精神科Q&A
【2233】退院から3年後、急にハイテンションになり、激しい幻覚や妄想が出てきた
Q: 林先生、はじめまして。私は50歳で関西在住、建設会社に勤務しております。この度は同棲中の52歳の妻、、(内縁ですが間もなく入籍予定でした)の異常な言動と妄想について質問をさせていただきます。家族は私、私の前妻との17歳の息子、妻になります。3年前に地元の精神科に私の同僚の親友がうつ病で閉鎖病棟に入院しており、週に3回程度の面会や差し入れなどに足を運んでいました。そこの喫煙コーナーで妻と知り合い、退院後間もなく交際、同棲に至りました。筆舌には尽くせない苦労の連続で3人の娘とも引き離され、元の夫にも裏切られ、学童期も惨めな思いをしたとの事です。やがて心身がボロボロになり、車に飛び込んだとの事ですが間一髪で軽症で済み、警察のお世話になり病院で診察の結果、措置入院と医療保護入院で合計3ヶ月を経て退院しました。これは妻から聞いた話ですが当時の知人その他から裏づけがほぼ取れていますので妄想ではなく真実であると思えます。この時の診断は「治療計画案内書」なるものを見れば「統合失調症の疑いがあり」と書いてありましたが、書籍やネットでの情報を頼りにこの3年間を思い出しても一向に陰性症状、陽性症状も私には感じられず、家事も丁寧にテキパキできていましたし、特に変わった様子もなく生活してきました。また、この措置入院時はカウンセリングや集団療法がメインで服薬は一切なかったようです。退院後に通院も少しの間していましたが特に薬が出るわけでもなくカウンセリングのみだったとの事です。後述しますが、この病院の対応は事実確認をしています。退院後、専業主婦をしてもらい、私の収入で家計は立っていました。私には5年前、前妻との離婚は成立していますが妻も自分の子のように目いっぱい可愛がってくれていましたし、息子もよく懐いて前のお母さんより良いとまでに家族仲は良好でした。10ヶ月前から環境の変化があり、私の仕事の都合で隣県の支社に出向になり、単身赴任という形で会社借り上げのアパートから出社して仕事を現在までしてきましたが、出向期間は1年でしたので、日曜日は毎週家に帰り、月曜の早朝にアパートに出発するサイクルがずっと続いていました。建設業は休日が思うように取れない事が多く、長時間労働の職種になりますので家族で過ごす時間がこの1年弱は少なかったことは否めません。寂しいとは言っておりましたが息子も居ることだし、1年間だけだから我慢してくれるように求めると、素直に受け入れてくれて、私の不在時も息子から話を聞く限り、おかしな言動は一切なかったらしいです。今年の正月休みに私に4万円貸してくれというので理由を聞くと、四国八十八箇所の遍路をしたいというので、許可した上で5万円を渡しました。主に車で巡っていたようです。 ところが3週間ほど前から何だか普段とはちょっと違うなと感じた事がありました。要約すると以下のような言動がありました。私と息子の観察した情報を総合すると、だいたいが以下のことで一致します。
1、今までキチンとできていた片付け、清掃、その他の家事が雑になってきた。元々が綺麗好きで、主婦としての食事、洗濯、掃除や息子やペットの世話が徐々に失われていき、家の中は散らかし放題、ペットの食事や糞尿も放置、押入れの中のものを部屋に引きずり出すなどの行動をする。また、入浴も頻度が落ちてきた。しかし体臭が著しい、ゴミ屋敷とまでは今の所いっていません。
2、車の運転で交差点で右折車、左折車が見えたらやや減速するが左手を伸ばす。自動車運転中、直進時に左右の枝道から車が見えたら左手をまっすぐ伸ばして割り込んでくるなというような意思表示をしているような行動をする。少々割り込み気味の車があれば思い切りホーンを鳴らし、反対車線にはみ出すほど大きくハンドルを切り、危険と思えるときも、しばしばありました。
3、後ろの車にホーンを鳴らされたら虫の居所が悪ければ男の汚い言葉で暴言。青信号に気づかず、または徐行する必要の無いところでトロトロ走っていて後続車はホーンを鳴らされたら車を降りて相手のドライバーに口汚い罵声を浴びせる。
