精神科Q&A

【1655】幻聴と、頻繁にくる眠気


Q: 私は現在高3の女ですが、中2からたまに幻聴があります。自分の部屋に1人でいて少し眠いときに、「死ね」などの悪口をクラスメートが自分に向かって言う声が耳元ではっきりと強く大きく単語で聞こえたりしました。高校生になると、なくなったのですが、最近再び一・二度布団の中で幻聴がありました。これは、幻聴ではなく夢と混同して起こるものでしょうか。とてもネガティブで恐れや不安が強く、対人関係で支障がでるほどです。そのせいでこのような幻聴があるのだと思っていました。あと、気になる点を列挙させて頂きます。・頻繁に眠くなります。帰ってから眠くなり、休日は12時過ぎにねて10時に目が覚め、お昼や夕方にも眠くなります。夜になると元気になり、ねる前は妄想して興奮してなかなか眠れません。・環境のせいもあって、ひどく悲しくなったり、テンションが異常に下がることが頻繁にあります。先日、精神科に行って精神疾患だと言われました。本当にそうでしょうか。


林: これはナルコレプシー Narcolepsy の可能性があると思います。

自分の部屋に1人でいて少し眠いときに、「死ね」などの悪口をクラスメートが自分に向かって言う声が耳元ではっきりと強く大きく単語で聞こえたりしました。

これは、入眠時幻覚と思われます。一般に、覚醒(目が覚めている状態)と睡眠では、意識状態がはっきりと違うことはあえて言われるまでもありませんが、ということは、覚醒と睡眠の間には、どちらとも言い切れない移行の時期があるということも、自然に理解できるかと思います。覚醒した直後には(つまり、睡眠から覚醒に移行する時期)、まだ意識がはっきりしない「寝ぼけ」という状態があるのは、誰でも経験するところです。すると、覚醒から睡眠に移行する時期にも、同様なことがあるのが当然なのですが、こちらのほうは、そのまま眠りに落ちてしまって記憶に残らないためか、この時期の意識がはっきりしない状態は、あまり一般的な経験とはいえません。けれども、寝ぼけと同じように、これも特に病的ではない現象です。つまり、眠いときの幻覚、すなわち「入眠時幻覚」は、それ自体は病的な体験とはいえません。(幻聴も幻覚の一種です)
したがって、

高校生になると、なくなったのですが、最近再び一・二度布団の中で幻聴がありました。これは、幻聴ではなく夢と混同して起こるものでしょうか。

このように、「夢と混同して起こる」という言い方は、正しいものです。(ただし、それでも幻聴に違いはありませんが)

けれども一方で、入眠時幻覚が、病気の症状として見られる場合もあります。それがナルコレプシーで、この【1655】のケースでは、

・ 頻繁に眠くなります。帰ってから眠くなり、休日は12時過ぎにねて10時に目が覚め、お昼や夕方にも眠くなります。

このような著しい眠気を伴っていますので、入眠時幻覚と合わせて、ナルコレプシーの可能性は高いといえます。
 しかし、もちろん、単なる寝不足で日中に眠気があるだけということも考えられますので、確定診断のためには、症状だけでなく、脳波などの検査が必要です。

先日、精神科に行って精神疾患だと言われました。本当にそうでしょうか。

「精神疾患」という言葉でどこまでの範囲を表すかは人によって違いますので、この問いに回答することは不可能です。
 しかしいずれにせよ、ナルコレプシーかどうか、検査を受けることをお勧めします。


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