精神科Q&A
【2003】みんなが陰口を言っている。車も人も私を邪魔だと思っている。自意識過剰でしょうか。
Q: 20代女性です。私は今まで自分が普通だと思っていましたし、今でもそう思っているのですが、時折、母に「気にしすぎ」「おかしい」と言われることがあります。それはただ自意識過剰なだけ(母もそう思って言っています)なのか、病院に行ったほうがいいのか悩んでおります。先生のご意見をお聞かせ頂ければと思います。
1)被害妄想があること。
中学生の頃から、みんなが私の陰口を言ったり、容姿について笑っている気がしていました。今でも、大学ですれ違う女の子達が笑っていると、自分のことを笑っているように感じます。道ですれ違う人達が、私のことを注視しているようにも感じます。
2)車や人が私を邪魔だと思っていること(これも被害妄想でしょうか)。
私の住んでいる地域のタクシーは柄が悪いことで有名です。よくクラクションを鳴らしたり、かなりのスピードを出して走ったり、横断歩道では人が渡り終える前に、人のぎりぎり後ろを走り去ることもあり、怖いなと感じていました。しかしここ1年くらい、そのタクシーが、歩道を歩いている私を邪魔に思ってわざとスピードを出して、私に向かって走ってきて通り過ぎていくような気がしています。タクシーだけでなく、普通の車でもそう思い、「脅かされている!」とむしょうに腹立たしくなります。人と一緒にいるときはあまり気にならないのですが、それでもすごいスピードで走られると腹立たしいです。すれ違う人も、前から歩いてくる私を邪魔だと思っていて、私がどかないと睨んだり怒っているように感じます。私も「そっちがどけばいいのに」と腹立たしくなってしまいます。最近はこういった怒ってしまうことがストレスで、大学に行く以外で1人では極力外に出たくありません。(これは電車など、人混みでよくあります)「ような気がしている」というのは、怒っている私が一緒に歩いていた母に、「気にしすぎ、変だよ」と言われてはじめて、私だけが過剰に反応しているらしいと知ったからです。それまでは変だと思っていませんでした。今でも私は、少なからず本当に邪魔だ・脅かそうと思われていると思っています。どこまでが勘違いではないのか、気にしすぎなのか、よくわかりません。
3)疲れたときの認識がおかしいこと(ここ1・2年に数回あったことです)。
疲れた日の夜、小説を読んでいると、小説が現実なのか非現実なのかわからなくなることがありました。
4)疲れたとき、他の人の声が頭の中で聞こえることはっと気付くと、おばあさんの恨み言が頭の中で聞こえていてそれを私が代わりに考えていました。
これも過去に数度あったことで、頻繁にあることではありません。3)・4)共に、疲れているからだと思っています。 人が悪口を言っている、注視していると感じることは中学生の頃からあったので、今までなんとも思っていませんでした。でも最近、2)のようなことでプリプリすることが増えていて、少し不安になりました。私はただ自意識過剰で敏感になっているだけでしょうか。それとも病院に行き診断して頂いた方が良いのでしょうか。どうぞ宜しくお願い致します。
林: 統合失調症のごく初期、または前駆症状だと思います。
みんなが私の陰口を言ったり、容姿について笑っている気がしていました。今でも、大学ですれ違う女の子達が笑っていると、自分のことを笑っているように感じます。道ですれ違う人達が、私のことを注視しているようにも感じます。
これは被害妄想的な過敏さといえます。
しかしここ1年くらい、そのタクシーが、歩道を歩いている私を邪魔に思ってわざとスピードを出して、私に向かって走ってきて通り過ぎていくような気がしています。タクシーだけでなく、普通の車でもそう思い、「脅かされている!」とむしょうに腹立たしくなります。人と一緒にいるときはあまり気にならないのですが、それでもすごいスピードで走られると腹立たしいです。すれ違う人も、前から歩いてくる私を邪魔だと思っていて、私がどかないと睨んだり怒っているように感じます。
これは妄想ともいえるし、妄想にかなり近いものともいえます。妄想のような考えと呼ぶことにします。(但し、被害妄想的な過敏さとみることも可能です)
「ような気がしている」というのは、怒っている私が一緒に歩いていた母に、「気にしすぎ、変だよ」と言われてはじめて、私だけが過剰に反応しているらしいと知ったからです。
このように、揺るがない確信ではないので妄想とまではいえません。
とはいえ、
どこまでが勘違いではないのか、気にしすぎなのか、よくわかりません。
という曖昧な状態ですので、妄想に発展するおそれはあります。
疲れたとき、他の人の声が頭の中で聞こえることはっと気付くと、おばあさんの恨み言が頭の中で聞こえていてそれを私が代わりに考えていました。
これは軽い幻聴といえるでしょう。
疲れた日の夜、小説を読んでいると、小説が現実なのか非現実なのかわからなくなることがありました。
これだけひとつを取り上げれば何ともいえませんが、他の症状があることをあわせて考えれば、統合失調症(や、その初期。または前駆症状)に見られる奇妙な感覚とみることが可能です。
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(2011.6.5.)