精神科Q&A
【2182】夫婦がグルになってうつ病を演じているのでしょうか
Q: 40歳女性Aと45歳男性Bの夫婦についての相談です。
夫婦でいっしょになって「Aはうつ病なんだ。」といっては、周囲に迷惑をかけています。
これが本当にうつ病なのか?擬態うつ病なのか? 周りの人間はほとほと困っており,メールを送らせていただきます。
Aは、今までもいろいろなこと(自己中心的)で、職場の人間や私達の会社に迷惑をかけ続けてきました。それがあまりにもひどい為、Aは始末書2通(Aの職場・会社に対する)を書いて謝罪することになりました。
Aは自分にとって都合の悪いことは全く書かずに、形だけの始末書を提出した為、再度提出を求められました。
もちろんAは、正直に書きたくはないので、Bに相談をしました。
(自分Aの性格が職場の人間に露呈してしまうから)
Aはうまく始末書が書けないまま、提出期限が迫ってきました。
AとBは提出期限当日に慌てて、近所の精神科医の所へ行き、「私Aは本来働きたくはないのに、家を守るために働かざるをえなくなった。職場では誰よりも、人一倍神経を使って仕事をしてきたのに誰も認めてくれなかった。こんな状態は耐えられないので、なんとかしてください。診断書を書いてください。」とお願いし、うつ病という診断書を書いてもらいました。
医者に職場の悪口をさんざん言って信用させ、仕事を続けるのはちょっと無理であるという内容も書いてもらいました。
Aはこれで、職場を休むことができて、かつ上手くいけば退職できると思いました。
早速BがAの代わりに職場に電話を入れました。「Aはうつ病でよだれをたらしている、とてもひどい状態なんだ。」などと延々と話す。
しかし翌日心配になった両親と私達がAとBの家に行き、Aが普通に生活を送っているところを見られてしまいました。(化粧をし、私服に着替えて、家事をしている最中であった。)
Bも子供も普通に日常生活を送っていました。
すると、AとBは「Aはよだれなんかは垂らしていない、鼻水だったのかもしれない。私はよだれなんて言いましたっけ。」などと言いはじめました。
結局、次の日からAは再び職場に行かなくてはいけなくなったのです。Bは普通のサラリーマンで工場で働いています。
また、主人BもAの具合について嘘をついたりした為、始末書を書くことになりました。
夫婦で、期日までに始末書を提出しなくてはいけなくなったのです。
結局書けない(書きたくない)AとBは、また医師の所へいき、「Aは食事も取れない状態だ。フラフラだ。何とかしてください」とお願いして、別の病院を、紹介してもらい入院しました。
担当医も「Aは当日食事が取れなかったから、入院させただけであって、Aは他の入院患者とは違うから、ご本人Aの口から「退屈」という言葉が出れば退院できます。という程度の状態であった。」と発言しています。
AとBはうつ病という診断書をもらえたことで安心したのか、Aは入院中、次から次へとBに指示を出しました。
そして、Aの指示通りにBが動くようになりました。(伝書鳩のように)
・うつ病になったのは○○のせいだ。
・職場の人間を訴える。Aをうつ病にしたからだ。
・このまま働かないでAにお金をくれればいいじゃないか。
・××のせいでうつ病になった。××をくびにしろ。
・△は朝早く職場に来て、お昼には帰っちゃう。ずるい。
・Aをこんな状態にした職場の人間を訴える。
・□が職場に電話をしてきたから、うつ病になったんだ。
・Aをこんな状態にした××の給料はいったいいくらもらっているんだ。
・他の職員はどのくらい給料をもらっているのか?
