と台所のイスをピストン状態で行ったり来たりする状態が今(夜中の3時)も続いています。こんなことは初めてで、どうすればいいのか分かりません。主人も自分自身では止めることができないようです。心配でたまりません。どうかご回答をお願いいたします。
林: 統合失調症の常同行為か、または抗精神病薬の副作用であるアカシジアだと思います。治療中の統合失調症の人が、「じっと座っていられない。歩き回らずにはいられない」という場合、アカシジアである場合が大部分ですが、この【2366】の
布団と台所のイスをピストン状態で行ったり来たりする状態
という描写は、アカシジアよりも常同行為を思わせるものです。ただし実際の場面を見なければ何とも言えません。アカシジアの可能性も否定できません。
このような常同行為は、統合失調症のほか、覚せい剤精神病でも時折みられるものです。ドーパミンとの関係が深い症状です。動物でも、脳のドーパミンを過剰な状態にすると、同じ動作を延々と繰り返す常同行為が観察されます。
それはともかくとして、この症状は、ご家族だけで対応するのは無理だと思います。主治医の先生に状況を正確にお伝えし(ビデオに撮って見ていただくのもいいかもしれません)、適切な治療を受けてください。
(2013.3.5.)