4、役所・行政・政治関係者・役所や公務員への行き過ぎた干渉。今の日本はだめだからという理由や、ありえないような理由で機関職員に怒鳴り散らす。たとえば県庁で外国人を受け入れると韓国、中国などに日本が乗っ取られる、追い出すべきだ、とか。県警本部で、私の身辺警護をしてくれて感謝いたします、などの妄想主体の言動をする。市役所の出入り口の守衛に対してご苦労様、北朝鮮のスパイから守って下さってるんですね、などの言葉。
5、現代風の若者(茶髪、ピアス、中高生の厚化粧)への行き過ぎた干渉。街角で見かける現代風の若い女性にガキのくせに化粧するな、それでも日本人か。男の癖にピアスをするなんて日本男児じゃない、お前みたいなのは日本から出て行けなどという、暴言。
6、神社、お寺、その他の神格化された施設への過度なお参りや無断で器物拝借、窃盗。八十八箇所巡りを半分ほど済ませると、家の近所のお寺や寺院などに積極的にお参りをするようになり、大声で「般若心経」などのお経を唱え、それが終わるとお地蔵さんに掛かっている数珠や水晶、その他の置物、お賽銭を管理者に無断で持って帰り、それを注意すると私は卑弥呼であり、現代において唯一無二の生き仏で巫女であるから許される。お地蔵さんも私に対して重たいので膝の数珠をとってくれ、と言うので私がいただいた。などと幻聴とも取れるような事を言う。
7、多弁でとにかく喋りまくり、内容は殆どが神仏的な誇大妄想とお告げ。以前から、決して無口なほうではなかったですが、長時間(6時間、ひどい時はそれ以上)にわたり、休む間もなく日蓮宗、真言宗、神道などの宗教的な話題であり、その殆どが生き仏である自分を中心に有利に働くような事を言う。自分は森羅万象をすべる宇宙の中心であり、お告げにしたがって行動していると言うものがメインです。それをハイテンションで延々喋りまくります。否定すると心眼が開いてない人には判らない、もっと信心を深く持ちなさいという事を言う。私は世界に一人の真の巫女だから間違いは無い、という事を言う。
8、短時間でコロコロ変わる対人的な価値観と感情の波。今まで私の非(過去の女性問題、タバコのポイ捨て、車のスピードの出しすぎ、交通事故)を取り上げて延々と責めていたと思えば、一転して私のような流れ者の女を拾ってくれて感謝している。これからも捨てないでね、などと私を頼るような事を言う。こういう時は涙を流して言う時もある。私のことを犬畜生にも劣る、地獄に落ちる、私と一緒に居る資格は無いという人格否定から1、2時間後には貴方は家柄も良いし学歴もあり会社でもそれなりの地位だから貴方をさらに磨いてあげるなどと言ったり、コロコロと短時間で怒りと甘えのような感情が交錯する。また、愉快な話題があればかなり豪快に大声で大笑いする。笑い上戸の究極のような笑い方です。
9、異常なほど車のナンバーやバーコードの数字に拘る。当初から多少はありましたが、番号、数字に拘り、例えば前方の車のナンバーが4910なら死苦十倍だから前の車の人は間もなく死ぬから早く追い抜いて、などと言ったり、家の中のダンボール箱や電気製品のバーコードが49(日本製)だったら包丁を持ち出して全てを剥がしたり息子のノートの4、9、13のような縁起の悪い数字を塗りつぶすなどの尋常ではない行動をする。以前は飛行機に乗るときに座席がそのような数字が含まれていても縁起悪いね、などと言いながらでも着席しており、病的なこだわりは無かったです。
10、ありえない妄想と偶然又は当然の事を自分の都合よく解釈し、あまりに楽観的な思い込み。レストランで食事をした時、私は福の神だから神がここで食事をしたら皆さんがゾロゾロ私の福の欲しさに押しかけてくるようになった。その通りでしょう?※19:30ごろなので夕食の為にある程度お客さんで混雑は当然のこと。ガソリンスタンドを出るときに車線が空いておりスムーズに出られた。みんな巫女だということがわかるので恐れ多くて道をふさげない。※単純に本線信号の時間的でタイミングよく変わった。
