精神科Q&A

【1833】父の被害妄想がひどく、同居の母が参っています


Q: 私は30代の娘です。60代の父のことです。父と同居している母に代ってご相談いたします。以前住んでいた家で、隣の人に煙をまかれるなどのいたずらをされると言い、家に戻らなくなったため、引越しをして現在のマンションに住み始めて5年ほどですが、去年より、上の階の住民の物音からまた、煙を巻かれているといった被害妄想が始まりました。ちょうど出産のため帰省していた私がいた1年前が一番ひどく、いらいらして怒鳴りつけたり、ころころ気分が変化したり、ほら話をしたり、私たちに相手にしてもらえないので、自分もしんどい、死ねるものなら死にたい、と言い出したため、隣県の弟に来てもらい、なんとか病院に行ってもらいましたが、先生が気に入らなかったため、薬も飲まなくなりました。 仕事のほうは、パートに行っていましたが、自分がいないと回らない、しんどいけど辞められない、と妄想するようになったため、一度は辞めさせましたが、家にいると煙のことばかりのため、また半日ほどパートに行かせています。現在は、別の病院に連れて行っていますが、頑固な人間で病気を自覚しておらず、病院側も父の話を月に一度(か2度)聞いてくださり、薬を処方されるだけで、何の変化もありません。冬でも窓を開放し、煙が見えると一日中言ってそわそわし、趣味も何もなく、テレビも新聞や本も読まず、煙を排除する工作をするくらいで、煙のことしか頭にないようです。外出しているときはよいのですが、家に帰ると同じで、母が参っています。母としては、主治医より、被害妄想であることを伝えていただき、入院してショック治療をしてほしいようです。来月に夫婦で病院に行くときは、母はどれだけつらいか、父の前で聞いてもらい、入院をうながす予定らしいのですが、はたしてうまくいくか、わかりません。 なんとか快方に向かう手立てはないものでしょうか? アドバイスよろしくお願いいたします。


林: お父様は妄想性障害か統合失調症だと思います。

以前住んでいた家で、隣の人に、煙をまかれるなどのいたずらをされると言い、家に戻らなくなったため、引越しをして、現在のマンションに住み始めて5年ほどですが、去年より、上の階の住民の物音からまた、煙を巻かれているといった被害妄想が始まりました。

このような場合、引越ししても無駄です。

頑固な人間で病気を自覚しておらず、

頑固な人間かどうかということは無関係です。これは病気の症状としての妄想です。性格や環境とは別です。

母としては、主治医より、被害妄想であることを伝えていただき、

医師から被害妄想であると伝えても自覚は期待できません。妄想とはそういうものです。まず治療が必要です。

入院してショック治療をしてほしいようです。

「ショック治療」とは、たとえとして言っておられるのか、電気けいれん療法のことを言っておられるのか不明ですが、このようなケースではまず薬物療法を行なうのが普通です。入院の要否については何ともいえません。質問者も、それからこのお母様も、妄想というものについて十分な知識を持っていないと思われますので、無知を基盤にした素人考えで治療法を指定するのは不適切です。

来月に夫婦で病院に行くときは、母はどれだけつらいか、父の前で聞いてもらい、入院をうながす予定らしいのですが、はたしてうまくいくか、わかりません。 

うまくいかないと思います。

なんとか快方に向かう手立てはないものでしょうか?

あります。
ただし、知識のない状態でいくらお考えになっても無駄です。病院の先生に相談してください。また、精神科Q&Aの統合失調症の実例、中でも特に今回(2010.10.5.)の実例(【1805】から【1870】)などをご参照ください。

 

今回の更新(2010.10.5.)について

(2010.10.5.)


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る