精神科Q&A

【2362】声が出なくなりました


Q: 20代後半の女性です。「声が出ない」、「人前でしゃべれない」「しゃべらない方が安心する」だけれど、内科的疾患、声帯に一切の問題はない。自分では、精神的な原因であるとわかっていて、しゃべらないでいて不自由はない。手話もできる。でも、周りからは、「早く治さなきゃ」「早く話せるように」と言われることが、大きなプレッシャーに。 仕事柄、さほどしゃべらなくても、収入を得ることができ、私自身は、しばらくそっとしておいてほしいのです。他にも、複雑な家庭環境で育ったため、不安神経症、不眠症、うつ状態、PTSD等があります。拒食症の時期がありましたが、今は回復しているつもりです。体重が増えると苦しく感じますが、痩せ型の体重ではありますが、今は炭水化物や動物性タンパク質を含む食事は1日に1回は食べています。 事実、小学生時代、2名ほど、内科的問題はないものの、なんらかの事情で、しゃべれない子というのがいました。ただ、その病名は不明です。しゃべれない以外は、何も問題なく正常です。社会は受け入れがたいのだと思います、聾唖者でもないのに、声を出さないこと、わがままだと受け取る気持ちはわかります。映画やドラマを見ていると、たまたま似た症状の人がでてきます。 よくある症状なのでしょうか。病名を知りたいわけでも、回復を急いでいるわけでもないのですが、精神科医として勤務している際、こういう症状の患者さんと遭遇することは、よくあることなのでしょうか・・。病院では筆談です。


林: これは失声(しっせい)です。心因により声が出なくなる症状です。このメールには書かれていない、何らかの心因があることはまず確実だと思います。症状自体、本人が重大と考えていないことも、失声の特徴のひとつです。解離の症状の一つとするのが一般的な考え方です。

私自身は、しばらくそっとしておいてほしいのです。

この希望にそって、特に治療的なアプローチをしないという選択を、私なら採ると思います。いつか自然に治ります。

(2013.3.5.)


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