精神科Q&A
【1654】『大人になったのび太少年』の入手法
Q: 私は24歳の女性です。 精神医学には以前から関心があるので林先生のHPをいつも拝見しています。また、先生が書かれた本にも興味を持ったので購入しました。簡単に感想を明記します。 『うつ病の相談室』『統合失調症〜患者・家族を支えた実例集〜』『躁うつ病〜患者・家族を支えた実例集〜』『境界性パーソナリティ障害〜患者・家族を支えた実例集〜』の4冊は、実例をもとにしているため実践的で、とても分かりやすくまとめられていました。 特に『境界性パーソナリティ障害〜患者・家族を支えた実例集〜』は、私が今まで関わった人に対象と思わしき人が何人かいたため、もやもやとしていた霧が晴れるように、そうだったのか、と納得することができました。この納得は、あの人たちは病気だったのか、というものではなく、あの人たちはうつ病ではなかったのか、というものです。と言うのも、私が今まで関わった対象と思わしき人たちは、リストカットや過量服薬といった行為を癖のように繰り返したり、全面的に信頼されたかと思えば途端に激しく軽蔑されたりするなど、まさに本に書かれているような様子で、その様子は、専門家でない私からすると、深く悩み、苦しみ、もがいているといったもので、本人から「私はうつ病だ」「うつの気分がなくならない」「うつはつらい」などの発言をされることで、ああこれがいわゆるうつ病なのか、と思っていたのです。しかし、その一方で、別の知人はうつ病であるにもかかわらずとても良い人だったので(良い人と書くと語弊があるかもしれませんが、人に心配をさせたり迷惑をかけたりすることもなく、むしろ気を遣いすぎるほどでした。なので、一見元気なようにも見えましたが、趣味などをぱったりとやめて食欲すらも失せていく様子は、やはり健康な人と異なるように思えました)、うつ病にもいろいろあるのかなあ、種類の差かなあ、程度の差かなあ、もし程度の差だとすればこちらの知人(リストカットなどをする知人)のほうがつらいのだろうなあ、と思っていました。だからこそ、『境界性パーソナリティ障害〜患者・家族を支えた実例集〜』を読み、あれはうつ病ではなかったのだと知ることは、とても大きな意味を持っていたのです。同時に、境界性パーソナリティ障害の人には、うつ病だと思い込んでいる人が多いのではないか、とも思いました。 そこで読んだのが、『擬態うつ病』『それはうつ病ではありません!』でした。上に書いた経緯があったので、この2冊はまさに食い入るように読みました。そして、私(おそらく私以外にもたくさんの人たち)が、境界性パーソナリティ障害だったりただの我儘だったりする人たちに対して、うつ病だと思い込んでいたことを知りました。さらに、本当のうつ病患者には、以前私が思っていたように、程度が軽いのかな、といった感覚を持っているかもしれないと気付き、危機感を覚えました。つまり、林先生のおっしゃるとおり、うつ病の輪郭が拡大し、ぼやけてしまったことで、本当のうつ病患者たちに悪影響が及ぼされるのではないか、と自分自身の経験から思ったのです。この2冊は、うつ病に関する誤解が解けて正しい知識を得ることができるので、多くの人に読んでもらいたい、と思います。(余談になりますが、擬態うつ病に関して全く異なる分野から論文を書いてみようかと思いましたが、うまくまとまりそうもないので、断念しました)
また、ここで質問なのですが、『大人になったのび太少年』『大人になった矢吹ジョー』の2冊は、本屋さんで注文しても在庫がないと言われ、購入できませんでした。ぜひ、上記の2冊も読んでみたいと思っているのですが、なんとかして購入することはできないでしょうか。林先生にお聞きすることなのか出版社にお聞きすることなのか分からず、迷いましたが、この度は林先生にメールを差し上げることにしました。
林: 私の著書をお読みいただき、また、評価していただきありがとうございました。
『大人になったのび太少年』『大人になった矢吹ジョー』は、残念ながら現在(2009年10月)、出版元でも品切れとなっています。入手するためには古書をあたることをお勧めします。
以前、擬態うつ病が品切れ状態になったとき、ネットの大手の書店では古書にかなりの高値がついていました。『大人になったのび太少年』『大人になった矢吹ジョー』も、一部高値で取引されているところも現在あるようです。
しかし、検索すれば安価の物も発見できます。
ネットの大手検索エンジン(G----)で、キーワードとして「古書」を入力すると、かなり上位に、ある検索・販売・買取サイトがヒットします。私は絶版となった専門書を、しばしばこのサイトを通じて入手しています。このサイトで試みに『大人になったのび太少年』『大人になった矢吹ジョー』を入力してみましたところ、『大人になったのび太少年』の方は現在(2009年10月5日)、入手可能のようです。
とここに発表してしまうと、またすぐ品切れになってしまうかもしれませんが・・・。