精神科Q&A

【2038】4歳のときから死にたいと思っています


Q: 結婚5年目の34歳主婦、子供はいません。主人と2人暮らしです。この様な事を相談するのは今回が始めてです。今まで誰にも打ち明けたことはありません。
実は、ここ2ヶ月間ほど気分が晴れない日が続いていました。でも、季節的にこういうこともあるかと無視していたのですが、ここ3週間ほど落ち込み具合がかなりひどくなり、ちょっとした事で涙がこぼれてきます。そして毎日たまらなく死にたいと思ってしまうのです。ソレが日に何度もくるのです。果てしの無い絶望感を感じた後に無性にしにたくなるのです。またか、という感じです。
いままでの人生の中でもこのような時期が幾度も数え切れない程ありました。特に親元にいた頃はほとんど毎日死ぬことばかりを考えていました。しかし、人は毎日死にたいと思いながらも懸命に生きていると思っていましたので、病院にいくなんて考えたこともありませんでした。
実は私は初めて死にたいと思ったのは4歳くらいのときです。母に「私が死んだらあんたを呪いにでてきてやる」といわれ怖くて怖くて仕方がありませんでした。どうしようと、かなり頭がぐるんぐるんにパニクったのを昨日のことのように覚えています。それから、自分が先に死んだら母の幽霊に呪われることもないと気づき、嫌なことがあるたびに早く死にたいと思うような子供になってしまいました。父親と母親は大変仲が悪くいつも喧嘩ばかりしていましたが、親って言うのはそういうものだと思っていました。父はよく暴力を家族に対してふるっていましたが、これもどこの家庭でもそうだとおもっていました。中学、高校ではいじめられっこでしたが親に一度もそういうことを言った事はありません。
私には弟がいますが10年ほど前に総合失調症と診断され今でも両親の元でくらしています。両親に言わせると、弟は大変繊細な心の持ち主だからそのような病気になったんだろうと、それに比べ私は神経が図太いんでノウノウと生きてると。そういうことらしいです。
何故今回私がちょと相談してみようかと思ったのは実は主人の存在があるからなのです。3週間ほど前から私の状態が悪くなる時期とかさねて、ため息混じりに「お前といるとこっちまでつらくなる」とか、「つらいのは自分だけと思うなよ」とか、「少しは笑えよ」と怒られてしまうのです。私も主人に悪いのでなるべく明るくしようとがんばっているのですが、結構無理があります。 主人は私が急にこんな状態になってしまったのでとても戸惑っているみたいです。私達夫婦は大変うまくいっていて何の問題もありません。しかし、私には昔から、何かこう、どうしようもない絶望感が付きまとっていて、こんなに良い人と出会い結婚して幸せにくらしてても、この途方もない絶望感からは逃れられないと最近気づいてしまったのです。
今までは死にたいと思っても、量子物理学の本や脳の本を読んで気を紛らわす努力をしていましたが、最近はもうダメだというかんじです。もうここまで生きても死にたいという気持ちから逃れられないのだからもう逃げても無駄なのかもという感じです。さっさと死んでしまったほうがいいのかも、そろそろ。と思う反面、主人のためにも元気で明るくいたいと思ったり、と、同時に、どうしてこんなに近くにいるのに助けてくれないんだろう?という気持ちでもあります。
私は何の取り得もありません、以前働いていた職場ではストレスから帯状疱疹になりしばらくは腕の上げ下げも困難でした。子供もいないので働きにでようかとも思うのですが、人間関係も苦手なのです。本当何をやってもダメなんですよ。私という存在がなくなったとしても別になんてこと無いでしょう。

でも、、、、ここのQ&Aを読んでいたらもしかしたら、私は病気なのかもと思い始めたのです。もし、病気なら治るのかも?そしたら、優しい主人に申し訳ないと思いながらも毎日死にたいと願う日々から開放されるときがくるのかも?
でも、これは今に始まった事ではなくもう何十年も前からのことだから私という人間がこういう人間ならば変える事はできないのでは。
一度精神科に行ったらよいのでしょうか?それとも単に育った環境のセイでこういう考えをする人間になっただけでしょうか?
ちなみに自殺未遂は11才の時の首吊りのみです。ビニール製の紐を蚊帳を掛けるところに引っ掛けてやりましたが、紐がぐにゅーっと伸びてしまい地面に着陸してしまいました。短時間ながらとても苦しかった記憶があります。


林: 幼少のころからつらい思いを続けてこられたこと、お察し申し上げます。また、今回、そのことをメールでお知らせいただいたことに感謝申し上げます。

私は初めて死にたいと思ったのは4歳くらいのときです。

このように、ごく幼少のころから、死にたいと思っていたとか、その他いろいろな精神症状があったという方は時々いらっしゃいます。(たとえば、物心ついたころから幻聴があった、など)
そのような症状の評価は大変難しいものです。幼少のころからそう考えていた、というのは、その人ご本人の記憶の中にある事実でしかないため、確認のしようがないこともひとつの理由です。(いくらご本人が記憶の中にはっきりあるとおっしゃっても、その記憶自体が誤りであることもしばしばあります)

この【2038】にもそのことはいえますが、しかし【2038】のケースでは、相当な長い期間、「死にたい」という気持ちやご自分への無価値感が続いていたことは確かであると読み取ることができます。
 このケースは、古典的な診断体系にあてはめれば、抑うつ性精神病質(シュナイダーの『臨床精神病理学』に記載されている診断名です)にあたるといえます。これをシュナイダーは、性格のかたよりの一つに分類していますが、それは当時の彼のそのような考え方であるという意味にすぎません。
 しかし、では現代ではどのように考えられているかというと、現代でもそれはよくわからないというのが現状です。

ただしこの【2038】のケースでは、

私には弟がいますが10年ほど前に総合失調症と診断され

という情報が注目されます。

両親に言わせると、弟は大変繊細な心の持ち主だからそのような病気になったんだろうと、

これはご両親の個人的見解にすぎず、繊細な心の持ち主だから統合失調症になるという事実は存在しません。
事実としていえるのは、統合失調症には遺伝的な素因があるということです。
したがって、この【2038】の質問者にも、素因はあるといえます。もちろんそのことは、【2038】の質問者が統合失調症であることを意味しません。
が、【2038】の質問者の特異な症状は、統合失調症の素因に何らかの関連がある可能性があるとまではいえます。だとすれば、

もう何十年も前からのことだから私という人間がこういう人間ならば変える事はできないのでは。

と結論することはできません。

それとも単に育った環境のセイでこういう考えをする人間になっただけでしょうか?

もちろんその可能性もありますが、

一度精神科に行ったらよいのでしょうか? 

行ってみることに意味はあると思います。

◇ ◇ ◇

【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。


(2011.6.5.)


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