精神科Q&A

【2141】知人の統合失調症がみるみる良くなりました


Q: 私は20代の男性です。交際をお断りした女性から、しばらくの音信不通の後、妄想のメール(してもいないデートや会う約束など)が入るようになりました。実際にはない話を第三者に話す事もありました。 このサイトに勇気づけられ、彼女に連絡をとり通院を勧めました。(連絡したのは、もちろん正義感で伝えたのではなく、私自身が彼女の行動に強い精神的苦痛を感じた故ですが 幸い、彼女の父親が迅速な対応をして下さったようです。しばらくの後、彼女自身からメールがありました。父親が直ぐに心療内科に連れていってくれた事、統合失調症と診断された事、妄想と幻聴から仕事をやめてしまった事が綴られていました。 返事をしたところ、彼女からは、私と会いたいし会えるように頑張るという主旨のメールがありました。 交際を断った際の行動が統合失調症の原因になったのかとも一定の罪の意識もあり、対応を悩みました。結果的には、基本的には会うつもりはないがメール交換ならばと伝えました。 メール交換の中で、彼女が小学校から中学生にかけて、彼女の母親が精神疾患だった事、それゆえ、家族が疲弊しきっていた事、その中で、彼女自身が両親の離婚を強く主張し離婚に至った事を言っていました。 医者からも軽度と言われていたようですが、本人の実感としても、みるみるよくなり、妄想や幻聴の頻度も低下していったようです。発症後一年弱で、よくない辞め方をした職場にも謝罪に赴いたようでした。医者から、早期の病識が早期回復に繋がっていると言われたらしく、私に感謝のメールをくれた事も罪の意識が和らぎました。 ある時に随分良くなったと感じましたので、次にメールをする時は人生に転機があった時にしようと、細い糸だけ遺した別れのメールをしたところ、彼女からは前向きのメールをくれました。 一つ区切りになったと感じています。彼女及びこのサイトのおかげで、人を身勝手に傷つけてはいけない事を強く反省しました。また、自己の心を鍛えていかなければならないと感じています。臨床心理とは無縁だった私ですが、臨床心理の本を色々と読みました。先生の本も読ませて頂きました。そんな事も含めまして、御礼とさせてください。


林: 貴重なご報告をいただきありがとうございました。

医者から、早期の病識が早期回復に繋がっていると言われた

まさにその通りで、質問者からご本人・ご家族への迅速で適切なご連絡と、

彼女の父親が迅速な対応をして下さったようです。

お父様のこの迅速な対応が、功を奏したといえます。
統合失調症の多くは、このように早期に迅速・適切な対応をすれば、良い経過が得られるものですが、いくら周囲が受診を勧めても、ご本人には病識が乏しく受診につながりにくいのは病気の性質上ある意味やむを得ないとしても、ご家族が病気を否認してなかなか受診させないというケースは非常に多数存在します。このケース、早期の受診が実現したのは、質問者の努力に加えて、

彼女の母親が精神疾患だった事、

この事実のため、彼女のお父様が精神科についてある程度の理解があったことが大きかったと思われます。精神疾患についての正しい認識が広まれば、統合失調症のご本人・ご家族の多くが救われることは間違いない、このケースはそれを如実に示していると思います。その意味で、ご投稿いただいたことに感謝いたします。

(2011.10.5.)


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