・Aの働きたいときだけ働いて、給料をあげればいいじゃないか。
・お金がもっとほしい。
・◎◎はパートだから時間(暇)があっていいが、Aはパートじゃないから大変だ。
・FのほうがEにかわいがられている。
・AだってEの子供なのだから、同じ扱いをしてほしい。
(Aにも家を建ててくれ)
・金持ちの子供だからAは働かなくてもいいんだ。
・■■を買いに行かせたじゃないか。
などなど。
Aは言いたい放題、Bを使って言い始めたのです。
職場にもBは嫌がらせの電話を入れてきました。Bは職場のことなど何一つ知りません。
Aがすべて指示したことであると、後になってBは証言しました。
医者に対しても、AとBは嘘の報告をし「ひどい始末書(この内容もメチャクチャに作り上げられた嘘)がAだけに対して出されていて、そのせいでAの具合が悪くなった。医者Gの方からこういう事はしないほうが良いとFに言ってくれないか?」
とAとBはしつこくお願いをしました。
AとBは在りもしないことを作り上げて、医者を利用しようとしたのです。
実際は歩けるし、動けるし、食べることもできるのに、医者と看護婦の前では具合の悪い振りをしました。
医者は最初はそれを本当だと信じていました。
また、Aは安い部屋は嫌だったので、特別室を用意してもらいました。
邪魔な人間である両親などを病院の受付を利用し(嘘をつき)、面会謝絶としてもらい
ました。
AとBは、自分に対して始末書を書けといった人に仇を討ちたいと思いました。
うつ病という診断書が出たために、職場と共済から給与の8割が給付されました。
AとBはせっせと毎月医者に通い、嘘の報告(Aは全く動けない・ふらふらしている)をし、書類を作ってもらいました。
Aは半年近く、働かずに高給をもらうことができました。
AとBは調子に乗り、このままずっと給料をくれればいいじゃないかと発言しました。子供の学費が大変だとも言いました。
Aは食事も大変よく取っていたのに、AとBは「Aはまだ全く食事が取れない、ひどい状態なんだ」
などと嘘を言いつづけました。
医者から退院許可が出ているのに、AとBは「Aは本当は退院できる状態ではないのに、子供のことが心配で、医者に無理を言って、安静状態を保つということが条件で退院したんだ」
と嘘をつきました。
医者も「そういう意味ではない。Aは退院できる状態であるから許可したんです。」と発言している。
またAは退院後も、家事をこなしているのに、両親や私達がAの家を訪ねると、Aは子供を玄関の確認に行かせ、その間に自分は2階の部屋に行き、階下の様子をうかがっていました。
仕方なく、子供に対して私達がAとBのやっている数々の悪行を話し始めると、Aは大声を出し、地団駄を踏みはじめました。子供は「またか」という顔で、全く心配していませんでした。
次の日Aは洗濯もし、車を運転して買い物に行きました。お化粧もしています。
これはほんの一部ですが、夫婦AとBに取って都合が悪いことがあると、Aはうつ病
になるようです。
AとBは、うつ病といえば、何でも言うことができると思っているようです。
AとBの話によると、Aのうつ病は日によって違うそうです。
だから、元気なAの姿を人に見られたとしても、それは仮の姿であると言うのです。
具合の悪い様子であった次の日、Aは子供送迎のために車を運転したり、買い物をしています。
いろいろなことが、発覚したあと、医者Gは「あのように夫婦で口裏を合わせて、嘘をつかれてしまうとなかなか見抜くことができないんです。家庭の状態はこちらから見ることはできません。あくまでも自己申告によるものですから」と発言。
AもBも、うつという病気を本当に治そうとしているのであれば、医者にまで嘘をつ
く必要はないと思います。
医者は、Aがなかなか治らない為、次々と薬を出している様子です。
周囲の人間は本当に困っています。これは本当のうつ病なのでしょうか。
Aの親に言わせると、子供の頃から、わがままであったということです。
林: 夫婦ABについてのこのメールの記載内容が事実であれば、うつ病という診断を特権として利用している擬態うつ病であるといえます。
AとBは、うつ病といえば、何でも言うことができると思っているようです。
質問者がこう書かれているのはその通りということになるでしょう。
けれどもこのメールは不可解です。質問者はAの同僚であると思われますが、一同僚にすぎない質問者が、なぜここまでこの夫婦のことを詳しくご存知なのでしょうか。たとえば、この夫婦が医者に対して嘘の説明をしたなど、なぜ質問者にわかるのでしょうか。このメールの中の少なくとも一部は質問者の想像で書かれたものであると思われます。あるいはかなりの虚偽が含まれているか。あるいは質問者は同僚ではなく、他の立場の人物であるとも考えられます(立場を偽って質問メールを送る方は相当な数いらっしゃるようです)。
こうした疑問点はありますが、それらを棚上げにして、メール内容が事実と仮定して回答するとすれば、この夫婦はうつ病という診断を悪用している擬態うつ病であるということになります。【2188】 精神科の診断書は無敵のカード? もご参照ください。
(擬態うつ病のすべてがそういう人であるという意味ではありません。この【2182】の夫婦のようなケースも擬態うつ病の一型だということです)
(2012.1.5.)