精神科Q&A
【2070】社会性が低下している中1の弟は統合失調症だと思うのですが、親は姉である私の影響だと言います
Q: 中学一年生の男の子の姉です。私は現在高校生三年生ですが、私の性格は強気で言いたいことは口に出さないと気がすまないような性格でした。現在は場に応じて言葉は考えていますが、それでも嫌なものは嫌、と口にしたいタイプです。一方弟は私とは正反対で内気な性格です。悪口も言われっぱなし。悪口を言われる原因は弟にあるのですが(小さなことで過度に落ち込み誰がなにを言おうとうつむいたままになる、性別問わず必要以上のスキンシップ等いわば空気が読めない)なにを言われても言い返さないため言葉の暴力はひどくなる一方だそうです。知障と呼ばれているのを聞いたときは本当にショックでした。 ですが正直弟は言われるような行動をとっているとも思います。人一倍わがままで幼稚園児のようなわがままも口にします。自分中心に周りが動いて欲しく、自分の意見は口にできないくせに、自分の思い通りにならないとすぐにキレて、泣いて授業放棄などという話は耐えません。私は先生から母に電話がある度イライラがつのってしまい、何度も何度も弟を叱るように説得してしまいます。家で何か小さな揉め事があった時も、なにもいわず、どうしてこうしたのか、何か言いたいことはないのかと聞いてもうつむいているだけの弟に、つい口調が強くなっていってしまいます。 弟は我慢することができず、その気持ちをどうしたらいいかわからないの繰り返しで周りに迷惑をかけるばかりです。当然のように周りの人も離れていきますが、それでも弟を遊びに誘ってくれている子がいます。同じ部活で仲良くなったそうです。弟は今は部活を楽しい楽しいといっていますが、これから試合のためのレギュラーが選ばれることもあると思います。弟は運動が得意なタイプではないため選ばれないのは正直目に見えています。そして選ばれないことに対してショックでキレてしまうことも目に見えています。(既に何度も部活中、思い通りにいかない度キレているそうです。先日は自分がとりそこね転がっていったボールを近くにいた同級生がとりそこねたボールと知らず、ふざけて軽く足で転がしたのを見て自分がおちょくられたと勘違いし、持っていたラケットを地面に何度もたたきつけ、止められても聞かず原形をとどめないほどの形にしてしまいました。) 何度も何度も話し合いはしました。何度も何度もわかったと、もうしないと返事はききました。 親とも毎日のように話し合っていますが、弟の性格の原因は私がものの言い方がきつく、弟は怖くて自分の言いたいことが言えない。だからそういう性格になってしまった。という話になります。自分でも威圧的な態度を何度もとってしまったことがあると自覚し、後悔しています。両親は、学校では言葉の暴力を浴びせられ傷ついているのだから家でくらい怖い思いをさせるなと言われます。その気持ちもわかります。ですが、それでは結局何も変わらない。弟はこのままわがままに成長するだけでそれではダメじゃないのかと思ってしまいます。そのあせりが態度に出てしまうのです。自分でもあまりにも細かいところにまで口を出しすぎて、嫌な姑のような、それ以上に嫌な存在になってしまっていることを感じていました。最近になってやっとそれが表面に出せるようになり、自分の中では落ち着いてきたと思っていました。 しかし学校での問題が消えるわけではなく、弟の性格が変わるわけでもありませんでした。ノートをぐしゃぐしゃにして帰ってきたり、腕にめいいっぱい落書きをして帰ってきたりすることが昔からありました。むしゃくしゃしてやってしまった。というのでそんなことはしてはいけない。と教えてきましたが、もしかしたらこれは他人にやられているのではないのかとも思いました。ですが、弟にそれとなく聞いてみても、友達とはうまくやっている。いじめなんてないといいます。先生も弟の周りのことは特に注意して見ていてくれており、いじめというよりは弟の態度に問題があるとおっしゃいます。私は先生や両親、弟の話を聞くことしかできないのでほんとはどうかはわからないのですが、恐らくいじめではなく自分でやっていることと思います。(家でもよく私物をぐしゃぐしゃにしたりすることから) 色々なサイトを調べたり、こちらのHPを見させていただいたりして、社会性の低下というところから弟は統合失調病なのではないのかと思いました。そうでないにしても、一度精神科のような病院にいったほうがいいのではないのかと先生にも言われました。父が鬱病になり、通って薬を飲んでいるのを見てきましたが、精神科に行くのが悪いことだとは思っていません。ただ、中学一年生の男の子が精神科に行く、ということを彼がどう受け止めるかがわからないのです。今後その事をひきずるのではないのかと思うとそれも怖いのです。 自分のせいで弟をこんな性格にしてしまったことは痛いほど承知しています。今後私はどの様に接したらいいのでしょうか。強くしからず、優しい姉としていけたらきっと彼にとって理想の姉となるのだろうと努力していますがもう少し周りにあわせられるようにしてほしいという感情がどうしても怒りにかわってしまいます。弟の人生は弟の人生なのに、それにうるさく口を挟む自分の性格が本当に卑しいです。弟には性格を直せといっておいて、自分の性格を変えようとしない自分が醜くて仕方ないです。そうわかっていてもうまくいかず、悩みは増える一方です。 今一番怖いのは、何より怖いのは弟が自殺をしてしまわないかです。よろしければ、アドバイスお願いします。
林: 質問者の指摘のとおり、弟さんは統合失調症の可能性が高いと思います。もうひとつの可能性は発達障害です。いずれにせよ、質問者である姉が原因ではありません。ですから、
親とも毎日のように話し合っていますが、弟の性格の原因は私がものの言い方がきつく、弟は怖くて自分の言いたいことが言えない。だからそういう性格になってしまった。という話になります。
ご両親のこの判断は誤りです。
他方、
ただ、中学一年生の男の子が精神科に行く、ということを彼がどう受け止めるかがわからないのです。今後その事をひきずるのではないのかと思うとそれも怖いのです。
そのお考えも理解できることです。偽陽性の可能性にかかわる、共通したジレンマであるといえます。
しかし、
自分のせいで弟をこんな性格にしてしまったことは痛いほど承知しています。
それは全く違います。質問者が原因ではありません。
今後私はどの様に接したらいいのでしょうか。
上記のジレンマはありますが、この【2070】のケースはやはり精神科を受診したほうがいいと思います。姉の接し方だけでは改善困難でしょう。
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ひとつ前の【2069】では、泥棒に入られたというような出来事を安易に原因であると考えることの危険性を指摘しました。この【2070】は、家族の接し方を安易に原因であると考えることの危険性の指摘です。
心の問題には心理的な原因があると考えられがちですが、必ずしもそれは正しくありません。そのような原因がなくても、統合失調症やうつ病は発症します。古来から「内因性」と呼ばれているのはそのためです。
多くの人が、出来事や家族の接し方を原因と考えがちになるもうひとつの理由は、精神病であるという事実を認めたくないという心理もあります。原因があったからこうなった、だから精神病ではない、そう信じたいという願望は、事実を見つめる目を曇らせます。
【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。
(2011.6.5.)