精神科Q&A

【2086】うつ病で苦しむ彼を支えられない私はダメ女でしょうか


Q: 私は20代の女性です。同い年の付き合って3ヶ月になる彼は、うつ病で1年8ヶ月の間休職しています。 最初の欝は5年前、当時の彼女に浮気されふられたのがきっかけだったと聞きました。浅く切ったので傷跡は残ってはいないですが、リストカットもしたそうです 病院通いも途中で完治させることなく復職し、1年半と少し前に再発。その時は昼過ぎに「鬱がくる」という予感がし、すぐに上司に相談。かつて鬱病を患ったことを伝え、休職の手続きをとり、翌日から1ヶ月程寝たきりになったそうです。

私が彼と出会ったのは半年前。彼が私の働く施設(福祉施設)にボランティアとしてやってきたのがきっかけでした。病気のことを知ったのはまだ後の話です。 それから三ヶ月後、病気の事を知った上で告白を受け、付き合い始めました。 もしかしたら無理をさせていたのかも知れませんが交際当初は映画に連れて行ってくれたり、趣味のバイクに乗せてもらって遊びに行ったり、友達に紹介したいと行った居酒屋では、本当に楽しそうにはしゃぐ彼を見てほっとした反面、鬱病という病気を軽くみてしまったのかも知れません。 家では夜遅くまでネットゲームに夢中で、オフ会に遊びに行く元気はあるのに私と過ごす休みの日は寝てばかり。ご飯に時間に起きるだけで夕方からはゲームばかり 病気だから…、薬を飲んでいるから…と、寂しさを感じても自分を納得させてきました。 鬱病のため、食欲がないので手料理以外は食べる気にならないという彼の要望に応えてどんなに仕事で疲れていても、夜遅くなっても作ってきました。 しかし、彼はというと1日家に居るにも拘らず布団に入ったまま漫画を読んだりゲームをしたり、時折私の名前を呼んでゴロゴロしているだけで、手伝おうともしません 病気だから、と分かっていても家の事は放置で楽しそうにネットゲームをしている彼を見るとイライラしたり、実は私のことなんて全然好きじゃないんじゃないか…と思ってしまったり それを口にすると「自分は愛情表現が苦手なだけ」「こんなに思っているのに何で分からないんだ」「本当に病気の事、分かってないだろう?」と怒られます。

先に述べたよう、私自身も鬱病の知識も彼が鬱病である認識も薄かったこともあり先日、大喧嘩の末、合鍵を返し彼の家を出ました(私も別の家で1人暮らしをしています) 彼はイライラすると多量に頓服の安定剤を飲んでしまうことがあるので心配もしたのでその日のうちにメールも出しました。返事はなかったですが、次の日怒りの電話がかかってきました。 「鬱病患者が外に1日出るのがどんなにつらいのか分かっているか?」「何のために週1回も通院しているか分かっているのか?」「何のためにボランティアに行っているのか分かっているのか?」「○○(私の名前)のためにどれだけ俺が頑張っているか分かっているのか?」「病気のせいにするなって言うかも知れないが、全然分かっていないだろう!」 今までない剣幕で怒鳴られ最後に「別れるつもりはないから考えろ」と言われ電話を切られました。 私の心のどこかに「鬱病は甘え」という気持ちがあったと思います。 彼の実家は裕福な家庭で、そのおかげで失業中の今も何不自由なく暮らせています。
鬱病が再発した当初は2ヶ月弱で仕送りの100万円を使い切ったと言います。今も趣味のバイクや服にかなりのお金をかけています。 元の職場へのボランティアには行っていますが(私の職場のボランティアは休止中)働くことをせず遊んでいる(様に見える)彼を見て「欝は甘え」という気持ちが出ていたのかも知れません。そんな私の態度が彼を傷つけているのかも知れないと思い、私が悪かったと謝罪しこの先の事は彼の決定に委ねるという結論を出しました。 彼の答えは「(別れるかどうかも含めて)今は考えている途中」で、また連絡をするというものでした。 1週間たっても連絡がなく、電話をしてみましたが出ることはありませんでした。病気の心配と何も言わず捨てられたんじゃないかという不安でメールで連絡の上、彼の家に荷物を取りに行きました。 チャイムを鳴らすと覇気のない表情で出てきて、鍵を開けてくれました。すぐに布団をかぶり、寝込む彼と荒れた部屋の状況に驚きました。 布団の周りにあふれんばかりのゴミ…、主にファーストフードの包みやお菓子の空き袋、台所には喧嘩して帰った日に作っていた里芋の煮物が器に盛られたそのままの状態でありました。 聞けば、病院には何とか行ってるが1日1食の生活で全て買い食い、食料を買いに行くときだけ外出してあとはずっと寝ていて、何もする気力も起きず、考えることも出来ない状態だと言うのです。「別れたわけじゃないし、考えている途中だから待っていて欲しい」とうわ言のように言うだけでどうすることも出来ず帰されました。 そこに来て初めて、彼の病気の深刻さを感じました。