11、全体的に見て短時間睡眠になった。以前はある程度波があったものの標準的な睡眠時間でしたが、ここ3週間ごろから20:00ごろから入眠して22〜23:00ごろには起きて神社、仏閣などに出発するようになった。
12、常識範囲内ではあるがお金の要求が増えてきた。今までの3年間、収入(家計)は私が管理していましたが生活費は適正と思われる金額を毎月渡していました。そして本当に物欲が無い人だったのでそれなりに少額でしたがやりくりしてくれました。今年になって間もなくから、徐々に金銭の要求が始まり、お寺などに行くためのガソリン代(物凄く長距離を走り回るのでそれなりに高額です)や特に必要でも無い物、例えば招き猫の置物やお釈迦様の銅像、仏具などを買うから2万円ちょうだい、というような要求が増えてきました。主観の違いもありますでしょうが、月に何十万という訳ではないのでまだ常識範囲内の要求かなと私は思っていますが・・。
13、今まで全く無かった私の勤務中に電話がかかってくる。私は建設業ですので工事中の建設現場内の写真撮影、施工管理などで場合によっては高所に上って仕事をする事があります。それは妻も認識してくれていましたが、割と頻繁に携帯に電話が掛かるようになり、内容は神がかりのような事や、自分が巫女である事を確信した、という馬鹿馬鹿しい内容が殆どです。今からそっち(私の勤務先事務所)に行くが、私は巫女だから北朝鮮のスパイや創価学会の工作員に日本の火を消す目的で巫女を暗殺しようとしている、命があったら行くが、私が死んだら○○と戒名を入れて、などという被害妄想のような事を言っては本当に来る。
14、私の兄は世界に轟く大会社の社長だから私を粗末にすると貴方は消される。妻の兄は確かに会社社長ですが、地元では誰でもその名を聞いた事がある会社規模で、そんなに大企業ではありませんが、妻はそう言い、消されるなどあり得ないと反論すると、兄の力はすごいから直接手を下さずとも貴方を闇に葬って歴史から消して、逮捕される事も無く、身代わりの鉄砲玉もいくらでも居る、などと言う。もっとも私も馬鹿馬鹿しい話ではあると思いながらも妻の兄に話すと当然のごとく一笑されてしまいました。
15、自分は兄との血縁は無く本当は天皇家直系の(梨本宮様の)娘である。妻の兄の話題のときに、貴方に今まで隠しておいたが実は私は梨本宮の長女であり、皇室は近親婚を繰り返したからおかしな子が生まれてくる。実は私は梨本宮様の長女であり、女は皇室に入れないという当時の宮内庁の方針に従い、○○神社で捨て子として捨てられたが地元の名士であった父親と皇室の密約があって父に拾われた。以後は民籍人として生きていく事を運命付けられたが本当は天皇家の人間である、などと荒唐無稽な事を言う。
16、巫女で天皇家直系の私に万一の事があるといけないから警察、自衛隊の人が守ってくれている。運転中にトラックが前後に付いたり姿勢の正しいオートバイのライダー、パトカー、白バイなどの警察車両を発見すると自分を守るために全国から終結して秘密裏に自分を守る指令を受けて護衛してくれているなどと言う。また、姿勢の正しいオートバイを見ると、あれは白バイ隊員の乗り方だし、前の車も警察官の自家用車で身分を隠してまで守ってくれている、巫女になにかあったら日本は破滅するから当然だと言うような誇大妄想がある。
17、高速道路の乗り間違えの時に逆走しようとした。高速道路入り口で方向を間違えた時にバックし、逆方向に車を向けて発車しようとした。本線ではなかったので事なきを得たが、大事故に繋がると叱ったら、神の助けがあり私たちはケガはないが相手が業の深い人なので死ぬだけ、などと常軌を逸した言動があった。また、一般道を走行中、あからさまに前方信号が赤色でも一旦停止はするものの左右から車が進行してなければ信号無視をする。咎めたら、私は巫女で貴方はヤマトタケルだからなにをしても許される、悪いのは突っ込んでくる相手のドライバーだと言い張って聞き入れない。自分は悪くない、なんでも許されて悪いのは相手だという思い込み。
