精神科Q&A
【1635】父と弟を自殺に追い込んだ、人格障害と思われる62歳の母
Q: 私は現在38歳、既婚、妊娠中です。父、母、3つ下の弟、私の4人家族でした。母は、父と弟を自殺に追い込みました。
母は親戚とも、祖母の相続の際にトラブルがあり、疎遠です。近所づきあいも全くありません。他人との関係が上手くもてません。
自分の非は認めず、常に他人を攻撃します。私が幼い頃は弟を溺愛し、まず父を家族の中で仲間はずれにし、思いどおりにならない長女の私のことも嫌っていました。
父に対しては、毎晩のように不平不満をヒステリーに並べ攻撃していました。自分の思い通りになるまでしつこく攻撃し、父の給料に関しても母がすべて握り、父は他に借金をしていたようです。晩年には父は別にアパートを借りて別居していました。15年前に父は自殺しました。
父の死後、母は弟(当時19歳)を連れ実家の祖母宅に間借りして生活し、祖母の死後は弟と二人で生活していました。弟は社会と疎遠で引きこもりでした。
この春、弟が35歳で自殺しました。遺書があったようですが内容について母は教えてくれません。
私は父の勧めもあり、18歳で家を出て寮生活を送り、母とは距離をとっていました。弟の死後、今まで疎遠であった長女の私に、「弟の死の原因は私が相談に乗ってあげなかったから」「結婚したら親を見捨てる」と責める内容をとりとめなく話します。母が私名義で運用していた銀行口座について「財産をあてにしてる。名義変更を至急にしてください」などしつこく電話をしてきます。自宅への電話でとりあわないと、夫の実家に電話したり、私の職場に電話をしてきます。自宅への電話では、多くの時間を費やされ、職場や夫の実家に迷惑をかけられることで、私の生活が壊されます。毎日、いつ電話があるかビクビクして過ごしています。
母の要求どおり、名義変更等の手続きを済ませると、次は急に態度を変え、甘えた声で電話をしてきて「普通の親子関係になりたい」「2世帯の家を建てて一緒にすまないか」と言ってきます。私が「それは出来ない」と答えると急に態度を激変させ「親子の縁を切りたいなら相続の遺留分を放棄しなさい。あなたには1円も渡したくない」とまくしたて、夫の実家に電話する、家に押しかけるから、職場に行ってやる。と私を脅します。
精神科受診を勧めたところ、「人をきちがい扱いして」と拒否し聞く耳をもちません。
相談したいことは
(1) 母の言うとおりに次は「遺留分放棄の要求」または「同居の要求」に答えるべきか。私としては、同居することでは上手くいかないことは想像できますし、一番恐れているのは母が次は私の夫、または私を攻撃対象とし、自殺に追い込む可能性があることです。遺留分放棄については弁護士に相談したところ、親子の縁はどうやっても切れないし、母の扶養義務は私に課せられ、母の死後の始末も私がすることになるので簡単に放棄しない方がよい。と言われています。
(2) 母の症状は疾病性のあるものでしょうか。人格障害でしょうか?
林:
(1) 母の言うとおりに次は「遺留分放棄の要求」または「同居の要求」に答えるべきか。
それには賛成できません。ひとつ要求を聞き入れれば、また次により困難な要求が来ることは目に見えているからです。電話の対応を含め、毅然とした姿勢を示し、それを貫くべきです。
(2) 母の症状は疾病性のあるものでしょうか。人格障害でしょうか?
人格障害(パーソナリティ障害)だと思います。
ただし、この質問文からは、「疾病性のあるもの」と「人格障害」は別のものと考えておられることが読み取れますが、「人格障害」(パーソナリティ障害) = 人格(ないし性格、パーソナリティ)の著しい偏り を疾病に含めるかどうかは難しい問題です。