精神科Q&A
【1829】被害妄想の母が薬を飲まず、父の協力も得られません
Q: 63歳の母の事で相談です。現在は父と二人暮らしの専業主婦です。母は20代の頃から隣の家の物音が気になっては、トラブルを繰り返しておりました。40代を過ぎてからは、上の階の人はどろぼうで、いつも自分を監視していると本気で言っており、通風口を塞いだり、ひどい時には警察を呼んだりしておりました。3年前に今のマンションに越してきましたが、レコーダーを使って生活音を録音し、それを一日中聞いては分析して「下の階の住人が文句をいっている」と言っています。さらには、マンションの管理組合、建設会社、不動産会社、さらに警察にもそのレコーダーを持参して苦情を言っているようです。
以前から母は精神的に普通ではなかったので、私がその異常に本当に気がついたのはこの数年の間です。まず精神科医の無料相談を私一人でたずねたところ、「軽い統合失調症」とのこと。 早く治療した方がいいとのアドバイスを受け、母を何度も説得して昨年ようやく一緒に精神科を受診できました。何度も通院して、そこでの診断は「妄想性障害」でした。ロナセンという薬を処方していただきました。 ですが困ったことに、その薬を母はほとんど飲んでくれません。「自分は病気ではない、いつか自分の言っていることが正しいとわかる時がくる」と言っています。 一緒に暮らす父も「母は病気ではない、そういう性格だ、誰にも迷惑をかけていない」と認めず、無関心なままです。なので父に、母に薬を飲ませるように頼んでも協力してくれません。 私の目から見ても、去年より今年の方が、母の病状は進行しているように思いました。一番辛いのは、妄想に悩まされている母だと思います。もちろん父にも現状をちゃんと受け止めて欲しいのです。 母に薬をきちっと飲んでもらえるようにするには、どうしたら良いのでしょうか?また、こういう場合入院ということもあり得るのでしょうか?どうかお答えいただけますよう、よろしくお願いいたします。
林: お母様は統合失調症か妄想性障害だと思います。
ですが困ったことに、その薬を母はほとんど飲んでくれません。
よくあることです。
「自分は病気ではない、いつか自分の言っていることが正しいとわかる時がくる」と言っています。
それが妄想というものです。
一緒に暮らす父も「母は病気ではない、そういう性格だ、誰にも迷惑をかけていない」と認めず、無関心なままです。なので父に、母に薬を飲ませるように頼んでも協力してくれません。
では治療は困難です。
私の目から見ても、去年より今年の方が、母の病状は進行しているように思いました。
それをお父様はわかっておられるのでしょうか。
一番辛いのは、妄想に悩まされている母だと思います。
その通りです。しかし、お母様を説得しようとしても無駄です。
もちろん父にも現状をちゃんと受け止めて欲しいのです。
それを目指すべきです。
母に薬をきちっと飲んでもらえるようにするには、どうしたら良いのでしょうか?
お父様に病気を理解していただくのが最善かつ唯一といえる方法だと思います。
また、こういう場合入院ということもあり得るのでしょうか?
あり得ます。しかしお父様の理解がなければ無理でしょう。
(2010.10.5.)