18、家族以外にも、とにかくでしゃばり誰にでも話しかけて行動的で奇妙な言動車のオイル交換でメーカー工場でオイル交換・メンテナンスをお願いして待ち時間の間にカウンターで社員の若い男の子と女の子に対して、初対面にもかかわらず、どの過ぎる長時間で世間話を繰り返し、最後は君ら2人は結婚する運命だから、○○な所を治せばうまくいくと占い師まがいな事を言ったり、メンテナンスが終わって乗車するとハンドルが軽くなり、エンジン音が静かだったのでTOYOTAさんはいつの間に電気自動車にしてくれたの?と私に聞きましたので、そんな事は無いと否定すると、天皇家の娘だから全国の優秀なTOYOTAのエンジニアが秘密裏に招集され、電気自動車にしてくれたんだと言い張り、頑として認めようとしません。また、夜の大きな交差点で信号停車中に車道を酔っ払いが歩いていると、車を降りて歩道に連れて行き、救急車を呼んで、この人は私の福を横取りしようとしてバチが当たって自殺するところを助けた、などと隊員に説明していました。行為そのものは良いにしても信号が変われば後続車に迷惑が掛かるので諭したところ、お前は人の命がどうなってもいいのか、と逆上しました。
19、飲食店店員さん、小物屋の店員さん、本屋の店員さん、又はお寺で初対面のお遍路さんなどに過度の干渉。飲食店をはじめ、お店の店員さんに対して過度にお礼の言葉やお礼として道端で摘んだ花などをあげたり、ある程度の長時間にわたり世間話や神仏の法話を繰り返す。お遍路さんに住所を聞いてメモしたり、今度はうちに泊まりにいらっしゃい等と住所や電話番号を書いたメモを渡す。こういう時はかなりハイテンションです。
20、私は山の神だから私の怒りに触れると地震や火事が起こる。山の神の化身なので私の怒りに触れると、杖で地面を小突くと地震が起きる、火事になる。杖で地面をたたいたらニュース速報で東北で震度3があったとテロップが流れたなどと言う。どこかの小学校で家事かボヤが出たら公務員の不正が私を怒らせたからだと言う。地震、家事は事実のようですが、全て山ノ神である自分が引き起こしたと妄想しているようです。
21、注意力(身の回り)散漫。トマトを買って帰った時にどこに置いたか、メモをどこに置いたかなどの短時間前の事も思い出せないほど注意力が散漫になってきており、見つかってもまた同じ事をたびたび繰り返す。
22、奇妙な芝居や言動。ある戦国武将を祭る神社で、歴史家の教授の主催するイベントの際に、急に昏倒し、神社の方の好意で部屋を用意してくれて横になって休ませて頂いている時、声をかけると神社の関係者の前で急に起き出し、余は○○公(戦国武将の名前)であるぞ、うまい茶が飲みたいからもって参れ、などと言い、茶を頂くと私に対して、そなたは何故妻を大事にしてやらぬのだ・・などと言いました。神がかりと言うよりオカルト的なことは私は信じませんので芝居に間違いないとは思います。
長くなりましたが、だいたい上記のような事をここ2〜3週間、長くても1ヶ月強くらいで顕著に現れてきました。全体的に言えることは、異常なまでの自信過剰、宗教的な妄想、被害妄想、国家に守られてるような妄想、ほぼ超ハイテンション、短時間で感情の波が荒くなる、大きな発想とエネルギッシュな行動力不眠、短眠、多弁、多動などが私には見受けられる気がします。これは素人の私が見ても精神的な異常だと思いましたので、神社を巡っていておかしくなったと思い、知人の紹介で有名な僧侶にご祈祷をして頂こうと思い、電話で相談したところ、元々精神的な要素の人が霊場巡りをする事で心のスイッチが入る事もあるから、霊によるものなら除霊できるが精神的なものは僧侶には治せないからお医者さんに見て貰いなさいとのアドバイスを受け、精神科に行く事を薦めましたが妻は頑として私は薬はいらない、おかしくないから診察の必要は無いとの一点張りで、強く勧めると怒りだすので、2日間そっとしておきました。一時的な物かもしれないから様子を見ようと今思えば甘い考えもありました。