精神科Q&A
【2131】うつ状態になるとリーマスを減らすのは正しい治療ですか(【1231】のその後)
Q: 【1231】統合失調症と診断され、躁とうつを繰り返している ではご回答いただきありがとうございました。前回の投稿から早いもので4年が経ちました。統合失調感情障害と診断していただきましたが、現在統合失調症の自覚症状はほとんど無く約半年のサイクルで以前よりは穏やかな躁とうつの波を繰り返しています。今現在の病状はややうつという感じです。今の状態であれば軽易な仕事であればできるかもしれないと感じているのですが、78歳になる母が認知症になり介護が必要になったため再就職できておりません。 現在の処方薬は以下のとおりです。 朝:アモキサンカプセル25mg 2C アーテン錠2mg 1錠 リーマス錠200 1錠 ムコスタ錠100mg 1錠 アキネトン錠1mg 2錠 夕:アモキサンカプセル25mg 2C アーテン錠2mg 1錠 リーマス錠200 2錠 ムコスタ錠100mg 1錠 アキネトン錠1mg 2錠 寝前:リスミー錠2mg 1錠 アモバン錠7.5 1錠 バルネチール錠50 1錠 アキネトン錠1mg 2錠
リーマスの処方に疑問があります。現在の主治医は血液検査をお願いしても「必要ないよ」と言ってしてくれないのです。リチウムの血中濃度を測らないのです。そして私がうつ状態になると「リーマスは躁状態を鎮める薬だから」と、リーマスを減らしてしまいます。もちろん血中濃度は測りません。今の主治医の処方はリーマスのスタンダードな投薬なのでしょうか。アーテンとアキネトンの錠数が多いのも少し気になっています。 文才が無いため前回同様乱文となってしまいましたがご回答いただければ幸甚に存じます。
林:
現在の主治医は血液検査をお願いしても「必要ないよ」と言ってしてくれないのです。リチウムの血中濃度を測らないのです。
リチウムの血中濃度は、定期的に測定するのが原則です。
そして私がうつ状態になると「リーマスは躁状態を鎮める薬だから」と、リーマスを減らしてしまいます。
リーマスは、当初は躁状態を鎮める薬であると考えられていましたが、現在では、躁、うつの波を抑えるというべき位置づけの薬になっています。また、躁うつ病そのものの再発を防止する作用もあります。したがってこの医師の方針は誤りですが、現実には、うつ状態になるとリーマスを減らす医師は多数存在するようです。
今の主治医の処方はリーマスのスタンダードな投薬なのでしょうか。
スタンダードではありません。
アーテンとアキネトンの錠数が多いのも少し気になっています。
それはケースバイケースですから、錠数だけから多いとか少ないとかいうことはできません。質問者の抗精神病薬の副作用の程度によります。
なお、「スタンダードな治療ではない」というのは、必ずしも「誤った治療である」とは限りません。医学的に正しいか正しくないかという二者択一を迫られれば、正しくないといえます。しかしこの【2131】の主治医の先生の治療手法は、現実には容認されている範囲内であるといえます。
私ならリーマスに関しては、血中濃度は定期的に測定しますし、うつになったからといって減らすことはしません。けれども、細かい症状や経過などの事情によっては、結果的には今の主治医の先生と同じようになることはあり得るかもしれません。
(2011.10.5.)