精神科Q&A

【1925】昔の記憶は「心の中の写真」としか説明できません。その中には「義父と私が裸」写真もあります


Q: 私は現在24歳の女です。私は過去や思い出、昔の記憶を「1枚の写真が心の中にいくつかある。」としか説明できません。絵にしか書けない。といった感じです。他人の写真を今でも覚えている。というのか画像としての感覚しかありません。しかもそれが15枚ほどしかないので、推測、憶測でしか自分を語れないです。そのせいで自分が自分である感覚がなく、モヤモヤしてします。その結果私は、精神病なのか?年のせいで忘れたのか?と毎日色々考えてしまい、助言を頂きたくメールしました。 その「心の中の写真」ですが、「義父と私が裸」写真もあります。私が小さいので多分小学生とかだと思います。しかし、義父に対して気持ち悪い、腹が立つなどの感情も一切なくたまに会い普通に話しもできます。これは私が過去の事は許し、何もかも忘れたのでしょうか?他にも、私にはそれほど記憶に残る思い出がないのでしょうか?本当によく分からないです。母親はどういう人物だったのか、義父といつ再婚し離婚したのか。離婚した理由は知っています。私と義父の間柄がばれた様なのです。義父との性的な事は実際にありました。小学生から始まり16〜18歳ぐらいまではあったと思います。この期間については憶測です。許してはいても、普通このような事があれば詳しく覚えているのでは?と思ってしまいます。
20歳〜現在までは情景や感情、何をしてきたか、を大体ですが思い出す事はできます。自分の「思い出」という感覚はないかもしれません。あまりにも過去を忘れたせいで、自分が分からないです。年齢を重ねたせいで記憶が薄くなり、消えてしまったのでしょうか。

今の私は薄くなりすぎた気がします。自分を取り戻したいです。 クリスマスの日にこの様な内容のメール送ってしまい本当に申し訳ないです。長くてすいません。もしできましたら私が過去を忘れているのは自然な事なのか、何か病気の可能性があるのか、を教えて欲しいです。 関係あるかはわかりませんが、私の事を書いておきます。私は無意識状態、行動、放心状態が凄く多いです。@よくコケる。Aすぐ物などを失うB日本語なのに理解できない、英語で話されている感じです。ハッとすると意識が戻って自分に気がつきます。 あと0歳〜14歳ぐらいまでの男の子が嫌いです。殺意に近いものがあります5歳の男の子が母親に甘えていても、性的な感情でひっついている。としか思えないです。大人の男性は好きでも嫌いでもないです。男性の性的な感情は理解できるのですが、小さい男の子も大人の男性と同じにしか見えず、結果として、子供のくせに気持ち悪い、猫かぶっている、心が汚い、などと思ってしまい嫌悪感、怒り、殺意にまでなりました。。私は子供ができた際、男の子なら捨ててしまうか、イジメ抜くか、叩き上げ厳しくするか、しか考えられません。毎日泣かしたいです。この事を考えると、やっぱり過去の事を許していないのでは?と思っています。でも義父に対して、何も思わないので本当に自分が分からないです。上記以外語れるものが自分には何もないです。


林: 現在のあなたの精神状態、たとえば、

私は無意識状態、行動、放心状態が凄く多いです。@よくコケる。Aすぐ物などを失うB日本語なのに理解できない、英語で話されている感じです。ハッとすると意識が戻って自分に気がつきます。

これらには、解離の色彩があります。そして、幼少時に受けていた性的虐待が、それと関連している可能性があります。

もしできましたら私が過去を忘れているのは自然な事なのか、何か病気の可能性があるのか、を教えて欲しいです。

幼少時に虐待を受けていた場合、その記憶が曖昧になることや、曖昧どころかそのすべての記憶が失われることもあります。記憶が曖昧になったり失われたりする範囲は、虐待のことだけのこともあれば、その前後の長い期間に渡ることもあります。また、

私は過去や思い出、昔の記憶を「1枚の写真が心の中にいくつかある。」としか説明できません。絵にしか書けない。といった感じです。他人の写真を今でも覚えている。というのか画像としての感覚しかありません。

このように、出来事自体の記憶はあっても、そこに感情が伴わず、他人事のように感じられるというケースもあります。

これが自然なのか、病気の可能性があるのかというのがこの【1925】の質問ですが、病気と呼ぶかどうかは病気という言葉をどう定義するかによります。ここでは、虐待とこれら症状は関連する可能性があるとだけ申し上げておきます。病気の定義は人によっても違います。【1925】の今の状態を病気と呼ぶかどうかは、【1901】から【1948】をお読みになってお考えください。
病気と呼ぶかどうかはともかく、【1925】の質問者には精神科を受診されることをお勧めします。

◇ ◇ ◇

【1901】から【1948】までの回答は一連の流れになっています。【1901】、【1902】・・・【1948】という順にお読みください。

この【1925】の質問者は

私と義父の間柄がばれた様なのです。義父との性的な事は実際にありました。小学生から始まり16〜18歳ぐらいまではあったと思います。この期間については憶測です。許してはいても、普通このような事があれば詳しく覚えているのでは?と思ってしまいます。

と訝っておられます。それも一理あります。つまり、おぞましい程の苦悩の体験だからこそ、詳しく覚えているはず。日常の出来事の記憶体験を振り返ってみれば、そう考えるのが自然です。人は、何気ない出来事はすぐに忘れてしまいますが、強く心を動かされたことはいつまでもよく記憶しているものです。
ところが、性的虐待のような強烈なトラウマでは、そのような日常の記憶とは違った現象が起こることがあります。つまり、おぞましい程の苦悩の体験だからこそ、記憶から消えてしまったり、記憶が曖昧になったりするという現象です。
 さらにはこの【1925】のように、出来事そのものは記憶にあっても、その時の感情が記憶から消えているということもあります。質問者は、ご自分が義父を許しているというようなことを言っておられますが、許していないからこそ思い出せないという解釈のほうが妥当と思われます。思い出した場合の許せない気持ちに自分が耐えられない、だから記憶が、特にその時の感情の記憶が、抑圧されている、ということです。

ただしここに、これまで繰り返し指摘してきた、「本人が語る過去に受けた虐待は、本当に起きたことかどうかがなかなかわからない」という事情が加わり、問題は複雑化します。
つまり、記憶が曖昧なのは、実はそんな出来事はなかったからではないか、という推定も成り立つわけです。

というような問題を念頭におきつつ、【1926】以下にお進みください。


(2011.1.5.)


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