精神科Q&A

【1611】うつ病治療としての経頭磁器刺激法


Q: 20歳の女性です。1ヶ月前にうつ病と診断されました。
今の症状は
絵が大好きなのに描く意欲が沸かない・泣く感動する喜ぶという感情が鈍っている・疲れやすい・すぐ眠くなる・寝過ぎる・世界が狭く感じられる・死にたいと思う・好きな物事に対して熱中できない興味が沸かない・頭が重く感じる・癒されるという感情がなくなっている・山や川に行っても気分爽快感を味わえない
などです。

今処方されているお薬は
・朝夕1錠ずつドグマーチル50mg
・夕にパキシル10mgを5錠
・夕にリーマス200mgを1錠
・寝る前にレンドルミンDを1錠

先生にご相談したいことは、今の症状で経頭磁器刺激法は受ける事ができるのでしょうかということです。
うつの波は穏やかになってきていると感じます。
ですがうつ病の意欲が沸かない感情が鈍っている感じが一向に良くならないのです。
毎日だらだらと寝てるだけの生活はもう嫌です、親にももの凄く迷惑をかけていますし、今すぐうつから開放されたいのです。

元気だった頃の私は毎日大好きな絵に熱中し、映画やTVをみて笑ったり、バイクで山に行ったりして森に癒されたり音楽を聴いて安らいだりしてとてもイキイキしていたんです。とても毎日が幸せで素晴らしいと感じていました。
なのに今は何も感じません。とても毎日が辛いし生きる事にたいして興味がなくなってきました。

私の主治医はとても優しく信頼できる先生です。主治医がおっしゃるには「私は今すぐにでも経頭磁器刺激法を受けても良いと思いますけど、あなたの場合薬である程度の回復がみられますし、その経頭磁器刺激法をしてくれる病院側から受けなくても良いと言われるかもしれませんよ」と言われました。

私が住んでいる所は北海道にあります。ですが治療を受けに行こうと思っている病院は東京にあり、行くにはそれなりの覚悟がいります。
ですが私は今すぐにでも経頭磁器刺激法を受けたいのです。
私の全ての症状は完治するのでしょうか。経頭磁器刺激法を受ける事ができるのでしょうか。
うつを治して親孝行がしていです!元気だった頃のようにイキイキしたいです!
先生どうぞ宜しくお願い致します。


林: 経頭磁器刺激法とは、脳に磁気刺激を与えることによる治療法で、いろいろなの脳の病気の新しい治療法として研究が進められています。その中にはうつ病も含まれています。うつ病の治療法としての経頭磁器刺激法は、将来は期待されるものの一つですが、現在はまだまだ研究段階です。つまり過剰な期待は禁物だということです。
この【1611】の質問者が、うつ病に苦しみ、うつ病を治したいと望んでおられるのはよく理解できますし、自然のことです。しかし、

ですが私は今すぐにでも経頭磁器刺激法を受けたいのです。

これは非合理的な希望です。
なぜ特にこの経頭磁器刺激法を受けたいと考えておられるのでしょうか。単に新しい未知の治療法への過剰な期待に基づいているのではないでしょうか。新しい治療法に対するこのような期待は、多くの場合、幻想にすぎません。
そして、長年あらゆる治療、とはいわないまでも、相当な治療を受け続け、それでも回復しないのであれば、文字通り藁にもすがる気持ちで、研究中の治療法を試すのは有意義でしょう。しかしこの【1611】の方は、うつ病と診断され治療をはじめてまだ一ヶ月しかたっていません。一ヶ月ではまだ治療効果が出ないことは、うつ病では決して少なくありません。

私が住んでいる所は北海道にあります。ですが治療を受けに行こうと思っている病院は東京にあり、行くにはそれなりの覚悟がいります。

このケースではそんな覚悟をしてまで試す価値はありません。

ですが私は今すぐにでも経頭磁器刺激法を受けたいのです。

頭を冷やしてください。


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