しかしネット、書籍を見る限りでは「躁うつ病の躁状態」または「統合失調症」の症状に酷似しておりましたし、なにより本人が病識がないので一刻の猶予もならないと思い、保健所や警察にも相談しましたが、緊急性の無い場合は強引に診察はできない、というのがほぼ一致した意見でしたので、意を決して妻の兄に連絡を取り、相談したところ前回の入院の事を知っていましたので私のいう事を信じてくれて医師が治療の判断をすれば、強制的に入院させる為に印鑑を押すと約束してくれたので、一計を案じてハイテンションな時に私が、「俺が食事ができなく、精神的にも参ったので病院に連れてってくれ、もしかしたら俺は精神病かも知れない」と言って以前妻が措置入院していた精神病院に同行する事に成功しました。電話で妻の兄を呼び、なんとか診察室に入って診察を受けましたが、この時は暴れる事も無く、かなり素直に診察を受けてくれました。医師は「統合失調症だと思う」と言っていました。この一連の結果として私は仕事をやめ、息子にショックを与えてはいけないと思い、私の実家でしばらく面倒を見てもらう事にしました。妻の兄と医師との話し合いで「医療保護入院」という事になりました。医師は、薬を飲むと本人は言っているが、多分飲まないだろうから入院してもらい、きちんと薬を飲んで貰うことが目的です、という説明をしていました。妻を病棟に連れて行ってもらった後、医師と看護師が、騙してつれてきた事に強い罪悪感を持っていた私にあなたは悪くありませんよ、むしろ奥さんに対する誠意と思ってくださいと励まして頂きましたが、罪悪感と不安でいっぱいです・・。入院二日目の本日、着替えなどを含めて急性期病棟に行って看護婦さんから話を聞いてきましたが、隔離室に入る事も無く、ハイテンションではありますが比較的落ち着いているし、面会や携帯電話の制限も特にはないとの事でした、面会するかを尋ねられましたが、入院直後なので下手に刺激してはいけないと思い、もう少し時間を置こうと思って辞退して本日は帰宅しました。
以下、林先生に質問です。
Q1、妻は前回の措置入院から3年経過していますが、統合失調症に欠かせない薬を処方されていないのはどういうことですか?前回入院当時のカルテにも投薬は無かったことを医師から確認しています。もっとも、医師の説明では精神科診断は非常にあいまいなので病名が変わる場合もあるそうですが。いずれにせよ、当時の担当医が退職して別の病院にいるので予後も含めて答えは出せないと言われました。
Q2、現在、妻が統合失調症である事実を受け入れていますが、予後を医師に聞くと、いずれも薬の服用が条件だが1/3の患者が全治すると言っても過言でないほど回復する。1/3の患者が全治まではいかないが、8割がたは日常生活に戻れる。さらに1/3の患者は残念な事に治癒する事なく入退院の繰り返しになったり最悪は一生閉鎖病棟で生活してもらう場合もある、と説明され、あなたの奥さんがいずれになるのかは判らない、と言われましたが、ネットのあるサイトを見ましたら、今回のように何の前触れもなく短期間で一気に発症した中年以上で閉経後の女性の場合は予後は良好であるという事が書いてありました。これが医師が書いた物なのかは判りませんので医師である林先生にお尋ねしたいです。妻は半年ほど前に閉経したと言っていました。少なくとも、予後に対する過度な絶望感は持たなくても良いのでしょうか?なお、知り合う前の妻の病歴は一切不明ではありますが、正常な時の本人に聞く限り3年前の措置入院が精神科への入院は初めてだそうです。
Q3、今回の入院手段は騙して連れて行きましたので私も気が滅入り頭がフラフラする始末ですが、医師や看護師が言うように本当にこんな手段で良かったのでしょうか?私としては病気が治っても、信頼していた人に騙された、という心の傷跡は癒えないと思っておりますが林先生の治療なさった患者さんの家族でも家族関係が険悪になったというケースは多いですか? 以上になります。長々と書きましたがよろしくお願いします。
林:
