精神科Q&A
【2065】私を嘲笑して見つめてくる怖ろしい顔のイメージで思考の全てが埋め尽くされる
Q: 20歳女です。もう小学4年から苦しんでいて、ひどくなったのは中学の時です。でも、何の考えや感情が病気で、一方で、誰にでも起こりうる考え・感情であり、理性によるコントロールで解決するべきものなのかわかりません。今に至るまでのことと、現在のことを順に示します。
小学4年のときに、ある男子クラスメートにみんなの前で土下座して謝りたいと考えました。実際には、そんな度胸は当然ありませんでした。自分は本当はいなくなったほうが世の中のためなのだ、と思ったのもこの頃だったと思います。
小学5年のときは、自分の意思に反して、女性担任に気に入られようとしていました。女性担任もそのことに気づいていて、実際にはわかりませんが、私をバカにしていました。私はくやしさを感じると同時に、気に入られようとする自分を気持ち悪く感じていました。この1年はもう10・11歳にもかかわらず、しょっちゅう学校で泣いていました。でも、どうして泣いたのか担任から聞かれることはありませんでした(最初のときは覚えていませんが)。どうして泣いたのかその都度自分でもわかりませんでした。この年にはじめて過呼吸を起こしました。また、ある日朝食前、畳に座ってテレビを視ていたら突然首にひどい痛みを感じ、その後整体で首の第二関節がずれていると診断されました。その整体師に「なにもしなくてこのようになることはない。ストレスがあったのではないか」と言われました。私自身ストレスの自覚はありませんでしたし、今思い返してみても全くないです。
小学6年のときに、水の中に飛び込んで隠れたいとふと思うことが何度かありました。塾で一番前の席に座っていて、後ろの子からの視線が怖くて、手が震えたりし、体がビクついたときには笑われたりしました。
中学1年から、あまりにも周りを気にするせいか、意思と反してはっきりと視線を送るようになりました。送りたくないと思っても送ってしまうようです。視界に入った人に(常に、とか、全員ではありませんが)視線を送り、視線を感じたほうは、キョロキョロして気になっているようでした。中学2年で、視線を送りたくなくて、いつも下を向いているようになりました。
中学3年〜現在(大学生)、上手く説明できないのでさっきから感じている気持ち・考えをメモしたものを整理して書いてみます。「自分の思考の全てがあるイメージで埋め尽くされる」そのイメージとは、私を嘲笑して見つめてくる怖ろしい顔です。その顔が学校や寮などでの知り合いの顔とも思われます。なので、今(夜中過ぎ)寮の自分の部屋にいるのですが、ドアの外で同じ寮生が聞き耳を立てているのではないか、という気がかりがあります。おかしな考えで、確かに誰もいないとわかっていますが、そういう不安感があります。体内が震えて縮むような心地がして、「他人と全く隔離された分厚い隙間のない鉄の箱に入って体を丸めていたい。逃げたい。」という気持ちであり、他に自分の体の縮み以外なにも感じられない、考えることなんてできない、という状態です。イメージが頭から離れず、1人になりたいと思いそうしてもイメージはなくならず、常に他人への恐怖がつきまとい離れません。「私を嘲笑して見つめてくる怖ろしい顔」とキーボードに打っているとき、その顔の持ち主(どの知り合いでもなく、幽霊のような)が背後から襲ってくるような恐怖に襲われ、体が震えます。これも、そんなことは起こらないとわかっています。オバケは出ないとわかっているのに夜トイレに行くことが怖い子供と同じだと思います。
これだけでも十分に悩んでいるのですが、私がどうしても治したい(これが病気だったらこの動詞でしょう)と思うのは、おかしな思いつきを無視すると、不安でいっぱいになり、足元が覚束ないような、自分の存在感を感じられなくなるというか、なにもかも上の空のような気持ちになるからです。そのため他人に迷惑を掛け、自分でも思い通りのことができません。去年までは、このことでしっかりしない自分を責めていました。この不安を抑えられるときもあります。「人にバカにされないように」と常に意識していれば、本も読めるようになるし、考えられるようになるし、自分を見失うなんてことはありません。神経は使いますが。しかし、抑えきれないときもあり、このとき周囲が色鮮やかに迫って見えます。また、自分が失敗をおかしてしまうのではないかという不安があり、自分への配慮をまったく無くし、他人へ異常なほど遠慮します。周りの状況がひとつひとつ過剰に感じられるためと思います。これらが今の私の苦しみです。これはもう常になっていて、ほとんどの場合異常な状態であるということを忘れてしまい余計な苦みを感じています。
また、気になることを書きます。
・ 視力は1.5で良いはずなのに、日常生活では、いつもではないが、少しぼやけてよくは見えない。目を見開くと見える。私自身は、周囲への不安から目に涙が溜まっているのだと思っている。
・ いつもではないが、周りの光がギラギラすることがある。ギラギラしすぎて白くて周りが一瞬見えなくなることもある。
・ 一瞬周りが真っ暗になる。はじめは電気の不具合と思っていたが、無意識に作為的には出来ないほど早くまばたきしているためと思うに至った。これは、不安のせいでまばたきすると考えている。
・ あり得ないことを思い付いたり、考えたことと反対のことを思い付く。思い付いたときは、おもしろおかしいこととして楽しんでいる。中学のとき、何度かそのあり得ないことを思い付いておもしろくてすぐ行動したりして、場違いのことをやってしまったことが2度くらいある。
