精神科Q&A
【1871】飲酒して色々な問題を起こしてきた私は、ただ酒癖が悪いだけでしょうか
Q:
20代後半の女です。こちらのサイトを見ているうちに、少し自分の過去の事や最近の行動が不安になり、質問をさせていただきます。 お酒が好きで、友人と二人で朝まで飲むことがしょっちゅうあります。 大学1年のときには、二人で飲んで二人とも救急車で運ばれたことがあります。 一度、飲みすぎて自宅に帰りトイレで倒れているところを兄に発見されて、ひどく怒られたことがあります。あまりに泥酔している私を見た兄が、逆上して私を何度もけっ飛ばしました。怖いのと、情けないのと、自己嫌悪で、兄が部屋から出て行ったあとに泣きながら手首を切りました。少し血が出たら安心して眠ってしまいました。 朝になったら、お酒のせいで死のうとしたなんてと少し恥ずかしい気持ちになりました。生活はいたって普通にしているし、友達もいて、他におかしい部分は少しもありません。 ただ、たまに突発的に、この先生きていてもなにもいいことがない・価値がないと思い死にたくなることがありました。前の彼の家で、一番幸せな瞬間に死のうと彼の前で自殺を図ったこともあります。家族と喧嘩をしたときなども、手首を切って安心するのが癖のようになって、深い傷ではないですが、たまに突発的に自殺をはかることがありました。 1年ほど前に彼との関係が悪化し、別れてしまいました。 私は仕事を始めていたし、精神的にも非常に安定していたので、大丈夫だと思っていたのですが、その頃からはお酒を飲むと記憶のないうちに暴言を吐いたり、泣きだしたりすることが多くなり、朝自宅に帰ると絶望的な気分になって死のうとすることが何度かありました。手首を切って、別れた彼に写真をメールで送りつけたこともありますし、酔っぱらって何度もしつこく電話をかけたこともあります。 最近では、手首を切ることはなくなりましたが、お酒を飲んだとき記憶のないうちに暴言を吐いていることや、男性と関係していること、また、知らない男性に家まで送ってもらったり、自分が悪い人間だからこういう男にベタベタされるんだという考えになることがあります。必ず飲んだ朝に、「こんな自分は本当の自分ではないはずだけど、でも自分は悪いから知らない人に触られたりする。でもこんなことを望んでいるのは自分じゃない・・・」という考えのループにはまって、気が狂いそうになりながら帰宅することがあります。 お酒は週に1〜2回か、飲まない週もあります。 なので、アルコール依存ではないと思います。 ですが、落ち込むような事があると、とことん気分がふさぎこんでしまい、楽しくなりたくて飲みに行くと、最終的に上記のような状態になってしまうことがあります。 落ち込みやすいネガティブな考えなだけで、一時的に精神的に不安定になっているだけなのでしょうか?
林: 飲酒時にこれだけの問題があれば、アルコールを飲むことがあなたにとって非常にマイナスになっていることは確かです。にもかかわらず飲酒を続けていることから、あなたがアルコール依存症と診断できる可能性は高いです。少なくともアルコール乱用という診断はつくでしょう。
お酒は週に1〜2回か、飲まない週もあります。 なので、アルコール依存ではないと思います。
このように、何らかの理由をつけて、自分がアルコール依存症でないと主張するのは、アルコール依存症の人に非常によく見られることです。そもそも、アルコール問題のない人であれば、自分がアルコール依存症でないと主張する必要性は全くないはずです。しかしあなたは自分がアルコール依存症ではないと主張している。一方で自分にアルコールの問題があることの自覚はある。でも飲酒を続けている。アルコール依存症の典型的なパターンです。
なお、「お酒を飲まない日もある」ことは、アルコール依存症の診断を否定する根拠にはなりません。
落ち込みやすいネガティブな考えなだけで、一時的に精神的に不安定になっているだけなのでしょうか?
この一文は質問とは言えません。あなたがそのように思いたいということを吐露しておられるだけです。アルコール問題の否認も含まれています。このまま飲酒を続ければあなたは破滅します。
(2010.11.5.)