精神科Q&A
【2225】 遠くに住む統合失調症の友人との接し方
Q: 前略、いつも勉強させていただいております。統合失調症(と思われる)友人との関わり方についてコメントをいただければ幸いです。***以下が具体的内容です。 ***友人の基本情報 年齢:50歳、女性独身。 家族構成:母親と同居。3歳違いの妹(既婚)あり、近隣都市に居住。 病歴:15年くらい前に発症。現在まで「うつ」と本人は聞いている模様。手帳(精神障害の)にもそのように記載されているらしい。入院歴あり。現在も通院中。話を聞く限りでは統合失調症ではないかと思います。 相談者との関係 相談者基本情報:49歳、女性既婚。友人とは幼なじみだが、結婚で地元を離れたため、10年以上実際は会っていない。コンタクトは主に手紙。ときおり電話。 現在の病状と質問友人は現在も定期的に通院していますが、服薬コンプライアンスはよくないようです。すべて飲むと便秘がひどくなるとか、本人なりの理由はあるようですが。先日、薬をきちんと飲んでいないことを主治医に話したところひどくおこられ、「見捨てられた/敵になった」といっています。だから病院の喫茶店でとった甘味に薬を入れられたに違いないと。また、これ以前から「母親に薬を入れられる、薬を含めいろいろなものをとられる」という考えがあります。こうした内容を手紙で伝えられるたび、否定はしないで搦め手で入院を進める(薬の管理や母親の心配をするより、心配は医師に任せて暖かい病院で静養しては?など)ようにしています。切羽詰まると電話をくれるので、そこでも同じように対応しているのですが、これでよいのでしょうか。妹さんも入院をすすめているようですが、主治医を敵認定している現状では聞く気がないようです。 手紙/電話での対応についてより良い方法があればご教授ください。
林:
先日、薬をきちんと飲んでいないことを主治医に話したところひどくおこられ、「見捨てられた/敵になった」といっています。
統合失調症の治療には薬が必須ですが、薬を飲むよう強く指示すると、このように逆に症状が悪化することもあり、なかなか単純はいかないことがよくあるものです。
それはともかくとして、質問者の対応ですが、
こうした内容を手紙で伝えられるたび、否定はしないで搦め手で入院を進める(薬の管理や母親の心配をするより、心配は医師に任せて暖かい病院で静養しては?など)ようにしています。切羽詰まると電話をくれるので、そこでも同じように対応しているのですが、これでよいのでしょうか。
それが最善だと思います。現在、質問者はこの方から一定の信頼を得ているようですので、今の対応を続けることで、どこかのタイミングで入院に同意されることは期待していいでしょう。それがいつになるかはわからないという点では心もとないと思われるかもしれませんが、いったん悪化した統合失調症の方に対しては、このような根気ある対応が必要なものです。もしそれが奏功しなければ、どこかで強制入院のような処置を取る以外にありませんが、遠距離に住む他人である質問者にできる対応としては、現在のものが最善だと思います。
(2012.4.5.)