高校の時、初めて不安感を母に訴え病気ではないかと言ったとき(あまりうまく伝えられませんでした)「精神の病の人はもっとひどい。お前は病気ではない」と言われました。母の妹(私の叔母)は統合失調症で18年くらい前から入退院を繰り返しています。最初に叔母の幻覚に気付いたのは母です。しかし、私が泣いて母に思う通りに行動できないことを訴えていたら、私が周りから「気持ち悪い」と言われるとしつこく言ったことに対して、「病気だから、自分は病気であることを自覚して気にしないようにする訓練をしよう」と言われ、心療内科に通って(薬名は母に聞かないと覚えていませんが)一錠を半分にした(0.5mg?)ものを寝る前に毎日飲んでいました。たしか18歳の2月〜19歳の1月までの一年弱です。私自身は最初のころとは違って自分は病気ではないと思っていて、(おかしなことを思い付いたりはしているが、それがあり得ないことだと自覚しているため。「気持ち悪い」と言われることは確かに事実です)一浪して受験期は忙しかったせいもあり、また病気ではないのに薬で改善するのか疑問を持っていたし、少しも良くなったと感じられなかったため、薬を飲むのを止めました。一か月薬を飲まず、そろそろ病院に行くというときに母に薬を飲んでいない事を打ち明け、(薬では解決できない、かつ自分の気持ちのコントロールでしか解決できないと思っていたので)薬で全く改善しているように感じられないことを伝え、母も納得してお医者さんにかかることを自分の判断で中断しました。受験後上京し寮で生活するようになって、前よりも精神的に強くなりました。 お聞きしたいことは、おかしさ、ありえなさに気づいている場合精神の病に当てはまるのかということです。また、私が感じる過度の不安感はなにかの病気の症状であるのでしょうか。もし精神病でしたら、病名はなんでしょうか。 上京しほとんどの責任を自分で負うようになってから、自分のことを考えてやるようになり、あらゆる面で精神的に余裕ができました。こうして書いたのもその強さがあったためと思います。 長くなりましたがよろしくお願いします。
林:
視界に入った人に(常に、とか、全員ではありませんが)視線を送り、視線を感じたほうは、キョロキョロして気になっているようでした。
このように、自分が他人に影響を与えているという体験は、統合失調症に特徴的といえます。
一方、
「自分の思考の全てがあるイメージで埋め尽くされる」そのイメージとは、私を嘲笑して見つめてくる怖ろしい顔です。その顔が学校や寮などでの知り合いの顔とも思われます。なので、今(夜中過ぎ)寮の自分の部屋にいるのですが、ドアの外で同じ寮生が聞き耳を立てているのではないか、という気がかりがあります。
これは判定困難です。統合失調症でもあり得る症状ですが、解離の色彩もあり、何ともいえません。
「私を嘲笑して見つめてくる怖ろしい顔」とキーボードに打っているとき、その顔の持ち主(どの知り合いでもなく、幽霊のような)が背後から襲ってくるような恐怖に襲われ、体が震えます。
これも同様で、統合失調症でもあり得る症状ですが、解離の色彩もあり、何ともいえません。
・ 視力は1.5で良いはずなのに、日常生活では、いつもではないが、少しぼやけてよくは見えない。目を見開くと見える。私自身は、周囲への不安から目に涙が溜まっているのだと思っている。
これは【2060】のような解離に関連した症状と見ることも不可能ではありませんが、
・ いつもではないが、周りの光がギラギラすることがある。ギラギラしすぎて白くて周りが一瞬見えなくなることもある。
この知覚過敏とあわせると、統合失調症のニュアンスが感じ取れるといえます。
考えたことと反対のことを思い付く。
これは統合失調症に特徴的といえます。
ここまでですと、どちらかといえば統合失調症かもしれないが、何ともいえないという結論に近づきますが、
母の妹(私の叔母)は統合失調症で18年くらい前から入退院を繰り返しています。
この遺伝素因があることを考慮にいれますと、統合失調症の可能性が高いといっていいでしょう。
私が周りから「気持ち悪い」と言われるとしつこく言ったことに対して、「病気だから、自分は病気であることを自覚して気にしないようにする訓練をしよう」と言われ、心療内科に通って(薬名は母に聞かないと覚えていませんが)一錠を半分にした(0.5mg?)ものを寝る前に毎日飲んでいました。
この時のお母様の対応は、質問者である娘に最大限の気遣いを示しておられたのだと思います。
私自身は最初のころとは違って自分は病気ではないと思っていて、(おかしなことを思い付いたりはしているが、それがあり得ないことだと自覚しているため。「気持ち悪い」と言われることは確かに事実です)
おそらく質問者は決して納得されないと思いますが、
「気持ち悪い」と言われることは確かに事実です
これは幻聴であることはほぼ確実だと思います。
お聞きしたいことは、おかしさ、ありえなさに気づいている場合精神の病に当てはまるのかということです。
【2000】以後の説明にあるとおり、病気の初期や前駆期には、ある程度の病識があることは稀ではありませんから、「おかしさ、ありえなさに気づいている」ことは、精神の病でないという根拠にはなりません。また、上に述べた通り、この【2065】の質問者の病識は完全ではなく、ご自分で気づいていない「おかしさ、ありえなさ」があると判断できます。
また、私が感じる過度の不安感はなにかの病気の症状であるのでしょうか。もし精神病でしたら、病名はなんでしょうか。
統合失調症だと思います。
◇ ◇ ◇
このケースは偽陽性ということはないでしょう。
【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。
(2011.6.5.)