精神科Q&A
【1936】昔の記憶が曖昧で、最近では幻聴もあります
Q: 21歳女性です。私は自分が解離性障害ではないかと悩んでいます。 私は自分の記憶に自信がありません。昔のことを思い出そうとしても、ぼんやりとしか思い出せません。私は幼い頃から母親に厳しく育てられました。(体罰もありました。)また両親はある宗教を熱心に信仰しており、私の家と世間とは隔絶しているという雰囲気の中、育ちました。大学生まで私は家に縛られ、誰にも相談できず、とても辛い思いをしていました。しかし、それを自分のこととして実感できません。 また、昔のことだけでなく、ついさっきまでのことも記憶があいまいだったり、自信がなかったりします。そのため、仕事でもぼんやりしていることが多いと指摘され、支障をきたしています。 最近では幻聴もありました。頭の中で複数の人が会話をしているのがはっきり聞こえるのです。声たちは私の行動について議論したり、言い争いを始めたり、小さい子供が泣いていることもあります。それらは声だけにとどまらず、実際に表に現れているのではないかという気がします。頭の中で声が活発になると頭痛が始まり、私は意識がもうろうとして視界がぼやけ、普段とは違う自分になっているようなのです。その時の自分を後から思い出すと、少し離れた所から客観的に見ているような感覚になります。 今は幻聴は治まっているのですが、また再発するのではないかという心配が常にあります。これらの体験から自分は普通ではないという恐れが強くなり、周りの人たちと同じように生きていくことはできないと思い始めました。私が解離性障害だとしたら、これから生きていくために、どうしたらいいのでしょうか。
林: 虐待があったかもしれない。しかしあったとしても、記憶が曖昧で、その内容がよくわからない。そして現在は解離性障害。【1935】までの中にいくつもあった例と共通するケースです。
そしてこの【1936】のケースの一つの大きな特徴は幻聴です。その内容は、
頭の中で複数の人が会話をしているのがはっきり聞こえるのです。声たちは私の行動について議論したり、言い争いを始めたり、
ここまでですと、統合失調症の幻聴を思わせるものです。というより、もしこれだけしか記載がなければ、統合失調症の可能性が最も高いといえるでしょう。けれども、
小さい子供が泣いていることもあります。それらは声だけにとどまらず、実際に表に現れているのではないかという気がします。頭の中で声が活発になると頭痛が始まり、私は意識がもうろうとして視界がぼやけ、普段とは違う自分になっているようなのです。
このようなことは、統合失調症ではまずないことで、逆に解離性障害ではしばしばあるものです。上記最後の
普段とは違う自分になっているようなのです。
という点は特に意味深長で、このような過程を経て解離性同一性障害(多重人格)に発展していくことも考えられます。その意味では【1932】と共通点がある症状といえます。また、
その時の自分を後から思い出すと、少し離れた所から客観的に見ているような感覚になります。
この体験は、それ自体は離人といえますが、やはり解離性同一性障害への発展を窺わせるものです。
私が解離性障害だとしたら、これから生きていくために、どうしたらいいのでしょうか。
あなたは解離性障害です。どうしたらいいか、一人で考えていても答えは出てきません。精神科を受診してください。
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【1901】から【1948】までの回答は一連の流れになっています。【1901】、【1902】・・・【1948】という順にお読みください。
(2011.1.5.)