精神科Q&A

【2037】自分へのあてつけではないかという勘ぐり


Q: 24歳 女 独身 実家暮らし 現在休職中 対人関係の緊張と不安で仕事が長続きしません。 人と話していると相手のしぐさや表情から ・心の中では自分を見下している・自分は嫌われているのではないか・自分は場違いな場所にいる、歓迎されていない・周りの人が音を立てたりするのは自分へのあてつけではないか という勘繰りがおこり、怖くて朝布団から出られないということを繰り返してしまいます。家族や初対面の人とは問題ありません。 ですが、休職して家に引きこもっていると不安から解放されてのびのびと過ごすことができます。気が向いたときには外出もできます。もう大丈夫だと思って復帰するとまたストレスが溜まり引きこもってしまいます。 このことから、擬態うつ病なのではないかと思っています。 そうであればもう甘えておらずに自分の生き方を改革しなくてはならない時が来たと思います。 対人関係において被害妄想的な不安を持つところは統合失調症ではないかと疑ったこともあるのですが、それにしては決定的な破綻をしていません。幻聴や幻覚はありません。 一連の症状がでたのは16歳ごろからです。幼少のころからの性格は、引っ込み思案、弱気でもともと対人恐怖症的な部分はありました。
以下に今の私の状態を書きます。 ・基本的に働くことが怖い・人に見られていると緊張して動作がぎこちなくなる・自殺願望はある・初対面のひとや店の人には不安を感じない・昼夜逆転している・劣等感が強い・集中力が無くなった 過去にあったが今は無い症状(高校〜大学時代にあった)・音や光に過敏になる・どこにいても落ち着かない・考えがまとまらない・本が読めなくなった・無気力 同世代と比べると遅れていることが不安で、現実社会についていこうと必死でしたがこれからは自分にとって無理の無い生存方法を真剣に考えようと思っています。 先生の目から見ると私は病気の範疇なのか生まれ持った性質の結果なのかご意見を聞かせて下さい。よろしくお願いします。 


林:
人と話していると相手のしぐさや表情から ・心の中では自分を見下している・自分は嫌われているのではないか・自分は場違いな場所にいる、歓迎されていない・周りの人が音を立てたりするのは自分へのあてつけではないか という勘繰りがおこり

これは被害妄想的な過敏さで、統合失調症のごく初期または前駆症状の疑いありといえます。
さらに、こうした症状の結果、

怖くて朝布団から出られない

対人関係の緊張と不安で仕事が長続きしません。


という生活レベル低下が起きていますので、統合失調症のごく初期または前駆症状の疑いは強まります。

対人関係において被害妄想的な不安を持つところは統合失調症ではないかと疑ったこともあるのですが、それにしては決定的な破綻をしていません。

このことは、統合失調症のごく初期または前駆症状を否定する根拠にはなりません。この段階では、生活そのものはそれまで通り保たれていることもあります。

さらに、質問文に書かれている他の症状をあわせると、統合失調症のごく初期または前駆症状の疑いは強いといえます。

他方、

幼少のころからの性格は、引っ込み思案、弱気でもともと対人恐怖症的な部分はありました。

という点からは、

生まれ持った性質の結果

ということもまだ否定はできません。
が、たとえ統合失調症でなく、性質の結果だとしても、日常生活に支障をきたしているわけですから、精神科の受診をお勧めします。

◇ ◇ ◇

【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。


(2011.6.5.)


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