病気を理解しようと本も読んだしネットも見ました。林先生の本も購入させていただき、理解を深めようと努力をしましたが、ひとつの疑問に突き当たりました。 彼は本当に鬱病なんでしょうか? 「鬱病は十分な薬と休養で治る」実際彼も朝夕、眠前と薬を処方され、ずっと服薬しています。しかし、彼の療養期間は長すぎることはないでしょうか? 薬の種類や量は、処方箋を見たわけではないので分かりかねますが「薬が変わって効きすぎる」と言っていた事があります。少なくとも私が知る限りでは、薬が変わって、副作用が強く出てもきちんと飲み続けています 今回の鬱病の治療も初めてもう1年8ヶ月です。私と出会った頃には、発病当初、月1回がやっとだったボランティアも週に4回行ける様になっていました。友人と旅行に行ったり、飲み会に行ったり普通に遊べるまで回復していたように感じます。 彼は本当に鬱病で、回復しかけていた頃に私が傷つけたことによって病状が悪化してしまったんでしょうか?彼の現在の状況は鬱病の症状そのものなのに、信じきることが出来ない自分に苛立ちを感じつつもし、違う病気なら対処の仕方はどうすればよいのか?ちゃんと治るのか?というぬ不安もあります。 前の彼女と別れたときにはリストカットもしたというので、心配で毎日のメールは欠かしません。負担にならないように言葉を選んで、自分の近況と軽く体調を気遣う言葉を添えて1日に1〜2通送っています。 返事はありませんが、ネットゲームに繋いでいる形跡が見られるので最悪の事態には至っていないようですが私は単に都合のいい女で適当にキープされているだけなのでしょうか?鬱病で苦しんでいる彼を支えることの出来ないダメ女なのでしょうか?彼を素直に信じることが出来ない私も何か精神的な疾患があるのでしょうか?


林: 
同い年の付き合って3ヶ月になる彼は、うつ病で1年8ヶ月の間休職しています。

彼はうつ病ではありません。単なる甘えです。境界性パーソナリティ障害の可能性も残りますが、甘えの可能性のほうが高いです。そんな彼がうつ病と称しているとすれば、それは擬態うつ病です。

家では夜遅くまでネットゲームに夢中で、オフ会に遊びに行く元気はあるのに私と過ごす休みの日は寝てばかり。

甘えの擬態うつ病に典型的に見られるパターンです。

鬱病のため、食欲がないので手料理以外は食べる気にならないという彼の要望に応えてどんなに仕事で疲れていても、夜遅くなっても作ってきました。

いかにもうつ病らしくない訴えです。いかにも甘えらしい訴えです。あなたは利用されているのでしょう。

しかし、彼はというと1日家に居るにも拘らず布団に入ったまま漫画を読んだりゲームをしたり、時折私の名前を呼んでゴロゴロしているだけで、手伝おうともしません。

甘えているだけです。

病気だから、と分かっていても家の事は放置で楽しそうにネットゲームをしている彼を見るとイライラしたり、実は私のことなんて全然好きじゃないんじゃないか…と思ってしまったり 

「病気だから、と分かっていても」という前提が誤りです。イライラするのは当然です。

それを口にすると「自分は愛情表現が苦手なだけ」「こんなに思っているのに何で分からないんだ」「本当に病気の事、分かってないだろう?」と怒られます。

甘えの擬態うつ病に典型的な反応です。擬態うつ病 / 新型うつ病 実例からみる対応法の第一章に詳しく解説してありますのでご参照ください。

彼はイライラすると多量に頓服の安定剤を飲んでしまうことがあるので

これは境界性パーソナリティ障害、またはその傾向を示唆する行動です。

「鬱病患者が外に1日出るのがどんなにつらいのか分かっているか?」「何のために週1回も通院しているか分かっているのか?」「何のためにボランティアに行っているのか分かっているのか?」「○○(私の名前)のためにどれだけ俺が頑張っているか分かっているのか?」「病気のせいにするなって言うかも知れないが、全然分かっていないだろう!」

どれも、いかにも甘えの擬態うつ病らしい言葉ばかりです。

私の心のどこかに「鬱病は甘え」という気持ちがあったと思います。

うつ病は甘えではありません。この彼が甘えなのです。

鬱病が再発した当初は2ヶ月弱で仕送りの100万円を使い切ったと言います。

甘えによる浪費ですね。

今も趣味のバイクや服にかなりのお金をかけています。 

これもそうです。

元の職場へのボランティアには行っていますが(私の職場のボランティアは休止中)働くことをせず遊んでいる(様に見える)彼を見て「欝は甘え」という気持ちが出ていたのかも知れません。

繰り返します。この彼が甘えなのです。こういう人を見て、うつ病とはこういうものだと誤解しないよう強くお願いいたします。

そんな私の態度が彼を傷つけているのかも知れないと思い、

あなたの態度が彼を傷つけているのは事実かもしれません。しかしこの状況では、もしそうしなければあなたのほうが傷つくばかりでしょう。どちらを選択するかはあなたが決めることです。

彼は本当に鬱病なんでしょうか? 

違います。擬態うつ病です。

「鬱病は十分な薬と休養で治る」実際彼も朝夕、眠前と薬を処方され、ずっと服薬しています。しかし、彼の療養期間は長すぎることはないでしょうか?

擬態うつ病は、うつ病の薬をいくら飲んでも治りません。

彼は本当に鬱病で、回復しかけていた頃に私が傷つけたことによって病状が悪化してしまったんでしょうか?

違います。

彼の現在の状況は鬱病の症状そのものなのに、

全然違います。私の本も購入されたとのこと、もう一度よくお読みください。この彼がうつ病に見えるようでは、本をお読みになったとはいえません。

私は鬱病で苦しんでいる彼を支えることの出来ないダメ女なのでしょうか?

違います。

私は単に都合のいい女で適当にキープされているだけなのでしょうか?

そうです。

彼を素直に信じることが出来ない私も何か精神的な疾患があるのでしょうか?

ありません。
ご自分の素直な気持ちに正直に従い行動してください。

(2011.7.5.)


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