精神科Q&A
【2320】飲むと手に負えない、しかし断酒の意思はない父
Q: 私の父についてのご相談です。
家族構成は、父 54歳 会社役員 (昔から毎日ビール6本は飲んでおりました)、母 50歳、長男 23歳(私)学生、長女 21歳 学生 です。
経緯
X年12月
単身赴任(5年間)中の父が浮気をし、会社に発覚し仕事に支障が生じ、寂しさを紛らわすため飲酒を繰り返す。出勤前にビールを飲む状態。
X+1年1月
会社から異動を命じられ東京に戻る。その後も飲酒が続き肝硬変の疑いで入院(2週間)。
入院中酒を断った事で2週間で正常値に戻り退院。しかし、以後も酒量は減ったものの断酒はせず。仕事を干され閑職に。
7月中旬
母が突然失踪(かつての交際相手のもとへ)。
父はショックで酒量が極端に増え、一日中酒を飲む状態。
7月下旬
母が説得に応じ戻る。しかし、3日後再び失踪。
8月上旬
母再び戻る。
9月中旬
母再び失踪。
以後父は飲酒を繰り返し、演技の自殺未遂、大声を出す、酒を飲んで絡む、欠勤等を行う。
父いわく「酒を飲まずにやっておれるか」。
「相手をぶっ殺す」「やくざの友人に依頼する」等と訳の分からぬことを繰り返し話
す。この生活が家族にとって苦痛となる。
10月上旬
父を精神科に連れてゆく。
うつ病との診断、パキシル、ドグマチール、ソラナックス、ベンザリン、などを処方される。薬はしっかり服用しており、通院も指示どうり行っている。減酒を約束するも守られず。
10月下旬
私が酒を処分し今後家に酒を持ち込まぬ事を約束する。状況は幾分良くなる。
ただし、飲み屋で飲酒。数回家に酒を隠し、揉める。
11月初旬
仕事上のストレス(現在も役職はあるものの閑職)から近所の飲み屋で泥酔。
道端で寝ているところを近所のひとに連れられる。手に出血(酔って怪我か?)。
上記の翌日
二日酔いで欠勤。
まずいと言いつつ「料理酒」を飲む。家で仕事をしていた様子。昨夜の事を説教、反省しているような事を言う。
夜、飲み屋へ、30分で戻るというが、戻らず連れ戻しに行くも「すぐ帰る」というのでそのままにしておく。
12時過ぎに飲み屋のマスターに連れられ帰宅。ビール瓶を持ち帰る。「マスターが持たせた」などと訳の分からぬことを言う。ベンザリンを飲ませ就寝。
現状について
ほとんどの方がそうだと思いますが、酒を飲んでいないときはマトモなのですが酒を飲むと手に負えません。酒に酔って同じ事を繰り返し述べほとほと疲れ果ててしまいます。自分自身の将来の事を考えると、この状況が続くならいっそ死んで欲しいと思えてきます。しかし、父は「酒は好きで飲んでいる」と言い、断酒の意思はありません。
現状では
1、家に酒を置かない
2、手に負えなくなったらお薬を飲ませ、寝かせる
3、時間が状況を改善してくれると信じ耐える
との対策しかないと感じております。
ご相談
1、父に断酒の意思を持たせるにはどうしたら良いか(断酒会に関心を示さない)
2、アル中患者の一般論として今後状況は改善しうるか、又どうなって行くか
3、助けてください
林:
1、 父に断酒の意思を持たせるにはどうしたら良いか(断酒会に関心を示さない)
おそらく普通に考えられる方法では無理でしょう。
底つき体験という言葉をご存知でしょうか。アルコール依存症の方が、仕事も家族も健康も失うなど、どん底の体験をしてはじめて、断酒の意志を持ち、回復に向かうという現象を指す言葉です。この【2320】は、底つき体験をする以外に、断酒の意志を持たせることはできないケースと思われます。
2、アル中患者の一般論として今後状況は改善しうるか、又どうなって行くか
底つき体験を機に回復に向かうか。
その前に命を失うか。
そのどちらかでしょう。
3、助けてください
私のサイトは人を助けることを目的とするものではありません。事実をお答えするだけです。
(2012.11.5.)