精神科Q&A
【2343】うつ病のあと急に元気になった男性が怖い
Q: 30代主婦、夫の出身地で慣れない地方生活をしています。まだ地方では友人ができないので、自然と、ネットを使って昔の都会の友人たちとつながっています。その中の1人の男性(以下Aさん)が怖くなってきました。・Aさんはもともと趣味を通じた友人の友人程度のつきあい・私よりかなり年上、50台半ばで、接点も少ない・ネット(ソーシャルネットワーク)を介して、つながっている状態です。年上の方なので私は失礼のないように気をつけてつきあってきました。そのAさんが、「実は2年ほどうつ病だった」と告白してきました。仕事がうまくいかず、うつ病になったそうです。ちょうどそのころ、私も忙しかったので、彼の音沙汰がないことを気にしていませんでした。 Aさんは「今は仕事もきっぱりやめ、とても元気になった」と言い、以下のように活動しています。・ブログやソーシャルネットワークを頻繁に更新する・あちこち旅行に行きまくり、またそれをブログにアップする これだけなら「ああ元気になられてよかったな」で済みましたが、彼の関心が私に向いてしまいました。頻繁にメールや、ソーシャルネットワークを使って連絡が入るようになりました。彼が私に言う主旨は ・地方生活に慣れないのは努力が足りないせいである→自分がそのコツを教えるひつようがある・自動車の運転が下手なのは努力が足りないせいである(注・私は地方に来てから運転を始めました)→自分がそのコツを教えるひつようがある・そのためには、地方まで自分が訪ねて行かねばならない。家に泊めてほしい。夫も予定をあわせてくれ。と言ってきて、仰天しました。私のほうから地方生活を相談したり、車の運転を教えてほしいと言ったことはありません。しかも拙宅を宿泊大歓迎と言ったこともありません。 夫に相談して、「できないことはできないと言えばいい」とアドバイスを受け、訪ねてくるのはいいけど、泊まらせたり夫に期待されるのは困る、と伝えました。そのニュアンスが通じていないような気がします。とてもハイなのです。 また、私がネット上に発する言葉(なにげない日常の、誰宛でもない言葉)を自分宛だととらえるのか、「返事」がメールできます。それも決め付けと上から目線です。たとえば、私が「○○という車がかっこいいな」と言えば、メールで「その車を買うのはお金を捨てるようなもの。××を買うべし(以下薀蓄)」といった調子です。 Aさんのこれらの濃いコミュニケーションは、うつ病以前にはありませんでした。昔は、極めて「ふつうのおじさん」だったのです。 夫は「うつ病の薬が効きすぎて、躁になっているのかな」と言います。だとすれば、私の態度しだいで悪化したりすることもあるのでしょうか?どういう態度をとればいいのかわからず、私のほうが参ってきました。
林:
夫は「うつ病の薬が効きすぎて、躁になっているのかな」と言います。
そのような可能性はないとは言えませんが、それよりも、この方が躁うつ病(双極性障害)で、うつ病相の後に躁病相になった可能性のほうがはるかに高いと思います。躁うつ病 患者・家族を支えた実例集 のcase1とよく似たパターンです。このような場合、周囲の方の対応によってどうこうできる状態ではなく、精神科で躁うつ病の治療を受けるのが唯一の方法です。
(2013.1.5.)