「躁うつ病の躁状態」または「統合失調症」の症状に酷似しておりましたし
ご指摘の通りで、奥様は統合失調症か、精神病症状を伴う躁うつ病、または、統合失調感情障害と思われます。以後、便宜上、統合失調症として回答を続けます。
Q1、妻は前回の措置入院から3年経過していますが、統合失調症に欠かせない薬を処方されていないのはどういうことですか?前回入院当時のカルテにも投薬は無かったことを医師から確認しています。もっとも、医師の説明では精神科診断は非常にあいまいなので病名が変わる場合もあるそうですが。いずれにせよ、当時の担当医が退職して別の病院にいるので予後も含めて答えは出せないと言われました。
わかりません。一過性の精神病症状という診断だったのかもしれません。措置入院するほど激しい症状であっても、一過性できれいに治ることはあり得ます。その場合、本当に一時的なものなのか、長期に再発予防の治療を要するものなのかの判断は困難です。
しかし、今回の症状を見れば、今後は服薬継続が欠かせないことは明らかといえます。
Q2、現在、妻が統合失調症である事実を受け入れていますが、予後を医師に聞くと、いずれも薬の服用が条件だが1/3の患者が全治すると言っても過言でないほど回復する。1/3の患者が全治まではいかないが、8割がたは日常生活に戻れる。さらに1/3の患者は残念な事に治癒する事なく入退院の繰り返しになったり最悪は一生閉鎖病棟で生活してもらう場合もある、と説明され、あなたの奥さんがいずれになるのかは判らない、と言われましたが、ネットのあるサイトを見ましたら、今回のように何の前触れもなく短期間で一気に発症した中年以上で閉経後の女性の場合は予後は良好であるという事が書いてありました。これが医師が書いた物なのかは判りませんので医師である林先生にお尋ねしたいです。妻は半年ほど前に閉経したと言っていました。少なくとも、予後に対する過度な絶望感は持たなくても良いのでしょうか?なお、知り合う前の妻の病歴は一切不明ではありますが、正常な時の本人に聞く限り3年前の措置入院が精神科への入院は初めてだそうです。
質問者がこの方と知り合ってから直接観察した経過と症状を見る限り、予後に対する過度な絶望感を持つことは不要です。
但し、知り合う前の病歴については慎重な態度が必要です。悪い過去があった場合、それを隠すのはごく自然のことです。
Q3、今回の入院手段は騙して連れて行きましたので私も気が滅入り頭がフラフラする始末ですが、医師や看護師が言うように本当にこんな手段で良かったのでしょうか?私としては病気が治っても、信頼していた人に騙された、という心の傷跡は癒えないと思っておりますが林先生の治療なさった患者さんの家族でも家族関係が険悪になったというケースは多いですか? 以上になります。長々と書きましたがよろしくお願いします。
両方のケースがあります。すなわち、病識のない自分に入院治療をさせてもらったことで感謝するケースもあれば、意に反して入院させられたと逆に恨むケースもあります。どのケースがどちらになるかはわかりません。但し言えることは、前者のケース(病識のない自分に入院治療をさせてもらったことで感謝するケース)であっても、その後に治療を中断して症状が悪化すると、逆に恨むようになることはしばしばあるということです。
なお、
やがて心身がボロボロになり、車に飛び込んだとの事ですが間一髪で軽症で済み、警察のお世話になり病院で診察の結果、措置入院と医療保護入院で合計3ヶ月を経て退院しました。これは妻から聞いた話ですが当時の知人その他から裏づけがほぼ取れていますので妄想ではなく真実であると思えます。
とのことですが、これら基本的事実はその通りであったとしても、詳細や背景はかなり異なっている可能性は高いと思います。統合失調症の方が、自分の症状が悪かったときのことを説明する場合、表面に現れた事実や、心理的に理解可能な事実に限って説明し、背景としての幻覚や妄想については話さないこともしばしばあるからです。
(2012.5.5.)